ストレッチには自律神経を整える効果が期待できること、ご存じでしたか?
ストレスは交感神経を活性化させるので体が固くなりがち。コリ、むくみ、冷え、だる重、不眠などいろんな不調の原因になります。
精神的なストレスは筋膜にたまるとも。ストレッチでほぐせばふわりと軽くなって疲労回復も促進。ストレスからも解放されるでしょう。
これから紹介する『自律神経を整えるストレッチ』はとても簡単。今日からすぐできるものばかりです。
そこで、
- 自律神経を整えるストレッチにはどんな効果がある?
- 効果的なタイミングはいつ?
- 自律神経を整える4つのストレッチのやり方
についてわかりやすく紹介します。いますぐできるストレッチで軽やかな体に変えましょう。
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ストレッチには2種類ある
ストレッチには大きく分けて2種類あります。
1つは体を動かしながらおこなう動的ストレッチ。
もう1つは体を静かに伸ばして動きをとめておこなう静的ストレッチです。
動的ストレッチとは?
動的ストレッチは体を動かしながらおこなうストレッチで、交感神経を高めます。
ラジオ体操は動的ストレッチの代表。はずみや反動を使って体を動かしながら、関節をほぐし、可動域を広げ、筋肉を伸ばし、体を温めていくストレッチです。
動的ストレッチは「交感神経」を優位にするので、体の動きを活発にしてくれます。運動する前のウォーミングアップに最適ですね。
関節がほぐれて可動域が広がって筋肉もやわらかくなるので、これからおこなう運動のパフォーマンスアップやケガの予防に効果を発揮します。
朝起きたタイミングにはこの動的ストレッチが最適。だからラジオ体操は朝早くおこなうのでしょう。
静的ストレッチとは?
静的ストレッチは体の動きを止めておこなうストレッチで、副交感神経を高めます。
「ストレッチ」と言われてイメージするものはこちらの静的ストレッチでしょう。静かにゆっくりと体を伸ばしたあと、その姿勢を10秒20秒とキープして筋肉を伸ばしていくもの。
静的ストレッチは「副交感神経」を優位にするので、ストレスや運動などでかたく緊張した筋肉をほぐして回復を促進してくれます。
- ストレスでかたく緊張した体をほぐしたい!
- 疲れをとりたい!
- 重たい体をなんとかしたい!
- リラックスしたい!
- ぐっすり眠りたい!
そんな時は、副交感神経を優位にする静的ストレッチをお風呂あがりや夜寝る前におこなうのが効果的です。
では、静的ストレッチにはどんな効果があるのでしょうか?
自律神経を整える静的ストレッチの効果
自律神経を整えるのは、体をゆっくり伸ばしたらその姿勢を10秒20秒キープする静的ストレッチ。
では静的ストレッチのおもな4つの効果をお伝えします。
リラックス効果
静的ストレッチは副交感神経を優位にしてくれます。
息を吐きながらゆっくりと伸ばしていって「すこし痛くて気持ちいい」と感じるあたりで止めて10秒20秒キープ。呼吸はゆったりと腹式呼吸。
副交感神経のはたらきが高まるので気分的にも深くリラックスできます。
眠りを深くする
静的ストレッチは、眠りを深くすることができます。
寝つきが悪い人、眠りが浅い人は、昼間のストレスが原因で夜になっても副交感神経に切りかわらないことが原因。
静的ストレッチで副交感神経を優位にしてあげれば、寝つきも良くなり、眠りも深くなります。お風呂あがりや夜寝る前におこなうのが効果的ですね。
疲労回復
筋肉がほぐれるので血液やリンパの流れがよくなります。
またふくらはぎの筋肉がほぐれれば血液を上へと戻すポンプのはたらきが高まるので、さらに流れのよい体へ。
栄養や酸素や体温など、疲労回復や新陳代謝に必要なものが全身に行き届いて、元気な体へと戻っていきます。
また固くなった筋肉には疲労物質や老廃物がたまっていますが、ストレッチでほぐれることで疲労物質や老廃物も排出されやすくなります。
冷え性の改善
冷え性のおもな原因はこの2つ。
- 体内で熱を作るための筋肉量が少ないこと
- 血流が悪くて体温が行き届かないこと
つまり「体内で熱が作れないこと」と「体内に熱があるのに全身に運べないこと」。
熱を作るためには筋肉をつけるしかありませんが、筋肉をほぐすことで血流がよくなれば体温が行き届くようになるので、冷え性の改善につながります。
自律神経を整えることで、リラックス、眠りを深くする、疲労回復、冷え性改善などの効果が期待できる静的ストレッチ。
では、どのタイミングでおこなうのが効果的なのでしょうか?
自律神経を整えるストレッチのタイミング
自律神経を整える静的ストレッチの効果的なタイミングは、お風呂あがりと夜寝る前です。
お風呂あがりのストレッチで深くほぐれる
お風呂あがりは1日でもっとも筋肉がやわらかくなっている時。静的ストレッチで関節も筋肉もさらに深くほぐす絶好のタイミングです。
普段あまり使っていない筋肉や関節は固くなります。可動域が狭くなってさらに動きにくくなって、さらに固くなって……という悪循環。代謝が低下してしまいます。
お風呂あがりで体がゆるんでいるタイミングなら、普段あまり使っていない筋肉や関節もほぐしやすく、筋肉は柔軟になり、可動域も広げることができます。
お風呂で副交感神経が優位になり、お風呂あがりの静的ストレッチでさらに副交感神経が優位に。
ストレスを解放して疲れをとるために、お風呂あがりにはぜひ静的ストレッチをおこないましょう。
寝る前のストレッチで深い眠りへ
寝つきが悪い、眠りが浅い、というのなら「夜寝る前」もとても効果的。
静的ストレッチで筋肉をほぐして自律神経を整えることで、睡眠モードへと切りかえてくれます。
すこし照明を落として、ゆっくりと腹式呼吸しながら、無理に伸ばしたりせずに気持ちいいと感じる程度にストレッチしましょう。
深い眠りが疲労回復も新陳代謝も促進して、軽やかな体で朝を迎えられるようになります。
朝のストレッチはごく軽めに
朝起きてまずはストレッチ、という人もいるでしょうが、静的ストレッチはあまりおすすめしません。
朝起きてすぐは体温も低いので筋肉も伸ばしにくい状態。
このタイミングでストレッチをおこなうと筋肉を傷めてしまうことにもつながります。
体をスムーズに動かすためにも朝のストレッチをおこないたい場合は、ごくごく軽めにするのがベスト。
ぐーっと背伸びをしたり、体をぶらんぶらんと揺らしたり、といった程度の本当に軽めのストレッチにしましょう。
そして朝は静的ストレッチよりラジオ体操のような動的ストレッチをおこないましょう。
では、自律神経を整えるストレッチを4つ、紹介します。
自律神経を整える4つのストレッチ
自律神経を整えるストレッチを4つ紹介。どれも簡単ですぐにできる方法です。
まずはストレッチをおこなう上で注意したい点から。
自律神経を整えるストレッチの注意点
自律神経を整えるストレッチの注意点は次の4つ。
- 反動を使わないで、ゆっくりとおこなう
- 息を吐きながら伸ばしていく(腹式呼吸)
- 無理せずに、すこし痛い程度まで伸ばす
- 伸ばした状態で息を吐きながら10秒20秒キープする
息を吸うときは交感神経が優位になり、息を吐く時は副交感神経が優位になります。
温泉に入った瞬間「はぁぁぁ~っ」と息を吐くのも副交感神経に切り替わった証拠ですね。
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ではストレッチのやり方を紹介します。
(1)背伸びして右へ左へ
- 足を肩幅に開いて、両手をあげます
- 鼻から息を吸いながら、右手で左手の手首をつかみます
- 口から細く息を吐きながら、上半身を右へ倒して10秒ほどキープ
- 鼻から息を吸いながら、体をまっすぐに戻します
- 今度は左手で右手の手首をつかみます
- 口から細く息を吐きながら、上半身を左へ倒して10秒ほどキープ
- 鼻から息を吸いながら、体をまっすぐに戻します
息を吸うときも吐くときもゆっくりと。体の側面がじわーっと伸びていくのを意識しながらおこないましょう。
あげた両手の位置を少しうしろにそって、胸が開くようにするのも効果的。たくさんの空気が肺に流れるようになって、呼吸が深くなります。
(2)手首を反対側へ伸ばす
- 右手をまっすぐ前に伸ばして、指先を下へ向けます
- 右手の指4本を左手で軽く持って、息を吐きながら手前に引いて10秒キープ
- 息を吸いながらゆっくりと手を戻します
- 反対の手も同様におこないましょう
パソコン仕事などでは指先は動かすものの手首や腕はあまり動かしていません。このストレッチをおこなうと腕全体の筋肉がやわらいで疲れがとれやすくなります。
(3)犬と猫のポーズ
- よつんばいになって(手は肩幅で足は腰幅)背すじを伸ばします。
- 息を細く吐きながら、ゆっくり背骨をあげて背中を丸めていきます。おへそを見るような形であごを引いて首の後ろも伸ばして、10秒キープ。
- 息を吸いながら腰をそらしていきます。目線は正面を見ます。
- また息を吐きながら背中を丸めて10秒キープ、といったかたちで繰り返します。
背中は自律神経のかなめ。ストレスが多いと背中の筋肉がガチガチになりますが、このポーズをおこなうことで背中・肩・首がほぐれ、背骨もしなやかに動くようになります。
(4)股関節や足のストレッチ
全身の筋肉の約70%が集まっているのが下半身。この筋肉や関節をほぐすストレッチも効果的な方法です。
上のイラストのように股関節を伸ばしたり、下のイラストのように太ももの筋肉を伸ばしたり。
ふだんからストレッチや運動をしていない人は股関節が固まりがち。ゆっくりとほぐしてあげましょう。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「ストレッチングの効果」、「ストレッチングの実際」
自律神経を整えるストレッチ:まとめ
自律神経を整えるストレッチについて、その効果やおすすめのタイミング、4つのストレッチの方法についてお伝えしました。
- 自律神経を整えるのは静的ストレッチである
- リラックス、眠り、疲労回復、冷え性改善の効果も期待できる
- お風呂あがりと寝る前が効果的
- ゆっくりと、息を吐きながら、伸ばした状態でキープ
- 自律神経を整える4つのストレッチのやり方
ストレスは筋肉をかたく緊張させて、さまざまな不調の原因になります。
自律神経を整えるストレッチで筋肉をほぐして、流れのよい軽やかな体を手に入れましょう。