日本人にとって発酵食品の代表ともいえる「納豆」。
体にいい食べ物として知られていますが、具体的にどんな栄養素が多くてどう体にいいのか、ご存じですか?
ここでは「粒の納豆」について……
- どんな栄養素が多い?
- 1パック食べると1日に必要な栄養素の何%が摂れる?
- 粒納豆の効果効能は?
- どんな人こそ食べるといいの?
などをくわしくお伝えします。粒納豆の栄養を上手に活用して健康な毎日を過ごしましょう。
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粒納豆1パックの栄養価
粒納豆にはどんな栄養素が多いのでしょうか?
よく100gあたりの栄養価が紹介されていますが、ここでは、
粒納豆を1パック食べると、1日に必要な栄養素の何%が摂れる?
粒納豆にはどの栄養素が多い?どんな効能が期待できる?
といったかたちで、ビタミン、ミネラル、食物繊維の順にお伝えしていきます。
▼ 1食分の量は?
粒納豆1パック(40g)

粒納豆に多いビタミンは?
栄養素ごとに「1日に必要な量」というのがあって「推奨量」「目安量」「目標量」などと呼ばれています。
たとえば鉄分なら……
鉄分の1日の推奨量(目標量)
18~64歳なら、
女性:6.5mg、男性:7.5mg
栄養素によっては、男性と女性とで1日に必要な量が違ったり、年齢層によって違ったりします。
さてここでは、大人の女性の目標量に対してどのくらい摂れるのか?をお伝えします。
まずはビタミンから。

※参考サイト:文部科学省「食品成分データベース」
女性の1日の目標量に対して、粒納豆1パックに多いビタミンは……
ビタミンK | 160.0% |
パントテン酸 | 28.8% |
葉酸 | 20.0% |
ビタミンB2 | 18.7% |
ナイアシン | 17.3% |
粒でもひきわりでも、納豆にダントツに多いのがビタミンK。カルシウムなどと一緒に骨を強くしてくれる栄養素です。
食べ物に含まれるビタミンKには3種類ありますが、この納豆に含まれるビタミンKが骨粗しょう症の予防にもっとも効果的と考えられています。
ビタミンの次は、粒納豆にはどんなミネラルが多いのかについてお伝えします。
粒納豆に多いミネラルは?
粒納豆1パックを食べると、女性にとって1日に必要なミネラルの何%が摂れるのでしょうか?

女性の1日の目標量に対して、粒納豆1パックに多いミネラルは……
モリブデン | 580.0% |
銅 | 34.9% |
セレン | 25.6% |
鉄 | 20.3% |
マグネシウム | 13.8% |
このなかで私たちが不足しがちなミネラルはマグネシウム。女性は目標より20%不足、男性は30%不足です。
マグネシウム不足になると、糖尿病やメタボのリスクがぐんとアップすると懸念されています。骨粗しょう症、不整脈、アトピー、疲労、気分の落ち込み、といったことにも。
そんなマグネシウムや女性にうれしい鉄分をしっかり補えることも納豆のメリットですね。
さて最後に、粒納豆を1パック食べると食物繊維をどのくらい摂れるのかをお伝えしてから、粒納豆の8つの効果効能を紹介します。
粒納豆に食物繊維は多い?
粒納豆を1パック食べると 女性にとって1日に必要な食物繊維の何%が摂れるのでしょうか?

水溶性食物繊維 | 15.3% |
不溶性食物繊維 | 14.7% |
私たち日本人は食物繊維不足。水溶性食物繊維は目標のわずか55%程度しか、不溶性食物繊維は90%しか摂れていません。
水溶性食物繊維は血圧・中性脂肪・コレステロール・血糖値などの生活習慣病予防、便秘解消に効果を発揮。
粒納豆を1パック食べるだけで15%も補えます。生活習慣病が気になる方はぜひ取り入れてくださいね。
では、
粒納豆に多い栄養素の効果効能は?
私たちはその栄養素がちゃんと摂れている?
粒納豆に多い栄養素とその効果効能

粒納豆1パックで、女性の1日に必要な栄養素の20%以上も摂れるものは7つもあります。
モリブデン | 580.0% |
ビタミンK | 160.0% |
銅 | 34.9% |
パントテン酸 | 28.8% |
セレン | 25.6% |
鉄 | 20.3% |
葉酸 | 20.0% |
10%以上摂れる栄養素となると、次の7つも加わります。
ビタミンB2 | 18.7% |
ナイアシン | 17.3% |
水溶性食物繊維 | 15.3% |
不溶性食物繊維 | 14.7% |
ビオチン | 14.6% |
マグネシウム | 13.8% |
カリウム | 13.2% |
このほかにも、大豆たんぱくやナットウキナーゼという酵素まで。
たった1パック40gの納豆にこれほどの栄養が凝縮されている、ということですね。
では、納豆に多い栄養素は私たちに足りているのか、粒納豆1パックでどのくらい補えるのか、どんな効果があるのか、見てみましょう。
モリブデン
粒納豆にもっとも多い栄養素はモリブデン。
血のミネラルとも呼ばれ、貧血予防、有害物質の排出、などのはたらきがあります。
粒納豆のモリブデンの量は?
モリブデンの1日の推奨量は、
女性が20μg、男性が30μg。
粒納豆1パック40gに116μg。
女性の推奨量の580%、
男性の推奨量の387%もの量です。
モリブデンは「私たちがふだんの食生活でどのくらい摂れているか」の調査がありません。
ただ一般的な食生活なら不足することもまずないですし、摂りすぎた分はすぐ尿で排出されるので摂りすぎの心配もありません。
モリブデンの多い食べ物はこちら。
モリブデンの多い食べ物ランキング30【1食分】で比較!
モリブデンの効果効能は?
おもなに次のようなはたらきがあります。
- 貧血を予防する
鉄分のはたらきを促進して血液をつくる - 疲労回復、ダイエット
糖質、脂質の代謝を助ける - 尿酸の代謝を助ける
食べ物に含まれるプリン体を分解して尿酸を作って排出する - 食べ物の消化を促進する
消化酵素のはたらきをサポート - 体に有毒な物を分解する
- 余分な銅を排出する
※参考サイト:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」、国立健康・栄養研究所「モリブデン解説」
ビタミンK

2番目に多い栄養素はビタミンK。骨粗しょう症の予防や止血をするはたらきがあります。
粒納豆のビタミンKの量は?
ビタミンKの1日の目安量は
女性も男性も150μg。
粒納豆1パックには240μg。
1日の目安量の160%とたっぷり。
では、私たちはビタミンKが足りている?粒納豆1パックで摂取量はどう増える?

女性:
平均摂取量=157%
粒納豆1パック40g=160%
合計=317%
男性:
平均摂取量=164%
粒納豆1パック40g=160%
合計=324%
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「栄養摂取状況調査」、「ビタミンK解説」
ビタミンKの効果効能は?
ビタミンKのおもな効果は次の2つ。
- 骨を丈夫にする
骨にカルシウムを取り込むときに必要なたんぱく質のはたらきを高める。カルシウムが骨から溶け出すのも防ぐ。 - 切り傷など出血した血を固める
血液を固めて血を止めるための物質を作る
ビタミンKは不足しにくい栄養素。いろんな食べ物に含まれていますし、体内でも作られます。
ただ、食べ物に含まれるビタミンKは3種類ありますが、骨粗しょう症の予防効果を期待されているのは納豆に含まれているビタミンK。
骨を丈夫に保つためにも毎日の納豆を習慣にしたいですね。
ちなみにひきわり納豆には粒納豆の1.5倍以上の372μgも含まれています。
【関連記事】ひきわり納豆に多い栄養素は?1パックの栄養価と8つの効果効能
銅
粒納豆に3番目に多い栄養素は銅。貧血や骨粗しょう症の予防、免疫力アップにも役立ちます。
粒納豆の銅の量は?
銅の1日の推奨量は、
女性が0.7mg、男性が0.9mg。
粒納豆1パックには0.24mg。
女性の推奨量の34.9%、
男性の推奨量の27.1%です。
粒納豆を1パック食べると銅はどう増えるのかというと……

女性:
平均摂取量=149%
粒納豆1パック40g=35%
合計=184%
男性:
平均摂取量=149%
粒納豆1パック40g=35%
合計=184%
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「銅解説」
銅の効果効能は?
銅にはおもに次の5つの効果があります。
- 貧血の予防:
鉄と一緒になって血液をつくる - 骨粗鬆症や動脈硬化の予防:
骨や血管の壁を強くする - 抗酸化作用:
活性酸素を除去する - 健康な黒い髪をつくる
- 弾力のある肌をつくる:
コラーゲンの生成
貧血は鉄分不足だけでなく銅不足も原因のひとつ。銅は不足しにくい栄養素ですが、こんな人は銅不足に注意が必要です。
- ストレスが多い
→ 体から銅が排出される量が多くなる - 亜鉛のサプリメントを飲んでいる
→ 銅や鉄の吸収がさまたげられる
レバー、ナッツ類、さといも、枝豆、豆腐、豆乳など、銅の多い食べ物を積極的に食べましょう。
パントテン酸

4番目に多い栄養素はパントテン酸。ビタミンB群のひとつです。
粒納豆のパントテン酸の量は?
パントテン酸の1日の目標量は
女性も男性も5.0mg。
粒納豆1パックには1.44mg。
目標量の28.8%になります。
粒納豆を1パック食べるとパントテン酸の量は……z

女性:
平均摂取量=106%
粒納豆1パック40g=29%
合計=135%
男性:
平均摂取量=121%
粒納豆1パック40g=29%
合計=150%
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「パントテン酸解説」
パントテン酸の効果効能は?
パントテン酸のおもな効果は次の4つ。
- エネルギーを作る:
脂質・糖質・たんぱく質を分解して代謝 - ストレスに強くなる:
ストレスに対抗するために必要な「副腎皮質ホルモン」の分泌を促進し、免疫力も強める - 肌や髪を美しく整える:
傷ついた肌やいたんだ髪の質を良くする - 生活習慣病の予防:
善玉コレステロールを増やしてサラサラ効果
パントテン酸はいろんな食べ物に含まれているので、不足しにくい栄養素です。
ただ、疲れやすい、食欲がない、肌荒れしやすい、髪が痛みやすい、ストレスが多い、コーヒーが好き、お酒が好き、という人はパントテン酸不足かも。
パントテン酸の多い食べ物は、レバー、納豆、エリンギ、えのきたけ、鮭、ぶり、豚肉、玄米、里芋、さつまいも、ゆでたまごなど。意識して食べてみてください。
セレン
粒納豆に5番目に多い栄養素はセレン。抗酸化作用がバツグンに高い必須ミネラルです。
粒納豆のセレンの量は?
セレンの1日の推奨量は、
女性が25μg、男性が30μg。
粒納豆1パックには6.4μg。
女性の推奨量の25.6%、
男性の推奨量の21.3%です。
「私たちはセレンをどのくらい摂れているか」の調査はありません。ただ、通常の食生活なら不足しにくいと考えられています。
セレンは「不足」よりも「摂りすぎ」に注意が必要な栄養素。
1日の上限は、大人の女性は350μg、男性は450μg。通常の食生活では摂りすぎの心配はありません。納豆1パックも6μgちょっとなので大丈夫ですね。
ただサプリメントで摂っている場合は十分に注意が必要です。
セレンの1日の「目安量」や「上限」や「セレンの多い食べ物」については、セレンの多い食べ物ランキング30【1食分】で比較!で紹介しています。参考になさってください。
※参考サイト:厚生労働省 eJIM「セレニウム」
セレンの効果効能は?
セレンのおもな効果は次の4つ。
- 体の酸化を防いで老化を防ぐ
- 免疫力を高める
- 体内に入った菌の毒性を消す
- 甲状腺ホルモンを活性化する
このほかにも……
6番目に多い栄養素:鉄分
貧血予防、骨を丈夫にする、免疫を高めるなど
7番目に多い栄養素:葉酸
お腹の赤ちゃんの成長を守る、貧血を予防する、肌をキレイにする
8番目に多い栄養素:ビタミンB2
疲労回復、ダイエット、デトックス、美肌
9番目に多い栄養素:ナイアシン
疲労回復、美肌効果
10番目に多い栄養素:食物繊維
生活習慣病の予防、便秘を解消、デトックス
このように納豆には栄養や健康効果がぎっしりと詰まっているのです。
最後にこれらのはたらきをまとめて、粒納豆の効果効能は?どんな人こそ食べると効果的」についてお伝えします。
粒納豆の8つの効果効能

粒納豆はビタミンKをはじめ、ミネラルも食物繊維も、大豆たんぱくもナットウキナーゼも豊富。
これらの栄養素のはたらきから、粒納豆に期待される健康効果をまとめてみました。
- 骨粗しょう症予防
ビタミンK、鉄分、マグネシウムが骨を丈夫にする - 貧血予防
モリブデン、銅、鉄分、葉酸が血液を作る - 疲労回復
ビタミンB群やモリブデンが脂質・糖質・たんぱく質をエネルギーに変える - 有害物質をデトックス
モリブデンや不溶性食物繊維が体内の有害物質を排出する - いろんな病気や老化の予防
銅やセレンの抗酸化力で活性酸素を除去する - コレステロールを下げる
パントテン酸や水溶性食物繊維がコレステロールを排出する - 便秘解消
食物繊維やナットウキナーゼが腸内環境を整えながら便のカサを増やし柔らかくしてお通じをうながす - 美しい肌に
ビタミンB群や鉄分や銅が新陳代謝を促進して美しい肌へ
ということで、粒納豆をぜひ食べてもらいたい人は……
こんな人こそ粒納豆を食べてほしい!

粒納豆をぜひ食べてほしいのはこちら!
- 更年期を迎えた女性、同年代の男性
- 糖尿病を予防したい
- お腹の調子が良くない、便秘がち
- お腹まわりが気になる
- ストレスが多く忙しい
- 海藻や豆類をあまり食べていない
- 外食が多い、お菓子や甘いものが好き
- 肌荒れや髪のパサつきが気になる
骨が弱くなっていき体内酵素も減っていく40代を過ぎたらぜひ食べてもらいたいのが粒納豆なのです。
粒納豆に多い栄養素:まとめ
粒納豆に多い栄養素と効果効能を紹介しました。
粒納豆に多い栄養素:女性の1日の目標量の20%以上含まれているのは、モリブデン、ビタミンK、銅。パントテン酸、セレン、鉄、葉酸。
10%以上なら、ビタミンB2、ナイアシン、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維、ビオチン、マグネシウム、カリウム。
粒納豆の効能:骨粗しょう症予防、貧血予防、疲労回復、有害物質の排出、病気や老化の予防、コレステロールを下げる、便秘解消、美肌・美髪
栄養も効果効能もぎっしりと凝縮した納豆は、料理不要で手軽に食べられる点でも優秀な食べ物。
ふだんの食生活にぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。