インフルエンザ・ウイルスから守るためには歯磨きがとても大切であること、ご存じですか?
「うがい」「手洗い」はわかるけど「歯磨き」って?と思われるかもしれません。でも「インフルエンザになるメカニズム」がわかると、歯磨きがインフルエンザ予防にとって非常に大きなポイントであることが良くわかると思います。
歯磨きを正しくおこなえばインフルエンザになるリスクが激減。ウイルスからあなたを守ってくれます。
そこで、インフルエンザになるメカニズムとは?なぜ歯磨きが重要なポイントなのか?歯磨きの効果的なタイミングはいつなのか? についてわかりやすくお伝えします。
なおここでは「インフルエンザ予防に歯磨きが大事なことや、どうやって歯磨きすればいいのかがわかったわ!」と理解いただくことが目的。厳密に正しく伝えることよりもわかりやすく伝えることを重視しています。
インフルエンザ・ウイルスをしっかりブロックして、元気に冬を乗り切りましょう。
インフルエンザになるメカニズム~ウイルス感染から発症まで
インフルエンザは、インフルエンザ・ウイルスがのどの粘膜などから体の中の細胞に入り、増殖して、細胞から出てまわりに広がることで発症します。
「細胞の中に入る」「増える」「まわりへと広がる」の3ステップですね。
でも、インフルエンザ・ウイルスが鼻や口に入ってきたところで、そう簡単にインフルエンザにはなりません。ウイルスに加担する「共犯者」がいてはじめて、細胞の中へと侵入して、増えて、広がって、発症するのです。
ウイルスは簡単には細胞の中に入れない
インフルエンザ・ウイルスは、飛沫感染や接触感染によって口の中に入って、のどの粘膜に到着します。
でも、粘膜はたんぱく質でブロックされているので、ウイルスはそう簡単に細胞の中へは入れません。ドアが閉まっているようなものですね。
そう簡単に中に入れないので、
- 「20分おきにうがいすればウイルスは出ていきますよ」
- 「20分おきに水やお茶を飲めばウイルスが流されて胃酸がやっつけてくれますよ」
と言われているんです。
でも、インフルエンザ・ウイルスが粘膜に到着してから20分以内にうがいしなかったりお水やお茶を飲まないと、体の中へと侵入してしまいます。それが、あなたの体の中にいる「共犯者」のしわざ。
あなたの体の中にいるウイルスの共犯者とは?
あなたの中にいる共犯者とは・・・、「口の中の細菌」です。
口の中の細菌くんは、せっせと、
・プロちゃん(プロテアーゼ:たんぱく質を分解する酵素)
・ノイちゃん(ノイラミニターゼ:たんぱく質を分解する酵素)
を作り出しています。そして・・・
ウイルスを体の中へと侵入させるプロテアーゼ
インフルエンザ・ウイルスが、
「プロちゃん、粘膜のドアを開けてよ~」
「オッケー、いま開けるからね。ガラガラガラ~。はい、どうぞ!」
プロちゃんがドアを開けてくれるので、ウイルスは粘膜から体の中へ(細胞の中へ)と入ることができました。
ウイルスをまわりへと広げるノイラミニターゼ
細胞の中へと入ることができたインフルエンザ・ウイルスはそこでどんどん増えていきます。すると今度は細胞から飛び出して、ほかの細胞へと広がっていこうとします。
でもここでも、ウイルスはそう簡単には出られない。
そこで、インフルエンザ・ウイルスが、
「ノイちゃん、ドア開けてよ~」
「オッケー、ちょっと待ってて。ガラガラガラ~。はい、どうぞ!」
今度はノイちゃんがドアを開けてくれたので、ウイルスは体の中あちこちへと広がっていけました。
ウイルスが口に入っただけでは、そう簡単にインフルエンザに感染しません。でも、口の中の細菌くんが「プロちゃん」と「ノイちゃん」をせっせと作り・・・
- プロちゃんが、ウイルスを体の中へと侵入させる
- ノイちゃんが、細胞内で増えたウイルスを体のあちこちへと広げる
こうして、ウイルスの手助けをすることでインフルエンザを発症してしまうのです。
ちなみにタミフルも、インフルエンザ・ウイルスをやっつける薬ではありません。ノイちゃん(ノイラミニターゼ)がウイルスの手助けをしないようにおさえる薬なのです。
では、 共犯者である「口の中の細菌」を減らすためにはどうしたらよいのでしょうか?
歯磨きが口の中の細菌を減らす

インフルエンザ・ウイルスが体の中に侵入するためにも、あちこちに広がるためにも、口の中の細菌が作り出す「プロちゃん」や「ノイちゃん」が必要。
ということは、口の中の細菌を減らせばプロちゃんもノイちゃんも減らすことができるので、インフルエンザを予防できる、ということになります。
そしてその「細菌を減らすための手段」の際たるものが【歯磨き】なんです。
でも、ただ歯磨きをすればいい、ってものではありません。実は、ほとんどの人が歯磨きのタイミングを間違えています。
正しいタイミングで歯磨きしないと、効果が期待できないだけでなく、かえって逆効果になることも。では、歯磨きの正しいタイミングとはいつなんでしょうか?
歯磨きの正しいタイミングとは?
共犯者である口の中の細菌を減らすための歯磨き。効果的なタイミングはというと・・・、「夜寝る直前」と「朝起きてすぐ」。
- 口の中の細菌が爆発的に増えるのは、睡眠中。
- 口の中の細菌がもっとも多いのは、朝起きた時。
なので、
- これから細菌が増えるぞ、というタイミングで細菌をしっかり減らす
- 寝てる間に爆発的に増えてしまった細菌を、しっかり減らす
ということですね。
もちろん日中にもプラスして歯磨きするのはさらにおすすめ。特に、外から帰ってきたタイミングで歯磨きするのも、インフルエンザ・ウイルス予防に効果的です。
食後の歯磨きはNG!

口の中の細菌を減らすための歯磨きとして、食後はムダなタイミング。
なぜなら食後は細菌が一番少ないタイミング。食べ物と一緒に胃の中に流れたり、唾液が細菌をやっつけてくれるからですね。
食後の歯磨きは細菌ケアの効果が低いどころか、お使いの歯磨き粉によっては歯の表面のエナメル質を削ってしまって、虫歯や歯周病の原因になることだってあるんです。
食後はフロスや歯間ブラシで食べかすをとる。それでも気になるのなら、研磨剤の入っていない歯磨き粉でやさしく磨く。
そして「夜寝る直前」と「朝起きてすぐ」にしっかり歯磨きをする。これがインフルエンザ・ウイルスの共犯者である口の中の細菌をしっかり減らすための正しいタイミングです。
ウイルス予防でなくとも歯磨きの目的は細菌を減らすこと
インフルエンザ・ウイルスに関係なく、そもそも歯磨きの目的は口の中の細菌を減らすこと。
虫歯も歯周病も原因は細菌。口臭だって口の中の細菌がおもな原因です。
食べかすをとるのは、食べかすによって細菌が繁殖するのを防ぐため。歯磨きの本来の目的は「細菌を減らすこと」です。
そしてそのことがインフルエンザ・ウイルスの侵入を防ぐことにもつながっているのですね。
インフルエンザ予防と歯磨き:まとめ
インフルエンザ予防に歯磨きがとても重要であることをお伝えしました。
- ウイルスが体内に侵入して広がるために口の中の細菌が加担している
- 歯磨きで細菌を減らせばインフルエンザ・ウイルスをブロックできる
- 歯磨きの正しいタイミングは夜寝る前と朝起きてすぐ
- 食後の歯磨きはNG!かえって虫歯や歯周病の原因に
- ウイルスに関係なく、そもそも歯磨きの目的は細菌を減らすこと
インフルエンザにならないためには、まずウイルスに感染しないこと、そして感染しても体内に侵入されないよう、広がらないよう、口の中の細菌を減らしてブロックすること、です。
正しいタイミングで歯磨きをして、さらにこまめに歯磨きをして、インフルエンザ・ウイルスからあなたと家族を守ってくださいね。