納豆は栄養がぎっしり詰まった発酵食品。タンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維などが豊富に含まれています。
では貧血予防にうれしい「鉄分」はどうなのでしょうか。
- 納豆には鉄分は多いの?
- 鉄分をしっかり吸収するためにはどんな食べ方がいいの?
などをお伝えします。納豆の栄養を上手に活用して元気な毎日を過ごしましょう。
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納豆は鉄分が豊富
納豆には鉄分が豊富。料理の手間なく手軽に鉄分が補給できるのはうれしいですね。
1パックに1日の推奨量の20%
納豆100gに鉄分は3.3mg。
1パック(40g)に換算すると、1.32mgの鉄分が含まれていることになります。
鉄分の1日の推奨量は、
- 男性:7.5mg
- 女性(月経なし):6.5mg
- 女性(月経あり):10.5mg
納豆1パックで1日の推奨量の約20%を補うことができますね。
※参考サイト:文部科学省「食品成分データベース」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
納豆に含まれるのは非ヘム鉄
さて、ご存じですか?
食べ物に含まれる鉄分は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類に分かれています。
納豆に多いのは「非ヘム鉄」なのですが、この2つの違い、知っていますか?
ヘム鉄と非ヘム鉄ってなに?
2種類に分かれる鉄分。その大きな違いは次の2つ。
- 動物性食品に多い?植物性食品に多い?
- 体への吸収率が高い?低い?
鉄分は体に吸収されにくいミネラルですが、その中でも非ヘム鉄はさらに吸収率が低いのです。
「じゃ、納豆食べたって鉄分が摂れないじゃん!」
いえいえ、そんなことはありません。なぜなら吸収率をアップしてくれるものがあるのです。
それは……
この食べ物が非ヘム鉄の吸収率をアップ
そもそも、私たち日本人の食生活は「肉中心」よりも「野菜中心」。
ですので、摂っている鉄分の80%以上は非ヘム鉄。野菜・海藻・穀物・納豆に多く含まれている鉄分です。
だからといって「貧血気味の人は肉中心に変えましょう」ということではありません。
非ヘム鉄も、生理中、ケガでの出血時、食べ物からの鉄分不足が大きい時などには、吸収率がグンと高くなるという見方もあります。
そして非ヘム鉄の吸収率を高める栄養素があるのです。それが「動物性たんぱく質」と「ビタミンC」。
動物性タンパク質
肉や魚に多く含まれている動物性タンパク質は、吸収率を高めてくれます。
動物性タンパク質の多いおすすめの肉・魚はこちら。
肉類:鶏むね肉、ささみ、豚ヒレ肉、牛もも肉、牛ひき肉、たまごの黄身など。
魚介類:いわし、あじ、するめ、まぐろ、いくら、たらこなど。
肉や魚は、そもそも吸収率の高いヘム鉄が多いですし、納豆に含まれる非ヘム鉄の吸収も高めてくるのですね。
ビタミンC
ビタミンCも吸収率を高めてくれる栄養素。
食べ物から摂った非ヘム鉄は、体のなかの酵素とビタミンCによって「ヘム鉄に変化」して体へと吸収されます。
果物、野菜、焼きのり、わかめなどがおすすめですね。
ちなみに果物は食後はNG。空腹時が一番いいのですが、納豆の鉄分をしっかり取り入れたいなら、まず果物を食べてから食事を始めましょう。
果実酸
クエン酸やリンゴ酸などの果実酸も鉄分の吸収を高めてくれます。
クエン酸:レモンなどのかんきつ類、パイナップル、お酢、梅干しなど
リンゴ酸:ぶどう、梨、バナナなど
納豆などに含まれる鉄分の吸収率を高めてくれるのは、動物性タンパク質、ビタミンC、果実酸(クエン酸やリンゴ酸など)。
納豆と一緒に食べるように工夫してみてくださいね。
反対に、非ヘム鉄の吸収をさまたげる食べ物もあるんです。それは……
非ヘム鉄の吸収をさまたげる食べ物
納豆に多い非ヘム鉄ですが、その吸収をさまたげてしまうものがこちら。
- カフェイン
- タンニン
- カルシウム
- リン酸塩
- フィチン酸
カフェインを含むコーヒーや、タンニンの多い緑茶や紅茶などは、食事のあと30分ほど待ってから飲むといった工夫がおすすめです。
リン酸塩は、加工食品・インスタント食品・清涼飲料水・スナック菓子などに多く含まれるもの。
フィチン酸は、玄米・ライ麦など全粒の穀物に多く含まれています。
とはいえ例えば、納豆を食べる時はカルシウムをまったく摂らないようにする、というのは現実的ではないですよね?
あくまで「納豆を食べる時はカルシウムの多い食べ物を食べ過ぎない」とか、「緑茶を飲むなら食後すこしたってから」といったできる範囲での工夫で十分だと思います。
それよりも、納豆と一緒に動物性タンパク質やビタミンCを摂って、鉄分の吸収率を高めるほうを心がけてみましょう。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」、公益財団法人日本豆類協会「豆の主な機能性成分」、国立健康・栄養研究所「栄養摂取状況調査」
納豆は鉄分が豊富:まとめ
納豆に含まれる鉄分や吸収を高める工夫などについてお伝えしました。
納豆の鉄分:1パックに1.32g。1日の推奨量の約20%が補える。
納豆は非ヘム鉄:納豆に含まれる鉄分は吸収率の低い非ヘム鉄。
吸収率を高める:動物性タンパク質、ビタミンC、果実酸が効果的。
吸収率を妨げる:カフェイン、タンニン、カルシウム、リン酸塩、フィチン酸
納豆は鉄分をはじめさまざまな栄養が豊富な発酵食品。
鉄分の吸収率を高める食べ物と一緒に、毎日の生活にぜひ取り入れてくださいね。