食物繊維には健康効果が満載。
中性脂肪や血圧や血糖値などの生活習慣病の予防、便秘解消、ダイエットとうれしい効果が凝縮していて、意識して食物繊維を摂っている人も多いでしょう。
でも、こんなことを感じていませんか?
「食物繊維を摂ってるのに、便秘が良くならないのよ」
「食物繊維を摂りだしてから、お腹がゆるくなったような・・・」
原因は「食物繊維のとりすぎ」や「間違った摂りかた」をしているのかもしれません。
そこで、食物繊維のとりすぎって良くないの? とりすぎるとどうなるの? どうやってとるのが効果的なの? などについてわかりやすくお伝えします。
食物繊維には2種類ある

ご存じですか?
食物繊維には2種類あって、「どんなはたらきをするのか」も「どんな食べ物に多く含まれているか」も違うのです。
なので「どっちの食物繊維を摂るようにするか」によって、効果的にはたらくこともあれば、逆効果になることもあるのです。
そこでまずは、この2種類の食物繊維がどう違うのか、簡単にお伝えします。
不溶性食物繊維とは?
「食物繊維」と言われたら、玄米・ごぼう・レンコン、といった「繊維質」のものをイメージしませんか?
それがまさに「不溶性食物繊維」と呼ばれるもの。文字通り「水に溶けない食物繊維」ですね。
体に吸収されることなく、体のなかで水分を吸って数倍から数十倍にふくれあがりながら、排出されていきます。
不溶性食物繊維の効果
不溶性食物繊維のおもな効果はこちらの3つ。
- 有害物質を排出する
- 便秘を解消する
- ダイエット
不溶性食物繊維の多い食べ物
多く含む食べ物は、玄米・野菜・きのこ・豆類など。
干し柿、おから、ブロッコリー、枝豆、大豆、さといも、玄米に多く含まれています。
水溶性食物繊維とは?
こちらは「食物繊維」のイメージとはまったく違って、ヌルヌル・サラサラした食感のもの。
がごめ昆布のトロ~ッとした部分、オクラのネバネバ、といったものが水溶性食物繊維です。
文字通り「水に溶ける食物繊維」。こちらも体には吸収されません。
水に溶けてゼリー状になって腸の中をゆっくりと進みながら、脂肪やコレステロールなどをからめとって、そのまま一緒に排出されます。
水溶性食物繊維の効果
水溶性食物繊維のおもな効果はこちらの7つ。
- 中性脂肪を減らす
- コレステロールを下げる
- 血糖値の上昇をおさえる
- 血圧を下げる
- 腸内環境を整える
- 便秘を解消する
- ダイエット
水溶性食物繊維の多い食べ物
多く含む食べ物は、海藻、果物、豆類など。
ひじき、寒天、さといも、とろろ昆布、大豆、もち麦、豆腐などに多く含まれています。
2種類の食物繊維について、簡単にお伝えしました。
食物繊維のとりすぎを心配されているかもしれませんが、実は、わたしたち日本人は「とりすぎ」どころか「不足」している傾向があるのです。
食物繊維は不足しがちな傾向に
わたしたち日本人は、食物繊維が不足している傾向があります。
1日6g足りていない
和食から洋食への変化、外食・中食の増加、などがおもな原因でしょうか。
海藻不足、きのこ不足、野菜不足などによって、食物繊維の摂取量も減ってきています。
1日の目標摂取量は、
- 成人女性 : 18グラム
- 成人男性 : 21グラム
でも実際は、「約6グラム足りない!」 と言われています。
水溶性食物繊維が不足しがち
食物繊維が不足しがちな私たち。それも 水溶性食物繊維のほうが不足しがち なのです。
「水溶性:不溶性=1:2」がもっともバランスのよい摂り方。でも実際には、「水溶性:不溶性=1:3」と、水溶性は不足がちで、不溶性はとりすぎ、という傾向にあります。
不溶性食物繊維はとりすぎの傾向
食物繊維と言われてイメージするものが不溶性食物繊維なだけに、「食物繊維を摂るようにしよう!」とすると自然と「不溶性食物繊維のとりすぎ」の状態になりやすいのですね。
そしてこの 不溶性食物繊維のとりすぎでかえって便秘がひどくなる ということがあります。
便秘には、不溶性が効果的なタイプ と 水溶性が効果的なタイプ がある。水溶性が効果的なタイプなのに、不溶性食物繊維を摂ってしまって、かえって便秘がひどくなる。ということですね。
ではなぜ、不溶性食物繊維のとりすぎが便秘をひどくしてしまうのかというと・・・
不溶性食物繊維のとりすぎで便秘に

不溶性食物繊維の3つの効果のひとつに「便秘の解消」とお伝えしました。
なのに「とりすぎで便秘がひどくなる」って、どういうことでしょう?
不溶性のとりすぎがNGな便秘は?
「便秘の解消に食物繊維をとろう!」として、白米から玄米や雑穀米に変えたり、繊維質の野菜をたくさん食べるようにしていませんか?
この食事に多く含まれているのは「不溶性食物繊維」なので、次のようなタイプの便秘の場合、とりすぎると解消するどころかかえってひどくなることがあるのです。
- 便が固い、便がコロコロとしている
- いきまないと出ない
- お腹が張ることが多い
- お腹がごろごろ鳴る
- ガスがよく出る
- ストレスが多い
- 便秘や下痢をくりかえす
これらのタイプは、腸のなかでの滞留時間が長くなったために、便が水分を失って固くなってしまった便秘ですね。
便のカサが少ないのではなく、便の水分が減って固くなっている便秘。いわば「固い便がフタをしている状態の便秘」です。
この場合、不溶性食物繊維のとりすぎで便のカサを増やすことは逆効果。ここで必要なのは、水溶性食物繊維で「フタをしている固い便を柔らかくすること」です。
そんな便秘を解消するには?

固くなってストップしている便に水分をあたえて柔らかくするのは「水溶性食物繊維」。ですので、このタイプの便秘を解消するためには・・・
- 不溶性食物繊維のとりすぎに注意すること
- 水溶性食物繊維をしっかり摂ること
水溶性食物繊維が多くて、不溶性食物繊維が少ない食べ物がいいですね。
ひじきの煮物、寒天、とろろ昆布、豆腐(絹ごしも木綿も)、ところてん、わかめ、昆布、塩昆布、もずく酢、などがおすすめです。
ちなみに・・・不溶性食物繊維が便秘の解消に効果的なのはこちらのタイプです
- 便の量が少ない
- 排便の回数が少ない
- 排便のあとがすっきりしない
便のカサが少なくて腸のなかをなかなか進んでいかないタイプの便秘なら、不溶性食物繊維をとって便のカサを増やすことで、便秘の解消効果を発揮できるでしょう。
※関連記事:【1食分で比較】水溶性食物繊維の多い食べ物ランキング!
※関連記事:便秘に食物繊維は逆効果!?タイプ別、摂るべき食物繊維とは
水溶性食物繊維のとりすぎで軟便に
水溶性食物繊維の7つの効果のひとつにも「便秘の解消」とお伝えしました。
でも水溶性食物繊維のとりすぎで、便秘の解消を通り越して、下痢や軟便になることもあるんです。
トクホで水溶性食物繊維のとりすぎに
日本人は食物繊維が不足がち。なかでも水溶性のほうが不足しています。
「海藻、果物、豆類などをなるべく食べるようにしよう!」というなら、水溶性食物繊維のとりすぎにまではならないでしょう。
気をつけたいのは、「難消化性デキストリン」などが含まれるトクホ(特保:特定保健用食品)のとりすぎ。
「デキストリン」はとうもろこしなどの穀物に多く含まれるデンプンの仲間。そこから人工的に吸収されにくい成分だけを取り出したものが「難消化性デキストリン」です。
難消化性デキストリンは水溶性食物繊維に分類。糖の吸収をゆっくりに、血圧の上昇をおさえる、お通じを自然なリズムへ、などとうたわれるトクホにも多く使われています。
これらのトクホのとりすぎが水溶性食物繊維のとりすぎになって、軟便や下痢を起こすことも珍しくありません。
そんな軟便や下痢を解消するには?
個人的には、自然の食べ物からとるのが一番だと思います。
自然の食べ物にはいろいろな食物繊維が含まれています。水溶性食物繊維だけでも、
- 果物や野菜にはペクチン
- こんにゃくにはグルコマンナン
- 昆布やわかめにはアルギン酸
- 寒天にはアガロース
など、いろいろなものが含まれています。
人工的に作られた単体の水溶性食物繊維を摂るのではなく、自然な状態で含まれている食物繊維やさまざまな栄養素を食べ物から取り入れるのが良いのではないでしょうか。
食物繊維のとりすぎで便秘に:まとめ
食物繊維のとりすぎによる悪影響や、正しい摂り方についてお伝えしました。
食物繊維は2種類:「水溶性」は生活習慣病を予防したり固い便をやわらかくする。「不溶性」は有害物質の排出したり体のなかでふくらんで便のカサを増やして蠕動運動を刺激する。
水溶性食物繊維が不足がち:1日6グラム不足、なかでも水溶性は不足しがち。不溶性はややとりすぎ。
不溶性のとりすぎで便秘がひどくなる:便が固い、お腹が張る、ガスが多いなどのタイプは水溶性を摂ろう。ひじき、寒天、とろろ昆布、豆腐、ところてん、わかめ、昆布、塩昆布、もずく酢、などがおすすめ。
水溶性のとりすぎで軟便・下痢に:難消化性デキストリンなどトクホのとりすぎに注意。食べ物から食物繊維をとることが基本。
健康の基本は食であり、食の基本はトクホでもサプリでもありません。エネルギーあふれる自然の食べ物が一番の健康のもとではないでしょうか。
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