ブロッコリーは低カロリーなのに栄養豊富な緑黄色野菜。美容や健康のためにお米の代わりにブロッコリーを、という方もいらっしゃいますね。
そんなブロッコリー。どんな栄養素が多いのか、どんな効果効能があるのか、ご存じですか?
これからお伝えする内容を読むと、
- ブロッコリーに多い栄養素は?
- ブロッコリーの温野菜1皿で、1日に必要な栄養素の何%が摂れる?
- ブロッコリーの効果効能は?
- どんな人こそ食べるといいの?
といったことが手に取るようにわかります。ブロッコリーの栄養をしっかり摂って元気な毎日を過ごしましょう。
ブロッコリー1食分の栄養価
ブロッコリーに多い栄養素は何でしょう?
よく100gあたりの栄養価が紹介されていますが、ブロッコリー100gがどのくらいの量なのかイメージできますか?
ここでは「ブロッコリー100gあたり」ではなく、
「ブロッコリーの温野菜1食分」に、どんな栄養素がどのくらい含まれているのか?
というかたちで、ビタミン、ミネラル、食物繊維の順にお伝えします。
▼ 1食分の量は?
ブロッコリーの温野菜1皿(72g)。
ブロッコリー1株が300gで茎や葉を除くと可食部は195g。茹でると215gになります。これを3人分と考えてブロッコリーの温野菜72gを1食分としました。

ブロッコリーに多いビタミンは?
まずはビタミン。ブロッコリーの温野菜1皿にはどんなビタミンが多いのでしょうか?
栄養素にはそれぞれ「健康でいるためには1日にこのくらいの量を摂りましょう」という目安があります。
たとえばビタミンEなら……
ビタミンEの1日の目安量(目標量)
30~49歳なら、
女性:5.5mg
男性:6.0mg
50~64歳なら、
女性:6.0mg
男性:7.0mg
性別や年齢によって1日の目標量が違ったりしますがここでは「大人の女性の場合は?」「大人の男性の場合は?」として紹介していきます。
まずは女性の場合から。
ブロッコリーの温野菜を1皿食べると女性にとって1日に必要なビタミンの何%を摂ることができるのでしょうか?

※参考サイト:文部科学省「食品成分データベース」
ブロッコリーはあらゆるビタミンが豊富!なかでも多いものは……
ビタミンK | 91.2% |
ビタミンC | 39.6% |
葉酸 | 36.0% |
ビタミンE | 32.4% |
骨を強くするビタミンK。ブロッコリーの温野菜1皿で1日の目標量のほとんどを摂ることができてしまいます。
ビタミンC、E、葉酸も、1日の目標量の30%以上とたっぷり含まれています。
では、男性にとって1日に必要なビタミンに対してはどうでしょう?

男性にとっても、ビタミンK、C、E、葉酸をはじめ、いろんなビタミンをしっかり摂ることができますね。
ではブロッコリーに多いビタミンの効果効能をお伝えする前に、ブロッコリーにはどんなミネラルが多いのかをお伝えします。
ブロッコリーに多いミネラルは?
ブロッコリー1食分にはどんなミネラルが多いのでしょうか?
女性にとって1日に必要なミネラルの何%が含まれているのかのグラフがこちら。

男性は……

ビタミンほどの多さではないですが、ブロッコリーにはいろんなミネラルも含まれています。
ミネラルの中で多いものはこちら。
モリブデン | 14.4% |
鉄 | 10.0% |
カリウム | 7.6% |
リン | 6.7% |
銅 | 6.2% |
※女性の1日に必要な量の何%が含まれているかを数値で表しています。
エネルギー代謝を助けるモリブデン(14%)や鉄分(10%)など、この5つのミネラルには女性の1日の目標の5%以上が含まれています。
さて最後にブロッコリーにはどのくらい食物繊維が含まれているのかをお伝えします。
ブロッコリーに食物繊維は多い?
最後に食物繊維。食物繊維は2種類に分かれていてそれぞれはたらきが違います。
▼水溶性食物繊維:
海藻や果物に多い食物繊維。血圧・血糖値・中性脂肪・コレステロールなどをおさえる効果、固い便をやわらかくして便秘を解消する効果など。
▼不溶性食物繊維:
食物繊維と言われてイメージする繊維質のもの。玄米・ごぼう・れんこん・さつまいもなどに多い。有害な物質をデトックスしたり、便のカサを増やして便秘を解消する効果など。
さて女性に必要な食物繊維の何%が含まれているのかのグラフがこちらです。

男性の場合はこちら。

ブロッコリーは実は食物繊維の宝庫。
食物繊維が不足している私たち日本人。特に、血圧・中性脂肪・血糖値など生活習慣病の予防にすごい効果を発揮する水溶性食物繊維は、たったの50%しか摂れていないのですが……
ブロッコリーの温野菜なら1皿で12%(男性は10%)も補えます。とはいえまだ目標クリアにはほど遠いですね。
水溶性食物繊維の多い野菜はほかにも里芋、ごぼう、オクラ、かぼちゃなど。くわしくはこちらにて。
水溶性食物繊維の多い野菜ランキング12【1食分】で比較!
またブロッコリーには不溶性食物繊維もぎっしり。意外にも食物繊維が豊富な食べ物なのです。
では、
ブロッコリーに多い栄養素の効果効能は?
私たちはその栄養素が足りている?
ブロッコリーに多い栄養素とその効果効能

女性の1日の目標量に対して、ブロッコリー1食分に特に多い栄養素がこちら。
ビタミンK | 91.2% |
ビタミンC | 39.6% |
葉酸 | 36.0% |
ビタミンE | 32.4% |
不溶性食物繊維 | 19.8% |
水溶性食物繊維 | 12.0% |
では順番に、その栄養素をどのくらい補えるのか、どんな効果があるのか、についてお伝えしていきますね。
ビタミンK
ブロッコリーのビタミンKの量は?
ブロッコリーの温野菜1皿(72g)の
ビタミンKの量は137μg。
ビタミンKの1日の目標量は女性も男性も150μg。
ブロッコリーの温野菜1皿分のビタミンKは1日の目標量の91%です。
ところで……
私たちはビタミンKがちゃんと摂れている?
ブロッコリーの温野菜を1皿プラスしたら、摂取量はどのくらい増える?
女性の場合をみてみると……

女性:
平均摂取量=157%
ブロッコリー1皿=91%
合計=248%
男性は……

男性:
平均摂取量=164%
ブロッコリー1皿=91%
合計=255%
※参考サイト:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」、国立健康・栄養研究所「栄養摂取状況調査」、「ビタミンK解説」
ビタミンKはいろんな食べ物に含まれていたり、腸のなかでも作られるので不足しにくい栄養素と言われています。
ただ、不足しやすいのは次のような人。
- 食生活が極端にかたよっている
- 抗生物質を長期間飲み続けている
- 胆道閉塞症、肝臓病などの病気をしている
- 新生児や乳幼児(腸のはたらきが未発達)
ブロッコリーは離乳食の初期から食べられますので、乳幼児のお子さんにもおすすめです。
ビタミンKの多い食べ物をこちらで紹介していますのでご参考に。
ビタミンKの多い食べ物ランキング30【1食分】で比較!
ビタミンKの効果効能は?
ビタミンKのおもな効果は次の2つ。
- 骨を丈夫に
- 切り傷など出血した血を固める
食べ物に含まれているビタミンKは3種類に分けられます。そのなかで、骨を強くするはたらきが特に高いビタミンKが多いのが「納豆」。
納豆が骨を強くするのに効果的な理由はこちらをご覧ください。
納豆はカルシウムが多い? 1パックの含有量とほかの食べ物との比較
ビタミンC

ブロッコリーに2番目に多い栄養素はビタミンC。
ブロッコリーのビタミンCの量は?
ブロッコリーの温野菜1皿の
ビタミンCの量は40mg。
ビタミンCの1日の目標量は女性も男性も100mg。なので、ブロッコリーの温野菜1皿分のビタミンCは1日の目標量の40%になります。
では、私たちはビタミンCがちゃんと摂れている?ブロッコリーの温野菜1皿で摂取量はどう増える?

女性:
平均摂取量=96%
ブロッコリー1皿=40%
合計=136%

男性は平均摂取量が目標量の91%でやや不足気味。
男性:
平均摂取量=91%
ブロッコリー1皿=40%
合計=131%
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「ビタミンC解説」
ビタミンCの効果効能は?
ビタミンCのおもな効果は次の7つ。
- 血管・皮膚・骨を強くする
- 免疫力を高める
(ウイルスへの抵抗力アップ) - 老化や病気を予防する
(抗酸化作用) - ストレスから守る
- 鉄分の吸収を助ける
- コレステロールをおさえる
- シミを防ぐ
風邪を予防する、ストレスから守る、美肌・美白など、ビタミンCのはたらきはご存じですね。
家庭で料理する時の加熱程度ならビタミンCはほとんど壊れないとか。ただし、長時間水にさらしたり、茹でこぼしたりすると、ビタミンCが流れ出てしまいます。
ここで紹介したビタミンCの含有量は茹でた場合のもの。茹でるより「蒸す」方法で温野菜を作れば、もっと多くのビタミンCが摂れるでしょう。
葉酸
ブロッコリーの温野菜に3番目に多い栄養素は葉酸。ビタミンB群の1つですね。
ブロッコリーの葉酸の量は?
ブロッコリーの温野菜1皿(72g)の
葉酸の量は86μg。
葉酸の1日の目標量は女性も男性も240μg。ブロッコリーの温野菜1皿の葉酸の量は1日の目標量の36%になります。
では、私たちは葉酸がちゃんと摂れている?

女性:
平均摂取量=118%
ブロッコリー1皿=36%
合計=154%

男性:
平均摂取量=123%
ブロッコリー1皿=36%
合計=159%
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「葉酸解説」
葉酸の効果効能は?
葉酸のおもな効果は次の4つ。
- 妊娠中のお腹の赤ちゃんを正常に成長させる
- 血液(赤血球)を作るサポート
- 細胞をつくるサポート
- 肌や粘膜を守って整える
葉酸不足は貧血の原因にも。お酒を飲む人、アスピリンやピルを飲んでいる人は葉酸不足になりやすいので、ブロッコリーなど葉酸の多い食べ物を意識して食べましょう。
ビタミンE

ブロッコリーに4番目に多い栄養素はビタミンE。サラサラ効果の高い栄養素ですね。
ブロッコリーのビタミンEの量は?
ブロッコリーの温野菜1皿の
ビタミンEの量は1.9mg。これは、
- 女性:1日の目標量の32.4%
- 男性:1日の目標量の27.8%
ブロッコリーを食べるビタミンEの摂取量はどう増える?

女性:
平均摂取量=108%
ブロッコリー1皿=32%
合計=140%

男性:
平均摂取量=100%
ブロッコリー1皿=28%
合計=128%
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「LDLコレステロール」、国立健康・栄養研究所「ビタミンE解説」、
ビタミンEの効果効能は?
ビタミンEのおもな効果は次の7つ。
- 動脈硬化の予防
- 悪玉コレステロールをおさえて、心筋梗塞や脳梗塞を防ぐ
- 心疾患や貧血の予防
- 血行を良くしてコリや冷えを防ぐ
- 美肌・美髪
- 記憶力を高める
- 更年期障害の症状をやわらげる
ビタミンEはサラサラ効果の高い栄養素。血管のお掃除をして、流れを良くしてくれます。
洋食が多い、揚げ物が好き、甘いものが好き、肩こり、冷え性、といった方にブロッコリーはおすすめです。
不溶性食物繊維
5番目に多い栄養素は不溶性食物繊維。
ブロッコリーの不溶性食物繊維の量は?
ブロッコリーの温野菜1皿(72g)の
不溶性食物繊維の量は2.4g。これは、
- 女性:1日の目標量の20%
- 男性:1日の目標量の17%
ブロッコリーを1皿食べると不溶性食物繊維の摂取量はどう増える?

女性:
平均摂取量=93%
ブロッコリー1皿=20%
合計=113%

男性:
平均摂取量=84%
ブロッコリー1皿=17%
合計=101%
※参考サイト:農林水産省「ビタミンと食物繊維」、NHK健康チャンネル「食物繊維のスーパーパワー」
不溶性食物繊維の効果効能は?
不溶性食物繊維のおもな効果は次の3つ。
- 有害物質を排出する
- 便秘を解消する(便のカサを増やす)
- ダイエット
一番のメリットは「有害物質の排出」ではないでしょうか。
私たちのまわりは化学物質であふれています。不溶性食物繊維の多い食べ物でしっかりと出してもらいましょう。
水溶性食物繊維

ブロッコリーに6番目に多い栄養素は水溶性食物繊維。
生活習慣病の予防に劇的な効果をもたらしてくれるにもかかわらず、私たちにまったく足りていない栄養素ですね。
ブロッコリーの水溶性食物繊維は?
ブロッコリーの温野菜1皿(72g)の
水溶性食物繊維の量は0.72g。これは、
- 女性:1日の目標量の12.0%
- 男性:1日の目標量の10.3%
さて私たちは、水溶性食物繊維がどのくらい足りていない?ブロッコリーでどこまで補える?

女性:
平均摂取量=58%
ブロッコリー1皿=12%
合計=70%
ブロッコリーの温野菜1皿を追加すると合計で70%にはなりますが、まだまだ足りません。

男性:
平均摂取量=51%
ブロッコリー1皿=10%
合計=61%
男性の平均摂取量はさらに少なく、目標量のわずか51%。ブロッコリーの温野菜1皿を追加しても合計61%で目標には遠く及びません。
水溶性食物繊維の効果効能は?
水溶性食物繊維のおもな効果は次の6つ。
- 中性脂肪を減らす
- コレステロールを下げる
- 血糖値の上昇をおさえる
- 腸内環境を整える(便秘解消)
- 血圧を下げる
- ダイエット
これだけの効果があるのにまったく足りていない水溶性食物繊維。
ひじき、寒天、さといも、お味噌汁にととろ昆布を加える、ごはんを炊くときにもち麦を混ぜる、おかずにお豆腐を加える。
1食分でも水溶性食物繊維がしっかり含まれる食べ物はいろいろ。こちらを参考になさってください。
便秘の解消に効果的な食物繊維ですが、便秘のタイプによっては「不溶性が効果的な便秘」と「水溶性が効果的な便秘」とがあります。
摂るべき食物繊維を間違えると、かえって便秘がひどくなるケースも。
どちらの食物繊維が効果的なのかは、こちらでわかりやすくお伝えしています ↓
ブロッコリー1食分に多い栄養素とその効果効能を紹介しました。
これらのはたらきをまとめて、最後にブロッコリーの効果効能は?どんな人こそ食べると効果的?についてお伝えします。
ブロッコリーの11の効果効能
ブロッコリーにはビタミン、ミネラル、食物繊維と、いろんな栄養素が豊富。
これらの栄養素のはたらきから、ブロッコリーに期待される効果効能をまとめてみました。
- 免疫アップでウイルスに負けない
- がん予防
- 血圧を下げる
- 中性脂肪を減らす
- コレステロールを下げる
- 血糖値をおさえる
- 便秘を解消する
- 貧血予防
- ストレスから守る
- 美肌・美髪
- 胎児の成長促進
栄養素が凝縮されているだけあって、期待される効果効能もたっぷり。
ビタミンなどの栄養素だけでなく、スルフォラファンやイソチオシアネートといったフィトケミカルによるがん予防効果も期待できるブロッコリー。
そんなブロッコリーをぜひ食べてもらいたい人は……
こんな人にブロッコリーを食べてほしい!
ブロッコリーをぜひ食べてほしいのはこちら。
- 40代からの生活習慣病が気になる世代
- お腹まわりが気になる人
- 風邪をひきやすい人
- 便秘がち
- 貧血ぎみ
- ストレスが多い人
- 肌荒れ、髪のパサつきが気になる人
- 赤ちゃんを授かりたい女性
タンパク質も豊富なブロッコリー。40代を過ぎた世代にはもちろんのこと、よく運動する人にもぜひ食べてもらいたいですね。
ブロッコリーに多い栄養素:まとめ
ブロッコリーに多い栄養素と効果効能をお伝えしました。
ブロッコリーに多い栄養素:大人の女性の1日の目標量に対して90%超えがビタミンK。30%超えがビタミンC、葉酸、ビタミンE、不溶性食物繊維。10%超えがモリブデン、水溶性食物繊維、パントテン酸、ビオチン、鉄。
ブロッコリーの効果効能:免疫を高める、がん予防、血圧を下げる、中性脂肪やコレステロールを下げる、血糖値をおさえる、便秘解消、貧血予防、ストレスから守る、美肌・美髪、胎児の成長促進
どんな人に食べてほしい?:生活習慣病が気になる、お腹まわりが気になる、風邪をひきやすい、便秘がち、貧血ぎみ、ストレスが多い、肌荒れ、髪がパサつく、赤ちゃんを授かりたい
ブロッコリーはいろんな効果がつまった健康野菜の代表。ふだんの食生活にぜひ取り入れてみてください。