亜鉛には味覚を守ったり、感染症を防ぐはたらきがありますが、男性不妊の改善など妊活においてもとても大切な栄養素。
食べ物のなかでも魚や貝類にはたっぷりと含まれています。
そこで、身近な魚(魚介類)の中から1食分あたりで亜鉛の多い魚を20位までランキングしました。
このページを読むと、どの魚を食べると1日に必要な亜鉛の何%を摂ることができるのか、手に取るようにわかります。
亜鉛だけでなくいろんなミネラルがぎっしり詰まった魚介類を毎日の食生活に取り入れましょう!
【関連記事】亜鉛の多い野菜20選【1食分で比較】摂取量や効果も!
【関連記事】鉄分が多い魚20選【1食分あたり】摂取量や効果も!
亜鉛の多い魚ランキング
亜鉛が多い魚は、牡蠣、いか、うなぎ、ししゃも、ホタテ、さばやイワシなどの青魚、わかさぎ、鮭
身近な魚や魚介類の1食分あたりの含有量で20位までランキングにしたグラフがこちらです。
※参考サイト:
文部科学省「食品成分データベース」
亜鉛といえば牡蠣。魚に限らず食べ物全体でみても含有量はトップです。生ガキ3個で女性の1日分の亜鉛が摂れてしまいます。
亜鉛の効果としては、妊活のサポート、貧血の予防、糖尿病など生活習慣病の予防、感染症から守る、美髪や美肌が期待できます。
ではこの20位までの魚について詳しくお伝えする前に……
私たちは普段からどのくらい亜鉛を摂れているか、ご存じですか?
1日に摂るべき亜鉛の量と私たちが普段摂れている量を比べてみると……
女性はわずかに不足しているだけですが、男性は必要な量の15%も不足しています。なお女性も妊娠中や授乳中は必要な亜鉛が増えるので、亜鉛が多く含まれる食べ物を積極的に食べましょう。
ではこの20位までの魚・魚介類の「1食分あたりの亜鉛の量」をくわしくお伝えしていきます。
1~10位の魚
まずは1~10位の魚です。
亜鉛:18~74歳なら……
女性の必要量=8.0mg
平均の摂取量=7.7mg
男性の必要量=11.0mg
平均の摂取量=9.3mg
1~10位の魚には1.1~8.4mg。女性に必要な亜鉛の14%~105%を摂ることができます。
女性は0.3mg不足、男性は1.7mg不足。男性は4位のししゃもまでなら不足分をまるまる補うことができます。女性は20位までの魚すべてで不足分を十分に補えます。
1位:牡蠣(生ガキ)
生ガキ3個(60g)に
8.4mg
女性が1日に必要な亜鉛の105%を摂ることができます。
牡蠣に多い栄養は亜鉛だけでなく、ビタミンB12が1日分の5倍以上!抗酸化力の高いセレンや銅、亜鉛、ヨウ素、鉄分、マグネシウム、タウリンも豊富。貧血予防、感染症予防、骨を強くする、美肌も期待できます。
牡蠣の栄養がすごい!生ガキ3個の栄養価と7つの効果とは?
2位:するめいか
イカ焼き1杯(150g)に
2.9mg
2位のするめいかの亜鉛は1位の牡蠣の1/3ほど。それでも男性も女性も不足分を十分に補うことができます。
3位:うなぎ
うな重1人前(うなぎ100g)に
2.7mg
うな重1人前はうなぎ100g程度が一般的。スーパーの蒲焼は1尾150gほどが多いようです。
うなぎといえばビタミンAとビタミンD。1日に必要な量の2倍以上も含まれていて、免疫力アップ、骨を強くする、疲労回復におすすめです。
4位:ししゃも(生干しを焼いたもの)
からふとししゃも5尾(81g)に
1.9mg
4位のししゃもまでなら、男性の不足分をまるまる補うことができます。
ししゃもはカルシウム、亜鉛、鉄分、ビタミンB群、Eが多い魚。骨を強くする、不整脈や心筋梗塞を防ぐ、生活習慣病や感染症を予防するはたらきがあります。
ししゃもの栄養がすごい!1食分5尾の栄養価と7つの効果とは?
5位:さば(水煮缶詰)
さばの水煮缶詰1/2缶(95g)に
1.6mg
女性の1日分の亜鉛の20%を摂ることができます。
さば水煮缶にはビタミンB群、D、E、カルシウムがぎっしり!鉄分、亜鉛、マグネシウムも多く、骨を強くする、動脈硬化・高血圧・貧血の予防といったはたらきが満載です。
6位:ホタテ
ホタテの貝柱の刺身5個(100g)に
1.5mg
ホタテは亜鉛のほかにもビタミンB12、ナイアシン、葉酸、セレン、クロム、カリウムが豊富。肝機能を高める、貧血予防、疲労回復、脳血栓・心筋梗塞の予防が期待できます。
ホタテの栄養がすごい!5個あたりの栄養価と6つの効果とは?
7位:イワシ
焼いたイワシ2尾(64g)に
1.5mg
イワシ1尾は約100g。頭・内臓・骨・ヒレを取り除いて焼くと32gほどになります。生ではなく「焼いたイワシの栄養価」です。
8位:わかさぎ
わかさぎのフライ7尾(70g)に
1.4mg
女性に必要な亜鉛の18%を摂ることができます。
骨ごと食べられるわかさぎにはカルシウムもぎっしり!食べ物全体で比べてもトップクラスです。ビタミンB群、D、セレン、銅も多く、骨を強くする、心臓のはたらきを守る、高血圧予防に効果を発揮します。
9位:あじ(アジフライ)
アジフライ2枚(100g)に
1.2mg
サラサラ効果の高いアジには亜鉛のほかにもビタミンB12、D、E、カリウム、カルシウム、鉄分、マグネシウムがたっぷり。心筋梗塞や脳梗塞の予防、高血圧や糖尿病の予防など体にいいはたらきが満載です。
アジの栄養がすごい!アジフライ2枚の栄養価と7つの効果とは?
10位:さば(味噌煮缶詰)
さばの味噌煮缶詰1/2缶(95g)に
1.1mg
*-*-*-*-*
亜鉛の多い魚を1~10位までお伝えしました。次は11~20位の魚です。
11~20位の魚
亜鉛の多い魚、11~20位です。
亜鉛の必要量
18~74歳なら、
女性:8mg
男性:11mg
女性は0.3mg不足、男性は1.7mg不足。11~20位の魚には0.4~0.8mg。女性の1日分の亜鉛の5%~10%が含まれています。
11位:かつお(たたき)
かつおのたたき6切れ(100g)に
0.8mg
女性に必要な亜鉛の10%を摂ることができます。
12位:ブリ(照り焼き)
ブリの照り焼き1切れ(82g)に
0.7mg
ブリはビタミンB群、D、E、鉄分、カリウム、EPA、DHAが豊富な魚。貧血の予防、疲労回復、イライラをおさえる、集中力アップ、肌荒れ・口内炎の予防におすすめです。
ブリの栄養がすごい!照焼き1切れの栄養価と8つの効果とは?
13位:鮭(水煮缶詰)
サケの水煮缶詰1/2缶(90g)に
0.7mg
14位:さんま(塩焼き)
さんまの塩焼き1匹(76g)に
0.7mg
さんまの中サイズ1匹が150g前後。焼いて頭や骨を取り除くと76gほどです。
15位:銀鮭(塩焼き)
銀鮭の塩焼き一切れ(78g)に
0.6mg
銀鮭は1切れ100gで焼くと78gほどに。生ではなく「焼いた銀鮭の栄養価」です。銀鮭はチリ産の養殖ものが一般的です。
銀鮭はビタミンB群、D、E、セレンがたっぷり!心筋梗塞や脳血栓の予防、貧血の予防、ダイエット、美肌、アンチエイジングが期待できます。
銀鮭は栄養がぎっしり!1切れの栄養価と7つの効果とは?
16位:紅鮭(塩焼き)
紅鮭の塩焼き一切れ(78g)に
0.5mg
17位:しろさけ(塩焼き)
白鮭の塩焼き一切れ(74g)に
0.5mg
しろさけ(白鮭)とは一般的な日本産の鮭のこと。少し身が白っぽく、オレンジ色に近い色をしています。
秋に海から遡上してくる白鮭のことを「秋鮭」。5月から7月ごろに少し早く遡上してきた白鮭を「時鮭(ときしらず)」と呼びます。
鮭一切れに含まれる亜鉛は銀鮭も紅鮭も白鮭も0.5~0.6mgで、大きな違いはありません。
18位:しらす干し
しらす丼1杯分のしらす(30g)に
0.5mg
しらす30gは大さじで5~6杯分です。
しらすにはビタミンD、B12、セレン、カルシウム、マグネシウムが豊富。不整脈や狭心症の予防、更年期障害や生理不順をやわらげる、高血圧の予防、免疫力アップのはたらきがあります。
しらすの栄養と効果がすごい!1食分30gの栄養価と7つの効能とは
19位:あさり
あさりの酒蒸し12個(48g)に
0.5mg
殻付きのあさり中サイズ1個は10gほど。身の部分は4gです。
あさりはビタミンB12が1日分の10倍以上!抗酸化作用のセレン、鉄分、マグネシウム、ビオチンも豊富!貧血予防、強い骨をつくる、感染症から守る、不整脈・心筋梗塞・糖尿病・高血圧の予防が期待できます。
あさりに多い栄養はコレ!1食分の栄養価と7つの効果を紹介!
20位:しじみ
しじみの味噌汁一杯
(しじみ25粒ほど)に
0.4mg
お味噌汁一杯分のしじみを25粒程度としました。殻付きの状態で70g、身の部分は17.5gほどになります。
女性の1日分の亜鉛の5.2%を摂ることができます。女性は0.3mg不足していますが、しじみのお味噌汁一杯でも十分に補うことができます。
*-*-*-*-*
亜鉛の豊富な魚をランキングで20位までお伝えしました。もう一度グラフを見てみましょう。
さて、亜鉛には具体的にどんな効果があるのか、不足するとどんな影響があるのか、ご存じですか?
そこで、
- 亜鉛の8つの効果
- 不足するとどうなる?
- 摂りすぎるとどうなる?
そしてあらためて、
- 1日に必要な亜鉛
- 私たちの普段の摂取量
- 亜鉛が不足しやすい人
についてお伝えします。
亜鉛の効果
亜鉛の効果は何でしょうか?不足したり摂りすぎるとどうなるのでしょうか?
亜鉛の8つの効果とは?
亜鉛の効果は、妊活のサポート、貧血の予防、生活習慣病の予防、髪や肌を美しくするなど。おもに次の8つです。
- 妊活をサポートする
男性に対しては精子の量を増やしたり精子の運動を促進し、女性に対しては排卵や着床に関わる女性ホルモンのはたらきを高める - 貧血を予防・改善する
赤血球を作って全身に酸素を行きわたらせる - 糖尿病を予防する
インスリンの生成を助けたり分泌量を調整して、血糖値を下げる - 風邪やインフルエンザを予防する
ビタミンAのはたらきを高めてウイルスをブロックし、ウイルスや細菌と戦う白血球のはたらきを活性化し、免疫細胞のはたらきも高めて感染症を予防する - 生活習慣病を予防する
ビタミンAの抗酸化力を高めて、あらゆる病気や老化の原因となる活性酸素を除去する - 抜け毛を防いでハリとツヤのある髪に
たんぱく質からコラーゲンを作ることで、抜け毛も防ぐとともに髪の成長を促進して、ハリ・ツヤ・コシのあるしなやかな髪をつくる - 美しい肌をつくる
コラーゲンを生成してハリと弾力のある肌をつくり、メラニンの代謝を促進してシミを防いで白く美しい肌をつくる - 味覚を守る
舌の表面にある「味蕾(みらい)」で味を正しく感じられるように、センサーの役割である「味細胞」が生まれ変わるのを助ける
亜鉛が不足すると?
亜鉛が不足すると男性不妊、胎児の成長が遅れる、貧血、抜け毛など、次のような影響が考えられています。
- 男性不妊、勃起不全
精子の数が少なくなったり、動きが活発でなくなったり、男性ホルモンのテストステロンが減少してしまう - お腹の赤ちゃんや子供の成長が進まない
成長ホルモンやテストステロンが十分に作られなくなるので、胎児や子供の成長が妨げられる - 立ちくらみ、頭痛、動悸、疲れやすい
酸素を運ぶ赤血球が不足して貧血症状が起こりやすくなる - 免疫力が低下する
免疫細胞のはたらきが低下して感染症にかかりやすくなる - 抜け毛、髪のツヤやハリがなくなる
髪の毛のケラチンが少なくなって、髪が細くなる、ツヤ・ハリがなくなるなどの髪トラブルが起きる - 肌の乾燥、かさつき、シミなどの肌トラブル
肌の新陳代謝が低下して肌荒れが起きやすくなる - 爪のトラブル
爪が弱くなったり割れやすくなる - 味覚障害
味蕾のなかの「味細胞」が正常に作られないために、味をあまり感じないといった味覚異常が起こる
亜鉛を摂りすぎると?
食べ物によって悪影響が出るほど亜鉛を摂りすぎることはまずありません。
ただサプリメントでの摂りすぎには注意。体のなかの「銅」を排出してしまうことで銅欠乏性貧血になり、めまい、頭痛、疲労感があらわれることがあります。
※参考サイト:
国立健康・栄養研究所「亜鉛解説」
不足しないように食べ物からしっかり摂りたい亜鉛。1日にどのくらい摂るのがよいのでしょうか?
亜鉛の必要量と摂取量
あらためて、1日に摂るべき亜鉛の量と私たちが普段から摂れている量について、お伝えします。
1日に摂るべき亜鉛
私たちが1日に摂るべき亜鉛の量は次のように定められています。
亜鉛の1日の必要量
18~74歳なら、
女性:8mg
男性:11mg
ところで私たちは普段からどのくらい摂れているのでしょうか?
私たちの普段の摂取量
私たちの普段の摂取量(摂れている量)はこちら。
亜鉛の普段の摂取量
18~74歳では……
女性の必要量:8.0mg
平均の摂取量:7.7mg
0.3mg(4%)不足
男性の必要量:11.0mg
平均の摂取量:9.3mg
1.7mg(15%)不足
※参考サイト:厚生労働省「日本人の食事摂取基準-2020年版」、国立健康・栄養研究所「主な健康指標の経年変化:栄養摂取状況調査」
女性はわずかに不足しているだけですが男性は必要量の15%も不足しています。特に不足しがちな人とは……
亜鉛が不足しやすい人
特に次のような人は亜鉛が不足しやすい傾向にあります。
- 妊娠期や授乳期の女性
- ダイエットしている、食が細い
- ビーガンやベジタリアン
- 運動やサウナが好き
- ハム・ソーセージ・かまぼこ・プロセスチーズなどの加工食品をよく食べる
- お酒をよく飲む
おなかの赤ちゃんの成長に多くの亜鉛が使われたり、母乳の中に亜鉛が含まれたりと、妊娠期や授乳期はより多くの亜鉛が必要となります。
また亜鉛は肉や魚に多く含まれているので、ベジタリアンの方やダイエット中の方は亜鉛の摂取量が不足しがちです。
汗と一緒に亜鉛も排出されるので、サウナや運動が好きな人は不足しやすいもの。
あてはまる方は亜鉛の多い食べ物を積極的に食べましょう。
亜鉛の多い魚:まとめ
魚や貝類の亜鉛の量、私たちに必要な量と実際の摂取量、健康効果をお伝えしました。
亜鉛の多い魚:牡蠣、いか、うなぎ、ししゃも、ホタテ、さばやイワシなどの青魚、わかさぎ、鮭
亜鉛の効果:妊活のサポート、貧血の予防、生活習慣病の予防、感染症から守る、髪や肌を美しくする、味覚を守る
不足すると?:男性不妊、勃起不全、胎児や子供の成長阻害、貧血、免疫力の低下、髪・肌・爪のトラブル、味覚障害
摂りすぎると?:食べ物で悪影響が出るほどに摂りすぎることはないでしょう。サプリメントで摂りすぎると銅欠乏性貧血のリスクが高まります。
1日の必要量:18~74歳の場合、女性は8mg、男性は11mg。女性は0.3mg不足、男性は1.7mg不足です。
不足しやすい人は?:妊娠期や授乳期の女性、ダイエットしている、食が細い、ビーガンやベジタリアン、運動やサウナが好き、ハム・プロセスチーズなどの加工食品をよく食べる、お酒をよく飲む
魚や貝類には亜鉛だけでなく、私たちに不足しているカルシウムやマグネシウムもたっぷり!普段の食生活で魚を積極的に取り入れてみてください。