イソチオシアネートをご存じですか?
野菜に含まれるフィトケミカルの一種ですが、抗がん作用、動脈硬化の予防、有害物質の解毒、免疫力アップなど、さまざまな効果効能が凝縮していることで注目されている成分なのです。
ストレスが多い、食生活が乱れがち、生活習慣病が心配、といった方にぜひ摂ってほしいのがこの「イソチオシアネート」。
これを読めば、イソチオシアネートにどれほどの効果効能がつまっているのか、どの野菜をどうやって食べればしっかり摂ることができるのか、がわかります。
イソチオシアネートを摂るには、食生活に「ほんのひと工夫」するだけばOK!
生活習慣病を予防して、元気な毎日を大いに楽しみましょう。
イソチオシアネートとは?
イソチオシアネートとはそもそも何なのでしょうか?
イソチオシアネートはフィトケミカルの一種
イソチオシアネートはフィトケミカルの一種。フィトケミカルとは動物や植物に含まれる成分で、私たち人間の体の中では作り出せません。
- トマトのリコピン
- 大豆に含まれるイソフラボン
- ブルーベリーに含まれるアントシアニン
- 緑茶に含まれるカテキン
これらもフィトケミカル。1万種ほどあるとも言われています。
フィトケミカルは強力な抗酸化作用、抗がん作用、免疫を高める作用など、効果効能が非常に高いために第七の栄養素として注目。積極的に摂り入れたい成分です。
イソチオシアネート類として100種類ほど
イソチオシアネートという1つの成分があるのではなく、ある分子構造が共通している「イソチオシアネート類」と呼ばれる仲間の総称。
ブロッコリースプラウトのCMでもよく耳にする「スルフォラファン」もイソチオシアネート類のひとつ。
スルフォラファンのほかにも約100種類ほどあると言われています。
アブラナ科の野菜に含まれる
イソチオシアネートはアブラナ科の野菜に含まれています。「辛味」や「ツンとした香り」のもとになっている成分です。
アブラナ科の野菜というと、大根、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、白菜、小松菜、チンゲンサイ、水菜、かぶなど。
ただ厳密には、イソチオシアネートが含まれているのではありません。アブラナ科の野菜に「イソチオシアネートの元となる成分が含まれている」のです。
そして……
イソチオシアネートは、切る、すりおろす、噛む、で作られる
アブラナ科の野菜に「グルコシノレート」という成分が多く含まれています。この野菜を、
- 切ったり
- すりおろしたり
- 噛んだり
することで、野菜の細胞壁が壊れてはじめて、イソチオシアネートが作られるのです。
では、がん予防をはじめイソチオシアネートにはどのような効果があるのかお伝えします。
イソチオシアネートの効果
イソチオシアネートには、がん予防、動脈硬化の予防、免疫力アップ、殺菌、炎症をおさえるなど、さまざまな効果が期待されています。
そんな効果効能についてもう少しくわしくお伝えします。
がん予防
これはイソチオシアネートの解毒作用や活性酸素を除去するはたらきによるもの。
肝臓のはたらきを高めて、がんの原因となりうる抗生物質や農薬などの有害物質を解毒・排出してくれます。
また、あらゆる病気や老化の原因である活性酸素を除去する強力な抗酸化力からも、がん予防に効果が高いと考えられています。
「デザイナーフーズピラミッド」の上位にキャベツ、ブロッコリー、カリフラワーといったアブラナ科の野菜が多いのも、イソチオシアネートのはたらきによるものでしょう。
デザイナーフーズピラミッドとは?
その結果、がん予防のはたらきが期待できる「デザイナーフーズ」をその効果の高い順にピラミッド状に並べたものが「デザイナーフーズピラミッド」です。
日本より早くがん患者の増加が深刻化したアメリカで1990年、アメリカ国立がん研究所で始まった「デザイナーフーズ・プログラム」というプロジェクト(がん予防に効果のある食べ物の研究)。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「抗酸化物質」、「活性酸素と酸化ストレス」、文部科学省「食品成分データベース」」
動脈硬化の予防
活性酸素を除去して血液をサラサラにするはたらきから、動脈硬化の予防も期待されています。
インフルエンザの予防
インフルエンザは、ウイルスが口の中に入っただけでは感染しません。
「ウイルス」と「口の中にいる細菌が出す酵素」とが仲間になることでインフルエンザに感染します。
イソチオシアネートの殺菌作用で口の中の細菌が殺菌されるため、インフルエンザに感染しにくくなるのです。
おなじ理由で歯磨きもインフルエンザ予防の大きなポイント!くわしくはこちらで紹介しています。
インフルエンザ予防には歯磨きが効果的!その理由と正しいタイミング
まだまだある!そのほか9つの効果とは
イソチオシアネートにはまだまだ効果効能が満載。
- 血管の老化の予防
- 免疫力を高める
- 風邪の予防
- 活性酸素を除去する
- 有害物質の解毒・排出
- 肝臓の機能を高める
- ピロリ菌や大腸菌から体を守る
- ダイエット(代謝を高める作用)
- 口内炎、虫歯、歯肉炎など口の中の炎症をおさえる
このように効果効能が凝縮されたイソチオシアネート。
どんな野菜に多いのか、どうやって食べるのがいいのか、についてお伝えします。
イソチオシアネートの多い野菜と食べ方
前述のとおり、イソチオシアネートそのものが野菜に含まれているわけではありません。
ですので、イソチオシアネートに変化する成分の多い野菜とその食べ方、ということになります。
多く含む野菜
アブラナ科の野菜です。大根、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、白菜、小松菜、チンゲンサイ、水菜、かぶ、ルッコラ、からし、わさび、などの野菜に多く含まれています。
イソチオシアネートの多い野菜についてはこちら↓
イソチオシアネートの多い野菜と効能とは?効果的な食べ方も紹介!
大根おろしはイソチオシアネートをしっかり摂れる食べ方。大根は根に近いほうにイソチオシアネートの元となる成分が多く含まれています。
そして大根おろしの「汁」にこそイソチオシアネートは豊富。捨てずに飲みましょう。ただ辛いので、飲み方や飲むタイミングには注意が必要。
大根おろしの汁の飲み方やタイミングは別の記事でまとめていますので、あわせてご覧ください。
→ 大根おろしの汁は栄養満載!12の効果と正しい飲み方・タイミング
食べ方
イソチオシアネートの特徴は、
(1)熱に弱い
(2)揮発性
(3)野菜の細胞壁が壊れるほどに多く作られる
そんなイソチオシアネートをしっかり摂るための食べ方は……
- 生で食べる
- 細かく切る
- すりおろす
- 早めに食べる
- よく噛む
生で食べるとなると、カリフラワー、白菜、小松菜、チンゲンサイなどは難しいですね。
ブロッコリー・スプラウトは生で食べられてスルフォラファンも凝縮。そのほか、大根、キャベツ、水菜などでしょうか。
そして、野菜の細胞壁が壊れることでイソチオシアネートが作られるので、繊維を断ち切る方向で細かく切る、すりおろす、食べる時はよく噛む、というのが効果的です。
また、イソチオシアネートは揮発性なので、15分で半分に減ってしまうとも言われています。切ったりすりおろしたりしたら、早めに食べましょう。
イソチオシアネートの効果:まとめ
イソチオシアネートの効果についてお伝えしました。
イソチオシアネートとは:フィトケミカルの一種。アブラナ科の野菜に元となる成分が含まれていて、細胞壁が壊れることでイソチオシアネートが作られる。
効果効能:がん予防、有害物質の解毒・排出、肝臓の機能を高める、動脈硬化の予防、血管の老化の予防、免疫力を高める、活性酸素を除去する、インフルエンザの予防、風邪の予防、ピロリ菌や大腸菌から体を守る、口内炎・虫歯・歯肉炎などの炎症をおさえる、ダイエットなど。
イソチオシアネートの多い野菜:大根、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、白菜、小松菜、チンゲンサイ、水菜、かぶ、ルッコラ、からし、わさびなど。大根なら根に近い方が断然多い。
効果的な食べ方:生で食べる、細かく切る、すりおろす、早めに食べる、よく噛む。
大根、キャベツなど身近な野菜にたっぷり含まれていて効果効能もすごいイソチオシアネート。
アブラナ科の野菜を食生活にプラスして、食べ方をひと工夫して、元気な毎日を過ごしましょう!