胃もたれの原因はいろいろ。原因によって治す方法も変わってきます。
食べ過ぎたときの胃もたれならわかりやすいのですが「食べ過ぎてないのによく胃もたれする」という人は気になりますよね?
そこで、胃もたれのおもな6つの原因、それぞれ治すための方法、についてわかりやすくお伝えします。
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そもそも胃もたれとは?
胃もたれとは、胃が重たく感じる、気持ち悪い、といった症状ですよね?
そもそも胃もたれとは胃がどんな状態になっているのかご存じですか?
簡単に言うと胃もたれとは食べ物が胃の中にずっと残っている状態のこと。
胃の役割は、食べ物が腸でしっかりと消化吸収されるための下準備です。
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食べた物が胃に届く
↓
胃がグイングインと動きながら胃酸と食べ物を混ぜ合わせる
↓
食べた物を細かく砕いてドロドロにする
↓
「腸に送ってもいいかな」と、腸での消化吸収の進み具合をチェック
↓
良さそうなら、胃がギュッ、ギュッ、という蠕動(ぜんどう)運動をして、次の十二指腸へと送っていく
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でも……
・胃酸が少ないと、食べ物がなかなかドロドロになりません。
・胃のはたらきが弱っていると、ギュッ、ギュッ、という蠕動運動も弱くなって十二指腸へと送られません。
・腸での消化が進まないと、胃の中にある食べ物を腸に送れません。
こうして胃に食べ物がずっと残っている状態になって、胃もたれが起こるのです。
では……
- どうして胃酸が少なくなるの?
- どうして胃のはたらきが弱くなるの?
- どうして腸での消化が進まないの?
それは下のイラストのようにいろいろな原因があるのです。
そこでおもな6つの原因とそれぞれの治す方法についてお伝えします。
胃もたれの原因(1)自律神経
胃もたれの原因のなかで一番多いのが「ストレスからくる自律神経の乱れ」ではないでしょうか。
自律神経は私たちが意識してもできないことのすべてをコントロールして、心と体の健康を守っています。血液を流そう、脈拍を下げよう、汗を出そう、食べ物を消化しよう、といったことのすべてですね。
大事なプレゼンの前、スピーチの前、お子さんの合格発表の前……。強いストレスや心配事で食欲がなくなった経験、ありませんか?
これは胃や腸などの消化器系も自律神経がコントロールしているから。プレゼンやスピーチや合格発表が終われば、ホッとして食欲がわいてきます。
ストレスで胃のはたらきも胃酸も弱くなる
ストレスで胃が痛くなるように、胃腸への影響はとても大きいもの。ストレスで自律神経が乱れると……
・胃のはたらきが弱くなる → 蠕動(ぜんどう)運動が弱くなって、食べた物が十二指腸へと送られない
・胃酸が少なくなる → 食べ物の消化(細かくドロドロに)が進まない
このように自律神経の乱れによって、胃のなかに食べた物がずっと残っている状態になって、胃もたれを感じるのです。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「自律神経失調症」、「ストレス」
自律神経が原因の胃もたれを治すには?
ストレスによる自律神経の乱れからくる胃もたれなら、治すには「ストレスを発散すること」と「自律神経を整えること」がポイント。
ストレスを発散する
胃もたれを治すためにはストレスを受けないのが一番。とはいえ生活環境や人間関係がすぐに変わるわけではないでしょうから、ストレスを受けてもためないように発散して解消することが大切です。
気の合う仲間とご飯を食べたり飲みに行ったり、趣味に時間を割いたり。運動することは精神的なストレス解消に特に効果的です。
自律神経を整える
自律神経は、交感神経(活動・緊張・ストレスの神経)と副交感神経(休息・回復・リラックスの神経)の2つから成り立っています。
「ストレスによる自律神経の乱れ」というのは、交感神経ばかりはたらいて副交感神経が十分にはたらけていない状態。これが胃もたれだけではなく、ありとあらゆる不調の原因。
ストレスからくる胃もたれを治すには、副交感神経をはたらかせることが大切です。
- 目が覚めたら太陽の光をあびる(体内時計が整って寝つきもよくなる)
- 軽いリズム運動をする(散歩、ウォーキング、ジョギングなど)
- 41℃以下の湯船にゆったりつかる(シャワーだけでは逆効果)
- 食べ物(食物繊維、発酵食品、からいもの、酸っぱいものが効果的)
- マッサージやストレッチで緊張した筋肉をほぐす
- 深呼吸する(ゆっくり吐くことがポイント)
- 寝る1時間前からはスマホやテレビを見ない
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「体内時計」
ふだんの生活を見直して、ストレスからくる胃もたれを治すように心がけましょう。
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次は、食べ物が原因による胃もたれについてお伝えします。
胃もたれの原因(2)食べ物
揚げ物をたくさん食べた、からいものをよく食べるなど、食べ物も胃もたれの大きな原因です。
脂っこい食べ物で胃もたれになるというイメージはあるでしょう。そのほかにも胃もたれを起こしやすい食べ物はいろいろとあります。たとえば……
胃もたれしやすい食べ物
脂っこい食べ物
トンカツや唐揚げなどの揚げ物、油の多い炒め物、ラーメン、ケーキやクッキーなど原材料にバターやマーガリンをたくさん使っているもの、など。
脂肪分の多い食べ物は消化に時間がかかります。胃には大きな負担となりますし、食べた物が胃に残っている時間が長くなって胃もたれになります。
カフェイン
緑茶、紅茶、コーヒー、ココア、コーラ、栄養ドリンク、チョコレート、眠気覚ましのガムなど。
食後のお茶やコーヒーはGOOD。カフェインは胃酸の分泌を促進するはたらきがあるので、食後にとると消化の助けになるのです。
逆に空腹時のカフェインはNG。胃への刺激が強くて、はたらきが弱ってしまいます。
なお、胃酸過多の人は注意が必要。カフェインを摂ることでさらに胃酸が増えて症状が悪化することがあります。
刺激のある食べ物
からいもの、酸っぱいもの、スパイシーな食べ物もNG。
カレー、キムチ、担々麺、タバスコなどのからいもの、お酢などの酸っぱいもの、エスニック料理など香辛料をたくさん使ったスパイシーなものも、胃への刺激が強いために負担がかかってはたらきが弱くなってしまいます。
食物繊維の多いもの
きのこ類、野菜、海藻、玄米、そばなど。
食物繊維が多い食べ物は体に良い食べ物。でもよく胃もたれが起きる人にとっては食べすぎに注意が必要。消化に時間がかかる分、胃に残る時間が長くなるのです。
※参考サイト:農林水産省「ビタミンと食物繊維」
冷たいもの
ジュース、アイスコーヒー、ビール、アイスクリーム、冷たいうどん、冷やし中華など冷たい飲み物や食べ物。
胃が冷えるとはたらきが弱まってしまいます。特に夏は冷たいものを飲んだり食べたりすることが多く、胃もたれになりやすくなります。
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胃もたれの原因となる食べ物や飲み物を紹介しましたが、どれも「食べてはダメ!」ということではなく「食べすぎに注意!」ということです。
食後のコーヒーは胃もたれ解消になりますしリラックス気分も味わえます。適度なお酒もストレス解消にいいでしょう。食物繊維は腸内環境を整えてくれます。
胃もたれが気になる人は、その量やタイミングに気をつけながら召しあがってください。
食べ物が原因の胃もたれを治すには?
胃もたれを治すには、消化のよい食べ物、消化を助ける食べ物をとりましょう。おもなものはこちら。
キャベツ
胃もたれを治すのに効果的な野菜、キャベツ。「デザイナーフーズ・ピラミッド」でニンニクに次ぐ第2位のキャベツは健康効果がたっぷりです。
キャベジンという別名で有名な「ビタミンU」が豊富。胃腸の粘膜を健康にたもったり修復する効果が高いので食べ物の消化を助けてくれます。
ビタミンUは熱に弱いので、生で食べるのが一番。
ビタミンCも逃げないようにするためには「千切り」ではなく「ざく切り」にしたり手でちぎって、生のまま、食事の最初に食べるのがおすすめです。
大根
大根も胃もたれを治すはたらきが多いに期待できる食べ物。
大根には、でんぷん質の消化を助けるアミラーゼや、たんぱく質の消化を助けるプロテアーゼなどの消化酵素が豊富。「自然の胃薬」とも言われ、胃もたれを治す食べ物の代表。
消化酵素は熱に弱いので、大根おろしや大根サラダなど生の状態で大根を食べるのが効果的。葉っぱに近い緑の部分に消化酵素が多く含まれています。
りんご
お腹にやさしく体の回復を助けてくれるイメージがあるりんご。いろいろな酵素が含まれていて、胃の粘膜を守ったり、消化を助けるはたらきがあります。胃もたれを治すのに最適な果物ですね。
負担をやわらげるためには、すりおろして食べるのがおすすめです。
おかゆ・うどん
消化のよさといえばおかゆやうどん。胃もたれを治すなら柔らかいおかゆやうどんを「よく噛んで」食べましょう。
たまごも胃もたれを治すのに効果的な食べ物。生でも固ゆででもなく「半熟のたまご」が消化にいい食べ方です。
白身魚
栄養価が高い魚の中でも、あっさりした白身魚は胃の負担が軽い食べ物。タラ、さわら、スズキ、タイ、赤魚などいろんな種類の白身魚を食事に取り入れましょう。
消化のよい順番は、刺身 → 茹でる → 蒸す → 煮る → 焼く。
刺身にしたり、炊き込みご飯にしたり。だし汁でよく煮込んで胃もたれ解消に効果的な蕪(かぶ)と合わせても美味しく食べられます。
コーヒー・緑茶・紅茶
コーヒーや緑茶や紅茶は、
- 空腹時に飲む
→ 胃もたれの原因になる - 食後に飲む
→ 胃もたれの解消になる
カフェインは胃酸の分泌を促進する効果があるので、食後に飲めば胃酸が出て食べ物の消化を助けてくれるのです。
胃酸過多の人は控えたほうがいいですが、そうでないのなら食後のコーヒーや紅茶が胃もたれの解消に役立つでしょう。
次は、運動不足・筋肉不足が原因で起こる胃もたれについて です。
胃もたれの原因(3)運動不足・筋力不足
胃や腸を動かすのも筋肉
胃や腸が動くのは筋肉のおかげ。筋力が弱くなると胃や腸の動きも弱くなって、胃もたれを起こしやすくなります。
胃腸は腹筋や背筋などいろんな筋肉に囲まれています。体を動かすたびにこれらの筋肉も動き、同時に胃や腸も動きます。
運動不足の人は筋肉が動くことも少なく、筋力も弱くなるので、胃もたれになりやすくなるのですね。
運動で治すには?
運動不足・筋肉不足からくる胃もたれを治すには、有酸素運動が効果的。
ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などのリズム運動がいいですね。
デスクワークの人はつい猫背になりがち。背すじを伸ばしてのウォーキングなどは筋力アップに姿勢の矯正にといいことづくめ。
忙しい人は、駅までのバスを歩きに変えたり、スーパーまでの自転車を歩きに変えたり、エスカレーターを階段に変えたり、1駅手前で降りて歩いて帰ったり。
生活の中の「移動時間」を「運動の時間」に変化させるのもおすすめです。
運動は胃もたれを治すだけでなくストレス解消にも効果的。毎日の生活に取り入れていきましょう。
胃もたれの原因(4)年齢
年齢によってはたらきも弱くなる
年齢を重ねるにつれ、蠕動(ぜんどう)運動が弱くなり、胃を守る胃粘液の量も少なくなり、胃酸の分泌量も少なくなる。胃もたれもしやすくなるのです。
年齢が原因の胃もたれを治すには?
年齢による胃もたれを解消するには、次の3つがポイント!
- 胃のはたらきを高める
- 消化を助ける食べ物を食べる
- 食後の胃酸の分泌を促進する
胃のはたらきを高める:
有酸素運動などで筋力を高めることと自律神経を整えること。
消化を助ける食べ物を食べる:
キャベツ、大根、りんご、白身の魚、おかゆ、うどんなど。
食後の胃酸の分泌を促進する:
食後のコーヒーやお茶を飲むこと。
なかでもおすすめは運動。
散歩やウォーキングなどは、胃もたれ解消だけでなく、腸のはたらきを整える、ストレス解消、副交感神経の活性化、ロコモシンドロームの予防、食欲増進などさまざまな効果を発揮してくれます。
胃もたれの原因(5)お酒の飲みすぎ
お酒(アルコール)は胃液の分泌を促進します。食事の前にすこし梅酒を飲む程度なら胃液がほどよく分泌されて食べ物の消化を助けてくれるでしょう。
でも飲みすぎは逆効果。刺激が強すぎて胃もたれや痛みが出てしまいます。
特に空腹時のお酒には注意が必要。「暑い夏はすきっ腹にビールがたまらない」という人は多いでしょうが、胃もたれしやすくなります。
治すには?
お酒が原因の胃もたれを治すには、お酒を控えめにすること。空腹時にはお酒を飲まないこと。
枝豆、お豆腐、キャベツとお味噌、たまご焼きなど、胃を守ってくれるおかずと一緒にお酒を楽しむ のもいいですね。そして、水分も補給しながらお酒の飲みすぎに注意しましょう。
胃もたれの原因(6)たばこ
たばこを吸うと血液の流れが悪くなります。
胃の粘膜にある毛細血管もたばこの影響で流れが悪くなるので、胃の動きも胃を守る胃粘膜のはたらきも弱くなります。これが胃もたれや胃潰瘍を起こしやすくするのです。
治すには?
胃もたれの原因がたばこですから、治すにはたばこをやめることです。
本数を減らすことも胃もたれを治すのに役立ちますが、やはり一番は禁煙。電子タバコのようなものもありますが、たばこを電子タバコに切り替えれば100%解決する、ということでもないでしょう。
胃もたれの6つの原因と治し方:まとめ
胃もたれとは胃がどんな状態になっているの? 胃もたれのおもな6つの原因と治す方法とは? についてお伝えしました。
胃もたれとは:食べ物が胃の中にずっと残っている状態。胃酸が少ない、胃のはたらきが弱い、腸での消化が進まない、といった理由です。
6つの原因:自律神経の乱れ、食べ物、運動不足や筋力不足、年齢、お酒、たばこ。
いろいろ原因はありますが、現代人はやはり「ストレスからくる自律神経の乱れ」が多くなっているように感じます。
毎日のストレス環境を見直しながら、できるところから胃を守る方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。