立ちくらみの改善に効果的な食べ物があることをご存じですか?
立ちくらみを改善する食べ物といえば「鉄分の多いもの」と誤解しそうですが、実はそうでもなく……
立ちくらみの原因にもいろいろあって、 効果的な食べ物もそれぞれ違います。
これからお伝えする内容を読むと、
- あなたの立ちくらみの原因はなにか?
- 改善するためにはどの食べ物が効果的なのか?
がよくわかります。イヤな立ちくらみを改善して、爽やかな毎日を過ごしましょう。
【関連記事】立ちくらみの原因は貧血じゃない!?本当の6つの原因と改善策とは?
立ちくらみとは?
立ちくらみとは、寝ていたり座っている姿勢から急に立ち上がった時や、湯船にゆっくりつかって立ち上がった時、長時間立っている時などに、クラクラッとしたり、目の前が真っ暗になる状態のこと。
血の気がサーッと引いたり、気が遠くなったり、ぐるぐる回っているような感覚になることもありますよね?
ほとんどの立ちくらみは20秒から30秒ほどでおさまります。無理に立とうとしないで横になって休めば、じきにおさまります。
立ちくらみが多いと「立ちくらみは貧血気味だからよ。改善するためには鉄分を摂らなきゃ!」なんて思いがち。でも実は……
貧血が原因で起こる立ちくらみはほんの一部。
ということは……
鉄分が効果的な貧血もほんの一部。
それでは、立ちくらみを改善する食べ物をご紹介する前に、立ちくらみのいろんな原因についてかんたんにお伝えします。
立ちくらみの原因とは?
立ちくらみのおもな7つの原因
・脳貧血(自律神経からくる):
自律神経の乱れで体の流れが悪くなって、脳貧血(という脳に血流が不足している状態)になって、立ちくらみ(という症状)が起きる。
・脳貧血(低血圧からくる):
低血圧によって血液を流すチカラが弱くなり、脳貧血(という脳に血流が不足している状態)になって、立ちくらみ(という症状)が起きる。
・脳貧血(筋力不足からくる):
下半身から上半身へ血液を戻すポンプ役であるふくらはぎの筋力が弱いために、 十分な血液が行き届かずに脳貧血(という脳に血流が不足している状態)になって、立ちくらみ(という症状)が起きる。
・貧血:
鉄分不足による酸素不足からくる立ちくらみですね。
・起立性調節障害:
成長期の子供(小学校高学年~高校生)によくあるもので、心身の急激な成長に自律神経が追いつけない状態。症状は立ちくらみのほかにも、朝なかなか起きられない、倦怠感が強い、動悸、息切れ、頭痛、腹痛など。
・薬の副作用:
降圧剤、向精神薬、心臓病の薬などの副作用で立ちくらみが起きることがあります。
・病気:
動脈硬化による血流不足、糖尿病による神経障害、脳の病気による脳への酸素不足などが原因で、立ちくらみがおこるものです。
このように立ちくらみの原因はいろいろ。特に最近は鉄分不足による「貧血」よりも脳の血流不足による「脳貧血」のほうがはるかに多いようです。
貧血よりも脳貧血による立ちくらみが多い
貧血と脳貧血も立ちくらみの原因。言葉が似ていて混同しがちですが、まったく違います。
・貧血とその原因:
血液の中の酸素が少なくなる状態。血液自体に問題がある。鉄分不足が原因。
・脳貧血とその原因:
脳への血流が少なくなる状態。血液自体には問題ない。鉄分は関係なし。
さらに、
・貧血の症状:
息切れ、動悸、立ちくらみ、疲れやすい、頭が痛いなど
・脳貧血の症状:
立ちくらみ、ふらつきなど
立ちくらみの原因は、貧血よりも脳貧血のほうがはるかに多い。なので、いくら鉄分を摂っても立ちくらみがまったく改善しないこともあるのです。
立ちくらみの改善に効果的な食べ物といっても、立ちくらみの原因が何かによって、改善に効果的な食べ物も変わってきます。
そこで自律神経の乱れからくる脳貧血の改善に効果的な食べ物と貧血(鉄分不足)の改善に効果的な食べ物についてそれぞれ紹介します。
脳貧血による立ちくらみを改善する食べ物
立ちくらみの原因が自律神経の乱れによる脳貧血が場合、自律神経を整えること、つまり副交感神経をしっかりはたらかせることが根本的な改善策。
早寝早起き、適度な運動、湯船にゆったりつかる、深呼吸する、といった改善策のほかに、食べ物も副交感神経をはたらかせるサポートをしてくれます。
胃や腸などの消化器系は自律神経がコントロール。緊張していると食欲がなくなるのも、心配ごとが解決したらホッとしてお腹がすくのも、ストレスと自律神経と胃腸のはたらきが深い関係にあるからです。
食物繊維が多い食べ物
食物繊維の多い食べ物は副交感神経を優位にしてくれるので、ひいては立ちくらみの改善にも効果的です。
玄米、全粒粉、そば、きのこ類、海藻、ごぼう、かぼちゃ、切り干し大根、さといも、さつまいも、にんじん、枝豆、納豆、アボカド、いちじく、キウイ、パパイヤなど。
腸の中を食べ物が進む時は副交感神経(体の回復モード)が優位になります。食物繊維が多い食べ物は腸の中をゆっくりと進むので、副交感神経がはたらく時間も長くなるのです。
食物繊維の多い食べ物はこちらで紹介しています。
食物繊維の多い食べ物ランキング75【1食分】で比較!
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維」、農林水産省「ビタミンと食物繊維」
すっぱいもの、からいもの
お酢、レモン、グレープフルーツ、とうがらし、わさび、しそ、梅干など、すっぱい食べ物やからい食べ物は副交感神経を優位にします。
すっぱい、からい、苦い、というのは体にとっては「イヤなもの」。
イヤなものが体のなかに入ってくると「イヤなものが入ってきたー!早く体から出さなきゃ!」と反応して、副交感神経がはたらきます。嫌悪反応とも呼ばれています。
でも食べすぎは逆効果ですのでほどほどに。
発酵食品
納豆、漬け物、キムチ、ヨーグルト、 甘酒、味噌、しょうゆ、 乳酸菌などの発酵食品も、副交感神経を優位にして立ちくらみの改善に効果的な食べ物。
腸内環境も整えてくれるので、免疫力を高めるのにも役立ちます。
発酵食品は微生物や酵素のはたらきで腸内環境を整えて、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発に。副交感神経がしっかりはたらけるようにしてくれます。
ポイントは、発酵期間が長くてしっかり熟成されたものを選ぶこと。
市販のお手頃価格のものの中には、味噌にしろ醤油にしろキムチにしろ、発酵期間がかなり短くて有用微生物や酵素のはたらきが望めないものも少なくありません。
信頼できる味噌蔵や専門店で購入したり、原材料表示の添加物をチェックするなど、ぜひ長期間熟成されたものを選ぶようにしてください。
水分をとる
水分をとることも消化器系(泌尿器系)を刺激して副交感神経をはたらかせる効果があるので、立ちくらみの改善にはおすすめです。
朝の目覚めた時は冷たい水もいいですね。胃腸へのほどよい刺激になって体が目覚めてくれます。
日中はこまめに水分をとりたいもの。体を温める飲み物がおすすめです。生姜湯、黒豆茶、紅茶、ウーロン茶、プーアル茶など。お酒なら、赤ワイン、日本酒、紹興酒です。
また幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の材料となる「トリプトファン」を多く含む飲み物もおすすめ。セロトニンは感情をおだやかにしたり、落ち込まないようにしたり、楽しい気分にしてくれます。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「セロトニン」
トリプトファンの多い飲み物は、豆乳、牛乳、バナナジュースなど。飲むタイミングは朝が効果的です。
★あわせて読みたい → トリプトファンの多い食べ物・飲み物、その効果とは?
★あわせて読みたい → セロトニンを増やす食べ物、増やす5つの方法とは?
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以上、「自律神経の乱れからくる脳貧血(=脳の血流不足)」が原因で起こる立ちくらみを改善に効果的な食べ物をご紹介しました。
次は立ちくらみの原因が貧血(=鉄分不足)の場合についてお伝えします。
貧血による立ちくらみを改善する食べ物
では、立ちくらみの原因が貧血(=鉄分不足)の場合についてです。
貧血による立ちくらみの原因は鉄分不足
貧血による立ちくらみは鉄分不足が原因。「鉄欠乏性貧血」ですね。
鉄分からヘモグロビンは作られます。
貧血の場合は、血液の中のヘモグロビンの量が少なくなって、全身が酸素不足になって、立ちくらみが起こります。
ヘモグロビンのはたらきは、全身の細胞に酸素を届けて、二酸化炭素を回収して肺に戻すこと。
でも……
食べ物からの鉄分が足りない
→ ヘモグロビンが十分つくられない
→ 全身に届けられる酸素の量が少ない
→ 全身の細胞が酸素不足になる
→ 酸素不足をなんとかしなきゃ!と心臓や肺が必死にはたらく
→ 息切れ、動悸、立ちくらみ、疲れやすい、頭痛、といった貧血の症状があらわれる
貧血は全身症状。立ちくらみよりも息切れ・動悸のほうが代表的な症状です。ただ息切れや動機を感じても「年のせいかな」「運動不足だなぁ」で済ませてしまうこともあるでしょう。
貧血の多くは鉄分不足。「鉄欠乏性貧血」です。月経時の女性が貧血になりやすいのも、出血によって鉄分を失うから。食べ物から鉄分をしっかりと摂ることが大切です。
そこで、どんな食べ物から鉄分を摂るのが立ちくらみの改善に効果的なのかというと……
ヘム鉄と非ヘム鉄とは?
食べ物に含まれる鉄は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類。ちなみに、ヘモグロビンの「ヘモ」はヘム鉄の「ヘム」からきています。
・ヘム鉄:肉・魚などの動物性食品に多く含まれる。溶けやすいので体内への吸収率は 10%~20%とやや高め。
・非ヘム鉄:海藻・野菜・穀物類などの植物性食品に多く含まれる。消化吸収されにくいので体内への吸収率1%~6%と低め。
だからといって「非ヘム鉄ではなくヘム鉄の多い食べ物を食べましょう」ということではありません。
日本人の食生活は「肉中心」よりも「野菜中心」。なので 食べ物から摂り入れている鉄分の80%以上 は、野菜・海藻・穀物類に多く含まれている 非ヘム鉄。
ふだんは吸収率の低い非ヘム鉄も、生理中、ケガでの出血時、食べ物からの鉄分不足が大きい時などには、非ヘム鉄の吸収率がグンと急上昇するという見方もあります。
また一緒に食べる食べ物によって、非ヘム鉄の吸収率も高まります。
- ヘム鉄の多い肉や魚を適度にとる
- 非ヘム鉄の吸収を高める食べ物を一緒にとる
鉄分以外の栄養素のことも考えると、両者バランスよく摂ることが大切ですね。
鉄分の多い食べ物や食べ方はこちらでくわしく紹介しています。
鉄分の多い食べ物、鉄分の効果、効果的な食べ方とは?
それでは立ちくらみの改善に効果的な……
- ヘム鉄の多い食べ物とは?
- 非ヘム鉄の多い食べ物とは?
- 非ヘム鉄の吸収を高める食べ物とは?
についてお伝えします。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「貧血の予防にはまずは普段の食生活を見直そう」、NHKきょうの健康「あなたの貧血 最善の対策」
ヘム鉄の多い食べ物
まずは、吸収率の高いヘム鉄を多く含む食べ物。肉類、魚類が中心です。
・肉類:豚レバー、鶏レバー、牛レバー、豚もも肉、牛もも肉、牛ヒレ肉
・魚類:かつお、いわし、さけ、まぐろ、あじ、あなご、あゆ、あさり、しじみ、赤貝、かき、煮干し、かつおぶし
非ヘム鉄の多い食べ物
次は吸収率の低い非ヘム鉄を多く含む食べ物。野菜、海藻、果物、穀物類が中心です。
・野菜:小松菜、ほうれん草、菜の花、枝豆、納豆、そら豆、大豆、切り干し大根、豆乳、油揚げ、キャベツ、ブロッコリー
・海藻:ひじき、わかめ、海苔の佃煮
・果物:プルーン、干しぶどう、アボカド
・その他:たまご(特に黄身の部分)
非ヘム鉄の吸収率は1%~6%程度の低さではありますが大丈夫。身近な食べ物がその吸収率を高めてくれるんです。
そこで次は、非ヘム鉄の吸収率を高める食べ物について紹介します。
非ヘム鉄の吸収を高める食べ物とは?
吸収率の低い非ヘム鉄。その吸収率を高めてくれるものがあります。それが「動物性たんぱく質」と「ビタミンC」。
動物性たんぱく質
動物性たんぱく質とは、肉類や魚類に多く含まれているたんぱく質のこと。
・肉類:鶏むね肉、ささみ、豚ヒレ肉、牛もも肉、牛ひき肉、たまご(特に黄身)など。
・魚介類:いわし、あじ、するめ、まぐろ、いくら、たらこなど。
肉類や魚類はそれ自体にヘム鉄が含まれていますし、一緒に食べた野菜や海藻などに含まれる非ヘム鉄の吸収も高めてくれます。
肉や魚は鉄分の補給に最適な食べ物ですが、コレステロールが高いという一面も。肉類・魚類にかたよることなくバランスよく食べましょう。
ビタミンC
体内の酵素とビタミンCによって、食べ物から摂った非ヘム鉄がヘム鉄に変化して体へと吸収されます。
ビタミンCの多い食べ物は、野菜全般、果物全般、緑茶、海苔など。
ビタミンCは水に流れやすい栄養素。細かく切って水にさらしても、茹でこぼしても、ビタミンCはどんどん逃げてしまいます。
生で食べる、水にさらす時は短時間に、煮るより蒸す、スープにして汁ごといただく、といった工夫がおすすめです。
・野菜類:赤ピーマン、黄ピーマン、ブロッコリー、ゴーヤ、じゃがいも、さつまいも
・果物類:アセロラ、グァバ、柿、キウイフルーツ、いちご、オレンジ、パパイヤ、バナナ
・その他:緑茶、焼きのり、乾燥わかめ
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生理中の出血など女性の方が鉄分不足になりがち。そんな鉄分は美しい肌、美しい髪にとっても不可欠な栄養素です。
最近疲れやすいなぁ、貧血気味だなぁ、肌や髪のツヤが気になるなぁ、と感じたら、鉄分不足という体からのサインかもしれません。
ご紹介した食べ物を参考に、バランスのよい食生活を意識してくださいね。
◇ ◇ ◇
立ちくらみの原因と改善するために効果的な食べ物についてお伝えしました。
立ちくらみの原因は、鉄分不足より脳への血流不足であること。それもストレスによる自律神経の乱れの影響が大きいこと。そして立ちくらみの原因によって改善に効果的な食べ物もいろいろとあることがおわかりいただけたと思います。
なぜ鉄分が不足しているのか、なぜ自律神経が乱れているのか。解消するためには、根本的な原因を見極めることが大切ですね。