自律神経を整える呼吸法をご存じですか?
- いつもストレスを抱えている
- 気持ちが休まる時がない
- いつも体が重たい
- ぐっすり眠れない
ストレスが強くて交感神経ばかりがはたらく毎日では心も体も疲弊してしまいます。
自律神経を整える呼吸法ならそんな緊張した心と体をすぐにやわらげることができます。
これから紹介する呼吸法はとても簡単。今すぐできて時間も場所も選ばない方法です。
私も仕事で強いストレスにさらされていた時にこの呼吸法を試してみて、その場で心と体の緊張がほぐれてきたのを覚えています。
簡単で、どこでもできて、時間もかからず、すぐに心身がやわらぐ『自律神経を整える呼吸法』。その効果、やり方をわかりやすくお伝えします。
毎日のストレスからあなたを守るために、今すぐ始めてみてはいかがでしょうか?
自律神経と呼吸の関係
自律神経は文字通り「自律」している神経。私たちが意識してもできないことを担当しています。
胃で食べ物を消化する。腸で栄養を吸収し老廃物を排出する。血液を流す。体を元気にする……
このような「自分の意識ではできないこと」を自律神経がおこなっています。
そんななか、自分の意識によって自律神経を整えることができる貴重な方法が「呼吸法」なのです。
自律神経を整えるのは呼吸次第
呼吸の仕方によって、交感神経を高めることも副交感神経を高めることもできます。
まず、呼吸と自律神経はどのようにつながっているのか、ご存じですか?
息を吸うと交感神経に
息を「吸う」時、交感神経が優位にはたらきます。
驚いた時に「ハッと息をのむ」ことありますよね?
驚いて、事態にすぐ対応できるように準備するために、交感神経を優位にして筋肉を緊張させている様子です。
サッカーの試合。ハラハラしながら見ている競り合っている試合展開を「息をのむ展開」とも言いますよね。
このように息を「吸う」時は、交感神経になって心身ともに緊張した活動モードになっているのです。
息を吐くと副交感神経に
逆に息を「吐く」時は副交感神経が優位にはたらきます。
温泉につかった瞬間「はぁ~っ」と深く息を吐きませんか?
緊張する大事なプレゼンが終わった瞬間「はぁ~っ、終わったぁ~」と深く息を吐きませんか?
このように息を吐く時は副交感神経になって、心身ともにリラックスした休息・回復モードになっているのです。
つまり自律神経を整える呼吸法は「息を吐くこと」が大きなポイントということですね。
呼吸法は胸式と腹式の2種類
呼吸法には「胸式呼吸」と「腹式呼吸」の2種類があります。
それぞれどんな呼吸法なのか、わかりやすくお伝えします。
胸式呼吸とは?
「胸式呼吸」は私たちが普段おこなっている呼吸法。呼吸を意識していないときは胸式呼吸をしています。
胸式呼吸は交感神経を優位にする呼吸法。仕事中、運動中、活動中は自然にこの呼吸法になっています。
浅く短く息を吸って息を吐く。肺の奥にまで酸素が届くことなく吐き出されるだけでなく、炭酸ガスなど不要なものをためてしまいます。
仕事に集中している時やプレッシャーを感じている時などは特に、息がかなり浅くなっています。緊張状態が続いていてリラックスできていない証拠ですね。
この状態が続くと血流も滞りがちになって自律神経も乱れてしまいます。
腹式呼吸とは?
「腹式呼吸」と聞くと、なんだか難しい呼吸法と感じるかもしれませんが、実は……
ゆったりしている時やリラックスしている時は、自然と腹式呼吸になっているのです。
「腹式呼吸」は副交感神経を優位にしてくれる呼吸法。息を吸うとお腹がふくらんで、息を吐くとお腹がへこむ呼吸法です。
食後やコーヒータイムなど、副交感神経が優位になっているはずの時間に自分がどんな呼吸をしているかチェックしてみてください。
もし、お腹がふくらんだりへこんだりの腹式呼吸をしていないのなら、副交感神経に切りかえられていない証拠。緊張状態が続いていて心身が休んでいない証拠です。
意識して腹式呼吸をおこなうようにしましょう。
自律神経を整える腹式呼吸のメリット
リラックスを高めてくれる腹式呼吸。心にも体にもメリットはたくさんあります。
心の面でのメリット
- 精神的な緊張から解放されてリラックスできる
- 幸せホルモン「セロトニン」の分泌が促進されて精神が安定する
幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」は重要な神経伝達物質のひとつ。セロトニンがしっかりと分泌されていると、
- 気持ちがおだやか
- ストレスに強くなる
- 落ち込まなくなる
- やる気が出て、元気に活動できる
- 仕事や勉強の効率があがる
といったメリットがあって、ストレスの多い毎日を過ごす人の心をしっかりと守ってくれる重要なホルモンなのです。
セロトニンについては別の記事でまとめていますので、あわせてご覧ください。
→ セロトニンを増やす食べ物、増やす5つの方法とは?
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「セロトニン」
体の面でのメリット
- 副交感神経が優位になって体を休息・回復できる
- 全身の筋肉の緊張がやわらぐ
- 代謝がよくなる
- 血液やホルモンの循環がよくなる
- 内臓がマッサージされて活性化する
- 眠りが深くなる
- お腹まわりがスッキリする
- 姿勢が良くなる
腹式呼吸で自律神経を整えることで、体を回復するはたらきが活発になります。筋肉の緊張がほぐれて体の流れが良くなり、代謝も高まります。
息を吸ってお腹がふくらんだ時には、横隔膜が上下してまわりの内臓に刺激があたえられるので、マッサージされたような状態に。内臓のはたらきが活性化します。
またお腹の筋肉を使う呼吸法なので、インナーマッスルが鍛えられます。お腹まわりがスッキリする、姿勢がよくなる、といった効果も期待できます。
では最後に、簡単で今すぐできる『自律神経を整える呼吸法』のやり方を紹介します。
自律神経を整える呼吸法
では自律神経を整える呼吸法(腹式呼吸)のやり方です。簡単で時間もかからず場所もどこでも大丈夫。今すぐにできる呼吸法です。
自律神経を整える腹式呼吸のポイントは「息を吐く」こと。この呼吸法でもゆっくりと息を吐くことがポイントです。
自律神経を整える腹式呼吸法のやり方
【1】
イスに深く座ります。背すじを軽くスッと伸ばして、まっすぐ前を向いて、目を閉じます。
【2】
まずは口からゆっくりと息を吐きます。1メートル向こうにあるローソクの火を消すイメージで、口をつぼめて「フゥゥゥーッ」と細く長く吐きましょう。お腹をへこませながらお腹のなかの空気をすべて吐きだしましょう。
【3】
次に鼻からゆっくりと息を吸います。お腹がだんだんとふくらみながら空気が入っていくイメージですね。おへそに手をあてながらおこなうとお腹がふくらんでくることが意識できます。
【4】
目安として、8秒かけて口から息を吐き、4秒かけて鼻から息を吸う。これをくりかえしていきます。
頭の中でなにか考えながらおこなうのではなく、何も考えずに呼吸法に集中するのがベスト。といってもいろんな雑念が浮かんできますよね。
でもそこで「雑念をとりはらわなきゃ!」としなくて大丈夫。それも自然の状態として、ゆったりと呼吸法を続けてください。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「自律神経失調症」、国立精神・神経医療研究センターこころの情報サイト「ストレスとセルフケア」
くりかえすほど効果的
この呼吸法はくりかえすほど効果は高まります。
何回くりかえせばいいのか、といった決まりはありません。5回6回でリラックスできたと感じれば十分ですし、まだだと思えば10回20回と続けるのもいいですね。
くりかえすほどにこの呼吸法にも慣れてきてやり方も上達しますし、自律神経を整える効果も高まってくるでしょう。
ストレスを受けた時も
会社で上司にひどく注意されて頭にきた。落ち込んだ。そんな時こそすぐこの呼吸法でストレスからあなたを守りましょう。
席に戻って目を閉じて呼吸法、とはいかないでしょうが、細く長く口から息を吐いて鼻から吸う、ということはできますよね。
だんなに頭きた。子供に腹がたった。ママ友にいらついた。ちょっとヘコんだ。そんな時はこの呼吸法で平常心を取り戻してストレスから解放されてください。
電車のなかで立った姿勢でもOK
通勤の電車の中で、立ったままの姿勢でもこの呼吸法は効果的。立っているか座っているかの違いだけで、やり方は同じです。
行きの電車の中の呼吸法でセロトニンの分泌を促進すれば、これからの仕事でのストレスに強くなります。
帰りの電車の中の呼吸法で昼間の疲れとストレスを回復。副交感神経に切りかえて疲労回復と深い眠りの準備ができます。
寝る前なら仰向けで
寝る前の呼吸法もとてもおすすめ。寝つきがよくなり眠りが深くなります。
この時の姿勢は「あおむけ」が効果的。まさに布団に入ってからこの自律神経を整える呼吸法をおこないましょう。あおむけになること以外は同じ方法です。
自律神経を整える呼吸法-まとめ
- 息を吐くときは副交感神経が優位になる
- 自律神経を整える呼吸法は腹式呼吸である
- 心の面では、ストレスに強くなり、落ち込まず、気持ちが穏やかに安定する
- 体の面では、筋肉がほぐれて回復が進み、代謝・血行・内臓機能がよくなって眠りも深くなる
- 呼吸法のやり方は、口からゆっくり息を吐ききり、鼻からゆっくり吸うこと
自律神経を整える呼吸法のメリットや具体的なやり方を紹介しました。今すぐできる呼吸法で、緊張した心と体をやわらげてあげましょう。