リンパと静脈の違い、ご存じですか?
リンパも静脈も、どちらも老廃物を回収するイメージがありますよね。リンパのほうが「老廃物を排出するもの」というイメージが強いかもしれません。
この2つの違いがわかれば、あなたの体の中の老廃物はよりスッキリと排出されるのではないでしょうか。
そこで、リンパと静脈の違いとは? リンパの流れを良くする簡単な方法とは? について、わかりやすくお伝えします。
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リンパと静脈のはたらきの違いとは?
わたしたち人間の体液は「血管」と「リンパ管」によって循環しています。
静脈は老廃物を回収する
心臓から出発した動脈。「栄養素」や「酸素」を運びながら徐々に分かれて細くなります。
そして毛細血管となってそれぞれの細胞に栄養素と酸素を渡した後は、細胞が出した、
- 老廃物
- 二酸化炭素
- 水分
を回収してから静脈となります。その静脈は徐々に太くなっていって、心臓へと戻っていきます。
心臓 → 動脈 → 毛細血管 → 静脈 → 心臓
行きは栄養や酸素を運んで細胞へ届けたら、帰りは細胞から不要物を受け取って心臓へと帰ってくる。全身をぐるりと循環しています。
静脈のはたらきは、細胞が出した「老廃物」や「二酸化炭素」や「水分」を回収すること、ですね。
リンパも老廃物を回収する
血管は全身をぐるりと循環していますが、リンパ管は循環していません。
一方通行のリンパ管。体の末端(すみずみ)から出発して、鎖骨のあたりまで戻ってきたら静脈へ注いでゴールです。
リンパも静脈のように体の不要物を回収。静脈が回収しきれなかった、
- 水分
- 老廃物
- 細菌
- ウイルス
といったものを回収しています。
そして全身に何百もある「リンパ節」では、リンパ球やマクロファージなどの免疫細胞が集結。細菌やウイルスなどの異物と戦って、やっつけて、食べてくれます。パックマンですね。
こうしてリンパ液はキレイに濾過(ろか)されて流れていきます。
静脈が9割、リンパが1割
リンパも静脈も老廃物などのいらない物を回収して運ぶはたらき。ざっくり言うと、
- 静脈が9割を回収
- リンパが1割を回収
といったところでしょうか。
1割とはいえ、リンパは静脈では回収できない細菌やウイルスを回収しています。
ほかにも、リンパと静脈には大きな違いがあります。それは……
静脈は超速、リンパは超のんびり
リンパと静脈の違いは、流れるスピードにもあります。
心臓というポンプで押し出される血液。心臓を出発して全身をぐるっとまわって心臓に戻るまで、わずか50秒とも、30秒とも言われています。どちらにせよ「超速」です。
リンパはというと、体の末端を出発してゴールである鎖骨のあたりに戻ってくるまで、12時間とも、24時間とも言われています。「超のんびり」です。
リンパを流すサポートが大事
リンパ管にもみずから収縮してリンパ液を流すはたらきがあるとはいえ、リンパの流れはやはり非常にゆ~っくり。
老廃物などを少しでも早く排出するために、リンパの流れを良くするサポートを意識的におこないましょう。
筋肉を動かしたり、しっかり呼吸したり、マッサージしたり、といった刺激がリンパの流れを良くしてくれます。
そこでふだんの生活の中ですぐにできる「リンパの流れを良くする方法」を3つ紹介します。
リンパの流れを良くする3つの簡単な方法
リンパの流れを良くする簡単な3つの方法を紹介します。
仕事しながら、家事をしながらできますのでぜひ取り入れてみてください。
かかと上げ下げ&歩く
リンパ管のまわりの筋肉がふくらんだり、シュッ~と縮んだり。この筋肉の動きでリンパ管が押されて、リンパの流れが良くなります。
歩く
手軽で一番おすすめ。ふくらはぎの筋肉が動いて、リンパを下から上へと押し上げてくれます。
散歩やウォーキングを習慣づけるのが一番いいですね。
でも「散歩やウォーキングしなきゃ!」ということではありません。
デスクワークの人なら、トイレにいったり、お茶をくみに行ったり、という動きでも十分。1時間に1回ちょっと席を立って歩けば、リンパのとどこおりが防げますね。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「ウォーキング」
かかとやつま先を上げ下げ
デスクワークの人、勉強で机に向かっている人などにおすすめ。席を立たなくてもできる方法です。
座ったままで、つま先を上げて、今度はかかとを上げて、またつま先を上げてかかとを上げて……。ふくらはぎの筋肉がポンプの役目となってリンパを流してくれます。
ちなみに……
リンパだけでなく、血液だって、下におりたものを上に戻すのはたいへんな作業。
歩いたり、かかとやつま先の上げ下げをしたり、というのは静脈の流れも良くしてくれます。「ながら」でできることなのでぜひやってみてください。
腹式呼吸
腹式呼吸もリンパの流れを良くするおすすめの方法のひとつ。腸のリンパを流す効果的な方法なのです。
- あおむけになる
- 鼻から息を吸いながら、お腹をふくらませる
- 口から息を吐きながら、お腹をしっかりへこませる
腸のリンパの流れをよくする腹式呼吸をぜひ続けてみてください。
軽くさする
体の表面の近くを走るリンパ管は意外とデリケート。
強くマッサージするのではなく、やさしくさするように流してあげましょう。
体のなかの大事なポイントはこちら。
- 鎖骨
- 耳の裏から首の側面
- わきの下
- そけいぶ(太もものつけ根)
- ひざの裏
鎖骨
まずはリンパのゴールである鎖骨あたりから。
鎖骨からわきの下へ向かって、外側へ向かってさすってください。まずゴールを流してあげることで、ほかの場所も流れやすくなりますよ。
耳の裏から首の側面
次に耳の裏から首の側面へ。まっすぐ下におろす向きでさすりましょう。
わきの下
わきの下をクルクルと円を描くようにさすってから、ひじ → わき → 鎖骨へ向かってやさしくさすりましょう。
そけいぶ(太もものつけ根)
そして、そけいぶ(太もものつけ根)。お腹からそけいぶに向かってさすり、ひざから太ももを通ってそけいぶに向かってさする。
「わきの下」と「そけいぶ(太もものつけ根)」は特に大事な2大ポイントです。
ひざの裏
最後にひざの裏。ふくらはぎからひざの裏を通って太ももに向かってさすりましょう。
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鎖骨 → 耳の裏から首の側面 → わきの下 → そけいぶ(太もものつけ根)→ ひざの裏、という順番でやさしくさすってみてくださいね。
リンパと静脈の違い:まとめ
リンパと静脈の違いとリンパの流れを良くする3つの簡単な方法をお伝えしました。
- リンパは静脈が回収しきれなかった水分、老廃物、細菌、ウイルスなどを回収する。
- リンパは流れが遅い。しっかり排出するためには流れを良くするサポートが大切。
- リンパの流れを良くする方法は、筋肉を動かすこと、腹式呼吸、体をさすること。
デスクワークの人や机に向かう時間が長い人だけでなく、立ち仕事の人もリンパの流れがとどこおりがち。
ふだんの生活の中のちょっとした工夫でリンパの流れをよくして、体の中をスッキリさせてはいかがでしょうか。