畑の肉と言われるほど栄養が凝縮されている大豆。たんぱく質に大豆イソフラボンに食物繊維にと、いろんな栄養にあふれています。
そんな大豆にはどんな栄養素が多いのか、ご存じですか?
このページを読むと……
- 大豆に多い栄養素は?
- 大豆の煮豆1食分で1日に必要な栄養の何%が摂れる?
- 大豆にはどんな効果効能がある?
- どんな人こそ食べるのがいいの?
などが手に取るようにわかります。大豆の栄養を上手に活用して元気に過ごしましょう。
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大豆1食分の栄養価
まずは大豆に多い栄養素について。
よく大豆100gあたりの栄養価が紹介されていますが、生の大豆100gを食べるとなるとかなりの量。煮豆にすると220gです。
ここでは、生の大豆100gの栄養価ではなく、
大豆の煮豆を1皿食べると、1日に必要な栄養素の何%が摂れる?
大豆にはどの栄養素が多い?どんな効能が期待できる?
といったかたちで、ビタミン、ミネラル、食物繊維の順にお伝えしていきます。
▼ 1食分の量は?
大豆の煮豆を小皿に1皿で約50g。
生の大豆を煮豆にすると重さは2.2倍になります。
生の大豆の栄養価ではなく煮た大豆の栄養価です。大豆の煮豆を1皿食べるとどのくらい栄養を摂れるか、ということです。

大豆に多いビタミンは?
栄養素ごとに1日に必要な量というのがあって「推奨量」「目安量」「目標量」などと呼ばれています。
たとえば鉄分なら……
鉄分の1日の推奨量(目標量)
18~64歳なら、
女性:6.5mg、男性:7.5mg
栄養素によって、男性と女性とで1日に必要な量が違ったり、年齢層によって違ったりします。
では大豆の煮豆を1皿食べると、女性にとって1日に必要なビタミンの何を摂ることができるのでしょうか?

※参考サイト:文部科学省「食品成分データベース」
女性の1日の目標量に対して、大豆1食分に多いビタミンは……
ナイアシン | 16.3% |
ビタミンE | 13.3% |
ビオチン | 9.8% |
葉酸 | 8.5% |
ビタミンB1 | 7.7% |
小鉢1皿50gのわずかな量でも、ビタミンB群やEがしっかり摂ることができます。
では次に大豆にはどんなミネラルが多いのかについてお伝えします。
大豆に多いミネラルは?
大豆の煮豆を1皿食べると、女性にとって1日に必要なミネラルの何%が摂れるのでしょうか?

女性の1日の目標量に対して、大豆1食分に多いミネラルは……
モリブデン | 192.5% |
マグネシウム | 17.2% |
鉄 | 16.9% |
銅 | 16.4% |
マンガン | 14.4% |
カリウム | 13.3% |
ビタミン豊富な大豆ですが、ミネラルはさらに豊富。マグネシウムや鉄や銅は骨を強くし、モリブデンやマンガンは食べ物をエネルギーに変えて疲労回復をサポートします。
さて最後に、大豆の煮豆を1皿食べると食物繊維をどのくらい摂れるのかをお伝えしてから、大豆の8つの効果効能を紹介します。
大豆に食物繊維は多い?
食物繊維は2種類に分かれていてはたらきも違います。
▼水溶性食物繊維:
海藻や果物に多い食物繊維。昆布など海藻のトロ~ッとした部分などがそうですね。血圧・血糖値・中性脂肪・コレステロールなどをおさえる効果や、固い便をやわらかくして便秘を解消する効果など。
▼不溶性食物繊維:
いわゆる繊維質のものが不溶性食物繊維。玄米・ごぼう・れんこん・さつまいもなど、ポソポソした食感のもの。有害な物質を排出したり、便のカサを増やして腸を刺激して便秘を解消する効果など。
では、大豆の煮豆を1皿食べると女性にとって1日に必要な食物繊維の何%が摂れるのでしょうか?

不溶性食物繊維 | 26.7% |
水溶性食物繊維 | 18.3% |
大豆には食物繊維もぎっしり。食物繊維不足の私たち日本人にはうれしい食材です。
特に、1日に必要な量のわずか55%程度しか摂れていない水溶性食物繊維も大豆にはたっぷり。生活習慣病が気になる世代には欠かせない食べ物ですね。
では、
大豆に多い栄養素にはどんな効果がある?
私たちはその栄養素がちゃんと摂れている?
大豆に多い栄養素とその効果効能

大豆の煮豆1皿で、女性にとって1日に必要な量の15%以上が摂れる栄養素はこちらの7つ。
モリブデン | 192.5% |
不溶性食物繊維 | 26.7% |
水溶性食物繊維 | 18.3% |
マグネシウム | 17.2% |
鉄 | 16.9% |
銅 | 16.4% |
ナイアシン | 16.3% |
では、私たちはこれらの栄養素が足りているのか、大豆の煮豆1皿でどのくらい補えるのか、どんな効果があるのか、見てみましょう。
モリブデン
大豆にもっとも多い栄養素はモリブデン。貧血予防、疲労回復、デトックスなどのはたらきがあります。
大豆のモリブデンの量は?
モリブデンの1日の推奨量は、
女性が20μg、男性が30μg。
大豆の煮豆の小皿1皿(50g)に
モリブデンは38.5μg。
女性の推奨量の192.5%、
男性の推奨量の128.3%です。

※参考サイト:文部科学省「食品成分データベース」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」、国立健康・栄養研究所「モリブデン解説」
モリブデンは一般的な食生活なら、不足することも摂りすぎることもまずないようです。
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モリブデンの効果効能は?
モリブデンには次のような効果があります。
- 貧血を予防する
鉄分のはたらきを促進して血液をつくる - 疲労回復、ダイエット
糖質、脂質の代謝を助ける - 尿酸の代謝を助ける
食べ物に含まれるプリン体を分解して尿酸を作って排出する - 食べ物の消化を促進する
消化酵素のはたらきをサポート - 体に有毒な物を分解する
- 余分な銅を排出する
モリブデンの摂りすぎで尿酸が多くなりすぎると体から排出しきれなくなって、高尿酸血症や痛風などになることも。
ただ、女性の1日の上限量は500μg。大豆の煮豆なら13皿分なので、実際には症状が出るほどのモリブデンを摂ることはなさそうです。
不溶性食物繊維

2番目に多い栄養素は不溶性食物繊維。
ブロッコリー、枝豆、かぼちゃ、玄米、押し麦、エリンギ、えのきたけなど、野菜や未精製の穀物やきのこ類に多い成分です。
大豆の不溶性食物繊維の量は?
不溶性食物繊維の1日の目標量は
女性が12g、男性が14g。
大豆の煮豆1皿50gには3.2g。
女性の目標量の26.7%、
男性の目標量の22.9%になります。
※食物繊維の目標量は女性18g、男性21g。「水溶性:不溶性=1:2」が推奨されているので、不溶性食物繊維の1日の目標量を上記の量として紹介しています。
では、私たちは不溶性食物繊維がちゃんと摂れている?大豆の煮豆を1皿食べると摂取量はどう増える?

女性:
平均摂取量=93%
大豆の煮豆小皿1皿50g=27%
合計=120%
男性:
平均摂取量=84%
大豆の煮豆小皿1皿50g=23%
合計=107%
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「栄養摂取状況調査」、農林水産省「ビタミンと食物繊維」、NHK健康チャンネル「食物繊維のスーパーパワー」
男女とも不溶性食物繊維は不足ぎみ。大豆なら小皿1皿食べるだけで目標に届きます。
ちなみに、不溶性食物繊維の多い食べ物には大豆のほかに、干し柿、柿、ラズベリー、りんご、グリーンキウイ、おから、おからパウダー、ブロッコリー、枝豆、里芋、玄米などがあります。
不溶性食物繊維の効果効能は?
不溶性食物繊維のおもな効果は次の3つ。
- 便秘を解消する
体内で水分を吸収して数倍から数十倍にふくらんで腸を刺激。蠕動(ぜんどう)運動を活発にしてお通じを促進する。 - 有害物質を排出する
重金属、食品添加物、ダイオキシンなどの有害物質を排出。大腸がんのリスクを減らす効果も期待されている。 - ダイエット
体内でふくらむので満腹感を得やすい。繊維質なので自然とよく噛むことでも満腹感を得やすい。腸がキレイになることでもダイエット効果が期待できる。
水溶性食物繊維
大豆に3番目に多い栄養素は水溶性食物繊維。海藻や果物に多い成分です。
大豆の水溶性食物繊維の量は?
水溶性食物繊維の1日の目標量は
女性が6g、男性が7g。
大豆の煮豆1皿50gには1.1g。
女性の目標量の18.3%、
男性の目標量の15.7%になります。
では、大豆の煮豆1皿で水溶性食物繊維をどこまで補える?

女性:
平均摂取量=58%
大豆の煮豆小皿1皿50g=18%
合計=76%
男性:
平均摂取量=51%
大豆の煮豆小皿1皿50g=16%
合計=67%
私たちは目標量の半分程度しか摂れていません。大豆の煮豆1皿で18%ほど補えても、まだまだ足りません。
水溶性食物繊維が多い食べ物のなかには、寒天、干しいちじく、とろろ昆布、もち麦(お米にまぜて炊くだけ)、豆腐、納豆、枝豆など、手間いらずの食べ物もたくさん。積極的に食べるようにしましょう。
水溶性食物繊維の効果効能は?
水溶性食物繊維のおもな効果は次の6つ。生活習慣病が気になる世代にはうれしい効果が満載です。
- 中性脂肪を減らす
食べ物の脂肪が中性脂肪となる前にキャッチして、便として一緒に体から排出する - コレステロールを下げる
コレステロールをキャッチして排出するだけでなく、コレステロールを消費して減らす - 血糖値の上昇をおさえる
体内で水に溶けてねっとりゼリー状になってほかの食べ物も一緒に腸をゆっくりと進むので、消化もゆっくりになって血糖値の上昇をおさえられる。 - 便秘を解消する
腸の中でゼリー状になった水溶性食物繊維が固い便に水分をあたえて柔らかくして、お通じをスムーズにする。また善玉菌のエサとなって善玉菌を増やしたりはたらきを高めて腸内環境を整える。 - 血圧を下げる
ナトリウム(塩分)を吸着して便として一緒に体から排出される。特に海藻に含まれる水溶性食物繊維にその効果が高い。 - ダイエット
中性脂肪やコレステロールが減る。ゼリー状になって腸内をゆっくり進むので満腹感が続く。善玉菌のエサとなるので腸内環境が整う。
水溶性食物繊維の効果についてはこちらでくわしく紹介しています。
水溶性食物繊維のスゴい6つの効果と多い食べ物とは?
生活習慣病の予防だけでなく、便秘の解消にも効果的な水溶性食物繊維。
大豆には水溶性と不溶性の両方の食物繊維がたっぷり。いろんなタイプの便秘解消に効果を発揮してくれるでしょう。
ちなみに便秘のタイプによって「水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のどちらが効能的なのか」が違います。不溶性食物繊維の摂りすぎでかえって便秘がひどくなることも。
どちらの食物繊維が効果的なのかは、こちらを参考になさってください ↓
マグネシウム

4番目に多い栄養素はマグネシウム。骨を強くしたり、血圧を調整するミネラルです。
大豆のマグネシウムの量は?
マグネシウムの1日の推奨量は、
女性が290mg、男性が370mg。
大豆の煮豆1皿には50mg。
女性の推奨量の17.2%、
男性の推奨量の13.5%です。
では、大豆の煮豆1皿でマグネシウムの摂取量はどう増える?

女性:
平均摂取量=81%
大豆の煮豆小皿1皿50g=17%
合計=98%
男性:
平均摂取量=71%
大豆の煮豆小皿1皿50g=14%
合計=85%
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「マグネシウム解説」、厚生労働省 e-ヘルスネット「マグネシウム」
マグネシウムも私たちにかなり不足している栄養素のひとつ。大豆でしっかり補えるもののまだ目標には届きません。
マグネシウムの多い食べ物は大豆のほかにも、豆腐、厚揚げ、豆乳、枝豆、玄米、そば、アーモンド、ピーナッツ、天津甘栗、魚介類など。豆や大豆加工品、ナッツ類に多いミネラルです。
マグネシウムの効果効能は?
マグネシウムのおもな効果は次の6つ。
- カルシウムとともに骨や歯を強くする
- 筋肉をスムーズに動かす
- 血圧を調整する
- 体内のあらゆる酵素のはたらきを助ける
- 神経伝達を正常にして、神経を安定させる
- さまざまなホルモンを活性化させる
マグネシウム不足で糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクがぐんと高まると言われています。他にも、不整脈、疲労、不眠、動脈硬化、骨粗しょう症、尿路結石、アトピーなど。
日本人に不足しがちな栄養素なので、意識して摂るようにしたいですね。
鉄分
大豆に5番目に多い栄養素は鉄分。貧血予防や免疫力を高めるはたらきがあります。
大豆の鉄分の量は?
鉄の1日の推奨量は、
女性が6.5mg、男性が7.5mg。
大豆の煮豆1皿には1.1mg。
女性の推奨量の16.9%、
男性の推奨量の14.7%になります。
では、私たちは鉄分が足りている?大豆の煮豆1皿で摂取量はどう増える?

女性:
平均摂取量=112%
大豆の煮豆小皿1皿50g=17%
合計=129%
男性:
平均摂取量=107%
大豆の煮豆小皿1皿50g=15%
合計=122%
鉄分の多い食べ物はこちらで紹介しています。
鉄分の多い食べ物ランキング35【1食分】で比較!効果効能も!
鉄分の効果は?
鉄分のおもな効果は次の5つ。
- 貧血予防(ヘモグロビンをつくる)
- コラーゲンをつくる
- 骨をつくる
- 皮膚や粘膜をつくる
- 免疫力を高める
銅
6番目に多い栄養素は銅。不足しにくい栄養素で、私たちは目標量の130~150%ほど摂れています。
銅の効果効能は?
銅にはおもに次の5つの効果があります。
- 貧血予防(鉄分と一緒に血液をつくる)
- 骨粗鬆症や動脈硬化の予防
- 老化や病気の予防(抗酸化作用)
- 健康な黒い髪をつくる
- 弾力のある肌を作る
貧血といえば鉄分不足と思いがち。でも銅が不足することで起こる「銅欠乏性貧血」もあります。
銅は不足しにくい栄養素ですが、ストレスが多い人や亜鉛のサプリメントを飲んでいる人は銅不足になりやすい傾向があります。
レバー、ナッツ類、さといも、枝豆、豆腐、納豆、豆乳など、銅の多い食べ物を積極的に食べましょう。
ナイアシン
7番目に多い栄養素はナイアシン。
ナイアシンは食べ物に含まれるトリプトファンからも作られるので、不足しにくい栄養素。1日に必要な量の200%以上もしっかりと摂れています。
また余った分は尿として排出されます。摂りすぎの心配もありません。
ナイアシンの効果効能は?
ナイアシンのおもな効果は次の4つ。
- 疲労を回復して元気な体に
- 肌を整えてシミやソバカスを改善する
- 二日酔いを予防する
- 精神を安定させる
以上、大豆に多い栄養素のはたらきを紹介しました。
最後にこれらのはたらきをまとめて、大豆の効果効能は?どんな人こそ食べるといい?についてお伝えします。
大豆の8つの効果効能
大豆には、2種類の食物繊維、マグネシウム、鉄、銅、タンパク質やイソフラボンなど、さまざまな栄養素が豊富。
これらの栄養素のなかでも特に「私たちの不足分を大豆でしっかり補える栄養素」のはたらきを中心に、大豆に期待される効果効能をまとめてみました。
- 便秘を解消する
固い便を柔らかくしてカサを増やしてお通じをスムーズに。善玉菌を増やして腸内環境も整える。 - 中性脂肪を減らす
食べ物の脂肪が中性脂肪となる前に便として排出する - コレステロールを下げる
コレステロールを排出するだけでなく、コレステロールを消費して減らす - 血糖値の上昇をおさえる
水溶性食物繊維がほかの食べ物の消化もゆっくりにして血糖値の上昇をおさえる - 血圧を下げる
水溶性食物繊維やカリウムが余分な塩分を排出する - 骨や歯を丈夫に
マグネシウムや鉄分が骨や歯を強くする - 貧血予防
鉄・銅・モリブデンが血液をつくる - 疲労回復
食べ物を分解・代謝してエネルギーをつくる
ということで、大豆をぜひ食べてもらいたい人は……
こんな人こそ大豆を食べてほしい!
大豆をぜひ食べてほしいのはこちら!
- 血圧が高い
- 血糖値が気になる
- お腹まわりが気になる
- 便秘がち
- 貧血ぎみ
- 疲れがとれない
- ストレスが多い
- お菓子をよく食べる
たんぱく質やイソフラボンなど女性にうれしい栄養素も豊富な大豆。
生活習慣病を予防したい、ダイエットしたい、お酒やお菓子が好き、といった方にもぜひ食べてもらいたいのが大豆なのです。
大豆に多い栄養素:まとめ
大豆に多い栄養素と効果効能を紹介しました。
大豆に多い栄養素:1日の目標量に対して多い順番に、モリブデン、不溶性食物繊維、水溶性食物繊維、マグネシウム、鉄、銅、ナイアシン、マンガン、ビタミンE、カリウム
大豆の効能:便秘解消、中性脂肪やコレステロールを減らす、血圧を下げる、血糖値をおさえる、骨や歯を強くする、貧血予防、疲労回復
小鉢1皿の大豆にはあらゆる栄養素がぎっしり。煮豆や野菜スープなど、ふだんの食生活にぜひ取り入れてみてください。