メラトニンとは何なのか、ご存じですか?
寝つきが悪い、ぐっすり眠れない、夜中に目が覚めるとそこからなかなか眠れない……。眠りについてお悩みならご存じかもしれませんね。
メラトニンとは眠気を誘い、眠りを深くしてくれる睡眠のホルモン。
そんなメラトニンとは何? どんなはたらき? メラトニンが不足したら? メラトニンを増やす方法は? 効果的な食べ物は? などについてお伝えします。
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メラトニンとは?
メラトニンとは、眠気を誘い、深い眠りへと導いてくれるホルモン。『睡眠ホルモン』とも呼ばれています。
一部の食べ物にも含まれていますが、私たちの体のなか(脳のなか)で作ることのできる物質です。
体内時計と深い関係にあるメラトニン
朝起きて日光を浴びると体内時計が活動モードに切りかわります。すると体内時計が「メラトニンづくりはストップ!」と指示。
それから14時間から16時間ほどたった頃に体内時計が「メラトニンづくり、スタート!」と指示。
ここでメラトニンが作られていくにつれてだんだんと眠気が出てきて睡眠に入っていく、という流れです。
メラトニンはセロトニンが変化したもの
メラトニンは 「セロトニン」 というホルモンが変化したもの。そして、セロトニンは、食べ物に含まれる 「トリプトファン」 や 「ビタミンB6」 などを使って、体のなかで作られています。
【関連記事】ビタミンB6の多い食べ物ランキング30【1食分】で比較!
その変化の流れは……
朝、目が覚める
↓
日光を浴びる
↓
体内でトリプトファンやビタミンB6など材料にして 「セロトニン」 が作られる
↓
14時間から16時間くらいたった頃に、セロトニンが 「メラトニン」 に変化する
心地よい寝つきと深い眠りのためにとても大切なセロトニン。夜寝るころにセロトニンをしっかりと分泌させるためのポイントは、朝、起きたら日光を浴びること。
曇りの日でも十分です。カーテンをあけて日光をあびるとその日光が刺激となって体内時計がリセットされて、体のなかでセロトニンを作り始めます。
そして14時間から16時間たった頃にセロトニンがメラトニンへと変化して、心地よい睡眠へと入っていくのです。
セロトニンについてはこちらでくわしく紹介しています↓
メラトニンは年齢とともに分泌量が減る
メラトニンの分泌量は年齢とともに大きく変化していきます。
- 1歳頃からメラトニンの分泌量が増え始める
- 3歳から5歳ころに一気に増える
- 思春期をすぎた頃から分泌量が減っていく
- 高齢になるにつれてどんどん減っていき、メラトニンが微量になる
赤ちゃんの頃は短時間の睡眠をくりかえしますが、3歳から4歳になると徐々に大人と同じように朝起きて夜に寝るという睡眠サイクルになります。
そして年齢を重ねるにつれ、目が覚める時間が早くなったり睡眠時間が短くなったりと、眠りの悩みも増えていきます。
これは「眠り」と「メラトニンの分泌量の変化」とが深い関係にあるからでしょう。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「セロトニン」、「メラトニン」
では次はメラトニンはどんなはたらきをするのかについてお伝えします。
メラトニンの4つの効果効能とは?
メラトニンは、寝つきをよくして睡眠を深くして、体内時計を整えてくれます。
ほかにも、抗酸化作用、細胞の老化をふせぐアンチエイジング、免疫強化などのはたらきもあると考えられています。
ではメラトニンの4つの効果効能について、くわしくみてみましょう。
眠気を誘い、深い睡眠へ
メラトニンの効果といえばやはり睡眠。メラトニンが作られると、脈拍が落ち着いてきて血圧もさがってきて、体温も徐々に低くなっていきます。
これで私たちの脳が「眠る準備ができた」と認識して、自然と眠気に誘われて深い眠りへと入っていくのです。
体内時計を整える
睡眠の効果と共通していますが、メラトニンは体内時計を整えるはたらきをしています。
朝、日光を浴びた瞬間メラトニン作りのスイッチが「OFF」になり、その14時間から16時間後にスイッチが「ON」に切りかわって、メラトニンの分泌が始まる。タイマーのようなはたらきですね。
朝になったら活動モードに切りかえて、夜になったら睡眠モードに切りかえる。こうして人間本来の生活リズムである体内時計を整える効果を発揮しています。
細胞の抗酸化作用
病気や老化の大きな原因の1つとされている活性酸素。活性酸素によって細胞が酸化する(さびる)ことで、生活習慣病などの病気になりやすくなったり、老化が進んでいきます。
メラトニンには細胞の酸化を防ぐ効果があるので、病気や老化を予防する効果が期待されます。
免疫を高める
メラトニンには体の細胞の異常をすばやく察知してすぐに対処する免疫力を高める効果があります。
夜ぐっすり眠れている人と睡眠不足の人。どちらが健康的かわかりますよね?
言いかえれば、メラトニンがしっかり分泌されている人とあまり分泌されていない人の差、とも言えますね。それだけ体を守る免疫のはたらきを高めてくれるということです。
メラトニンが不足すると?
メラトニンが不足すると……
- 寝つきが悪くなる
- ぐっすり眠れずに睡眠が浅くなる
- 午前中ボーッとする
- 仕事や勉強の能率が低下する
- 抗酸化作用が低くなるので、体調をくずしやすくなる
そうならないように体内でしっかりとメラトニンを作りましょう。
メラトニンの多い食べ物とは?
メラトニンは食べ物から摂ることもできます。ケール、とうもろこし、オーツ麦、チェリー、お米、バナナなどにはメラトニンが含まれています。
しかし食べ物に含まれているメラトニンの量はごくごく微量。いくら大量に食べたからといって、直接的な効果あるかどうか難しいところ。
では食べ物から摂ることはできないかというと、そんなことはありません。
その方法は……
メラトニンの材料を食べ物から摂ろう
メラトニンは私たちの体のなかで作ることができます。食べ物に含まれるトリプトファンやビタミンB6をおもな材料として体の中で作っているのです。
厳密には、トリプトファンなどをつかって体内でセロトニンという物質をつくり、そのセロトニンが夜になるとメラトニンに変化する、ということ。
そこでメラトニンのおもな材料である「トリプトファン」や「ビタミンB6」の多い食べ物を紹介します。
トリプトファンの多い食べ物・飲み物
肉類:牛のレバー、豚のロース、鶏のムネ肉、鶏のもも肉など
魚類:かつお、まぐろ、いわし、ブリなど
魚卵類:すじこ、いくら、明太子など
大豆類:納豆、枝豆、豆乳、とうふ、味噌、しょうゆなど
乳製品:牛乳、チーズなど
果物:バナナ、アボカド、キウイフルーツなど
トリプトファンの多い食べ物についてくわしくはこちら紹介しています。
トリプトファンの多い食べ物・飲み物、その効果とは?
ビタミンB6の多い食べ物
ビタミンB6の多い食べ物は、肉類、魚類、豆類、精製していない穀物類など。
肉類:牛のレバー、鶏のひき肉、鶏のムネ肉、牛のもも肉、豚のヒレ肉など
魚類:まぐろ、かつお、さけ、サバ、さんま、ブリ、アジなど
豆類:きなこ、大豆、納豆、厚揚げ、油揚げ、豆腐など
果物類:バナナ、アボカド、プルーン、干しブドウ、キウイフルーツなど
穀物類(精製していないもの):玄米、ぬか、小麦胚芽など
※参考サイト:厚生労働省 eJIM「ビタミンB6」、国立健康・栄養研究所「ビタミンB6解説」、文部科学省「食品成分データベース」
ビタミンB6の多い食べ物についてくわしくはこちらをご覧ください。
ビタミンB6が多い食べ物ランキング【1食分あたり】摂取量や効果も!
メラトニンを増やす6つの方法
メラトニンはセロトニンが変化したもの。ですのでメラトニンを増やすとはすなわち「セロトニンを増やす」ということになります。
そこでセロトニンを増やす次の6つの方法をご紹介します。
- 日光を浴びる(特に朝起きた時)
- 適度な運動をする
- 睡眠をしっかりとる
- ストレスを受けない、解消する
- トリプトファンをしっかり補給・吸収
- そのほかの方法
日光を浴びる(特に朝起きた時)
メラトニンをつくるためには 「朝、目が覚めたら日光を浴びること」 がとても重要!
朝、目が覚める
→ 日光を浴びる
→ 体内時計がリセットされる
→ 体内でセロトニン作りがはじまる
→ 日光を浴びてから14時間から16時間後にセロトニンがメラトニンに変化する
晴れていなくても曇りの日でも、日光は体内時計をリセットするには十分の明るさです。目が覚めたらカーテンをあけて日光を浴びるようにしましょう。
日光は深い眠りだけでなく、精神的な安定、やる気、意欲、仕事や勉強の能率、体の健康においてもとても重要。
朝にかぎらず日光をあまり浴びない人は、落ち込みやすくなったり、やる気がなくなったり、うつ傾向になったり。
日光をしっかり浴びて、心も体も頭も健康的な毎日を送りましょう。
適度な運動をする
運動もセロトニンを増やすのに効果的。単純なリズム運動がおすすめです。たとえば……
- ウォーキング
- ジョギング
- サイクリング
- スクワット
10分や15分程度でもOK!長時間おこなう必要はありません。近所を散歩したり自転車でくるっとひとまわりするだけでもいいでしょう。
体に負担のない程度で朝の時間帯におこなうのもおすすめ。朝、日光を浴びて体内時計も整えばセロトニン作りも活発になります。
睡眠をしっかりとる
睡眠不足は体内時計の乱れとセロトニン不足の原因。しっかりと睡眠をとりましょう。
なるべく決まった時間に寝て、決まった時間に起きることが効果的。そのためにはやはり朝!決まった時間に起きて日光をあびる。これで夜寝る時間も整ってきます。
規則ただしい睡眠でセロトニンを増やしましょう。
ストレスを受けない、解消する
ストレスを受けるとセロトニンを使って守ってくれますが、同時にセロトニンをたくさん消費してしまいます。いくらたくさん作っても使いすぎてしまってはセロトニン不足になりますね。
またストレスの多い生活がずっと続いている人は、セロトニンを作るチカラが弱くなってしまうことも。これでは十分な量のセロトニンが作られずに足りなくなってしまうこともあります。
ストレスを受けないというのは難しいでしょうから、ストレスを抱えたままにしないで早めにストレスを解消しましょう。
トリプトファンをしっかり補給・吸収
メラトニンはセロトニンが変化したもの。そのセロトニンはトリプトファンやビタミンB6などを材料に作られています。
さきほど トリプトファンの多い食べ物、そして ビタミンB6の多い食べ物 を紹介しました。
これらの食べ物からトリプトファンやビタミンB6をしっかり摂って、セロトニン、ひいては、メラトニンを十分に作れる状態にしましょう。
そのほかセロトニンを増やす方法
そのほかにもセロトニンを増やす方法があります。
・スキンシップやコミュニケーション
※触れ合う、マッサージする、おしゃべりするなど。恋人でも家族でもワンちゃん猫ちゃんでも。
・深い呼吸(腹式呼吸)
※鼻から吸って、口からゆっくり吐く。吐くことに意識をむけよう。
・腸内環境を整える
※発酵食品、キノコ類、野菜、海藻などバランスよい食生活を
・よく笑う
※大笑いしたりウキウキ楽しくて笑顔になるのが効果的
・泣く
※感動的な映画やドラマや本で泣く
メラトニンのはたらきや増やす方法:まとめ
メラトニンとは?どんな効果が?不足したら?メラトニンの多い食べ物は?増やす方法は?などについてお伝えしました。
メラトニンとは:セロトニンが体内で変化したもので、眠りを深くするホルモン。年齢とともに分泌量が減っていく。
メラトニンの効果:眠りを深くする、体内時計を整える、抗酸化、免疫を高める。
メラトニンを含む食べ物:ケール、とうもろこし、オーツ麦、チェリー、お米、バナナ。ただしごくごく微量。
メラトニンの増やし方:朝起きたら太陽の光を浴びる、リズム運動、寝る時間と起きる時間をそろえる、ストレス発散、メラトニンの材料であるトリプトファンやビタミンB6を摂る。
気持ちのいい寝つきと深い睡眠のためにメラトニンをしっかり分泌できるよう、ふだんの生活でできるところから始めましょう。