うがいは本当にインフルエンザ予防の効果がないのでしょうか?
うがいするよりお茶を飲むほうが予防効果は高いのでしょうか?
- うがいはどんな点で効果があるの?
- 予防法として推奨されなくなったのはなぜ?
- お茶を飲むのはどんな点で予防に効果的なの?
効果がない予防法をやっていたり、簡単で予防効果テキメンなのにやっていなかったり。正しく知って、インフルエンザをしっかりと予防しましょう。
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うがいはインフルエンザ予防に効果なし?
インフルエンザ予防の効果的な方法として「うがい」は推奨されていません。うがいは効果がないのでしょうか?
厚生労働省もうがいを推奨せず
厚生労働省のホームページの「インフルエンザ Q&A」のなかの、
インフルエンザにかからないためにはどうすればよいですか?
という質問に対しての答えも次の5点でした。
- 流行前のワクチン接種
- 外出後の手洗い等
- 適度な湿度の保持
- 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
- 人混みや繁華街への外出を控える
インフルエンザの予防法として「うがい」は含まれていないのです。
もちろん「マスクの着用」も含まれていません。(2022年6月25日に確認)
推奨されなくなった2つの理由
厚生労働省に限らず「インフルエンザの予防にうがいはあまり効果ないよ」とされるようになった理由はなんでしょう?
ウイルスは早ければ数分で体内に侵入
1つ目の理由は、鼻や口から入ってきたインフルエンザ・ウイルスは、数分~20分ほどで体内へ侵入してしまうから。
ウイルスが体内に侵入する前にうがいで出すためには、数分おきにしないといけない。
つまり「外から帰ったらうがい」とか「1日に3回のうがい」といった程度では予防効果が期待できない、ということですね。
うがいではのどの奥まで届かない
2つ目の理由は、うがいではのどの奥のほうにいるウイルスを出せないから。
うがいで水が届く範囲は限られています。口の中にいる細菌やウイルスは出せるでしょうが、のどの奥の粘膜にくっついたウイルスまで出すのは難しいのです。
ましてや、小さなお子さんやご年配のかたなど、のどの奥までしっかりとうがいをするのは難しいですよね?
鼻から入ったインフルエンザ・ウイルスはベルトコンベアのように進んでいき、咽頭(のどの奥)へ向かいます。そんな場所にいるウイルスはうがいでは十分に出せないのです。
うがいは「効果なし」ではない
だからといって「効果なし」ではありません。
たとえ数分おきにできなくても、うがいをした時にはウイルスや細菌を出すことができます。湿気に弱いウイルスに対して、のどに潤いをあたえることだってできます。
要するに……
「外から帰ったらうがい」や「1日3回程度のうがい」ではインフルエンザの予防効果は低いですよ、ということです。
とはいえ、
- 朝起きてすぐ
- 食事のあと
- お手洗いに行った時
- 外から帰ってきた時
うがいをすれば、ウイルスだけでなくウイルスの味方をする細菌も出すことができます。インフルエンザだけでなく風邪の予防にもつながります。
できる範囲でこまめにうがいしてみてはいかがでしょうか。
さて次は、うがいするなら水? うがい薬? についてお伝えします。
うがいするなら水?うがい薬?
わずかですが、うがいにもインフルエンザの予防効果はあります。では、水でするのがいいのでしょうか?うがい薬がいいのでしょうか?
うがいは水で十分
風邪をひいていたり、のどに炎症があったりなど、医師が必要だと判断した時のうがい薬は有効でしょう。
でも予防のためのうがいは水で十分ではないでしょうか。
殺菌力の高いものはのどの常在菌(体に有用な菌)まで殺菌してしまったり、のどの粘膜を傷つけてしまったり、というデメリットもあります。
日常的にするうがいは水でおこなうのがいいと思います。
ブクブクうがい → ガラガラうがい
うがいにも順番があります。最初から上をむいて「ガラガラガラ~」とやってはいけません。
まずは、ブクブクうがい。
口に水をふんだら、やや下を向いてぶくぶくと口のなか全体をうがいします。
このとき上を向かないこと!上を向くと、口の中にいたウイルスや細菌がのどへと進んでしまいます。
2回3回とブクブクうがいをするのがいいですね。
そして、ブクブクうがいが終わったら……
次が、ガラガラうがい。
のどの奥のほうまでガラガラとしっかりうがいをしましょう。
うがいするならお茶を飲め!
うがいするよりも、こまめに水やお茶を飲むほうがインフルエンザ予防に効果的とされています。
その理由は……
胃酸がウイルスをやっつける
水やお茶を飲むと、うがいでは出せない「のどの奥のウイルス」はお茶と一緒に流されるので、胃で胃酸がやっつけてくれます。
10分おきにうがいするのは無理でも、10分おきにお茶をひとくち飲むのなら比較的できそうですね。
そばにお茶を置いておいて、仕事・家事・勉強のあいまにちょこちょこ飲むようにしましょう。
お茶のカテキンが感染力を弱くする
飲むならお茶がおすすめ。緑茶や紅茶がいいですね。
その理由はカテキン。カテキンとは緑茶や紅茶などに含まれるポリフェノールの一種で、お茶の渋みや苦みの成分です。
カテキンは殺菌力や抗菌力も強く、インフルエンザ・ウイルスの感染力を失わせる効果も期待されているのです。
「紅茶うがいで風邪予防」と聞いたことがあるでしょうが、それもカテキンの効果によるものですね。
カテキンは80度以上の熱いお湯で
カテキンをしっかり抽出したい時は、緑茶は80℃以上の熱いお湯でいれましょう。紅茶は沸騰したお湯を使いますので、必然的にカテキンがしっかりと抽出されます。
ちなみに……
リラックス成分の「テアニン」を抽出したい時は、50~60度のお湯で10分ほどじっくりと緑茶を入れましょう。
※参考サイト:NHK健康チャンネル「インフルエンザ徹底予防!」、「風邪予防法まとめ」
うがいするならお茶を飲め:まとめ
インフルエンザの予防には、うがいとお茶を飲むのとではどちらがどういいのか、についてお伝えしました。
- ウイルスは数分で体内に侵入してしまう
- うがいではのどの奥まで届かない(特にこどもやご年配の方など)
- うがいは効果がないのではないが、1日数回では効果が低い
- うがいは水で十分
- ブクブクうがい → ガラガラうがいの順番で
- こまめにお茶を飲めばのどの奥のウイルスも胃酸がやっつける
- お茶のカテキンはウイルスの感染力を弱くする
数分で侵入されるインフルエンザ・ウイルスに対してこまめに対策するなら「うがい」より「お茶を飲む」のが現実的、ということですね。
こまめにうがいができればいいのですがやはり大変。こまめにお茶を一口飲むのなら比較的おこないやすい、ということで、こまめにお茶などを飲むのは良い方法だと思います。
小学校などでも、机のそばに水筒を置いて15分20分に一度はお茶を飲むような指導をしていただけると、インフルエンザの感染をずいぶんとおさえられるのではないでしょうか。
夏は熱中症予防にこまめな水分補給。冬はインフルエンザ予防にこまめな水分補給。ちょっと意識してお茶を飲むようにしましょう。