ほうれん草に多い栄養は「鉄分」って思っていませんか?
確かに身近な野菜のなかで【1食分あたり】で比べると、第8位とやや上位(1位は枝豆)。
でも食品全体でみると、ほうれん草はなんと40位。鉄分がたっぷりというほどではないんです。
これからお伝えする内容を読むと、
- ほうれん草って、ホントはどんな栄養素が多い?
- ほうれん草のサラダ1皿で、1日に必要な栄養素が何%摂れる?
- ほうれん草の効果効能は?
といったことが手に取るようにわかります。ほうれん草の栄養を上手に摂って元気な毎日を過ごしましょう。
ちなみに鉄分の多い食べ物についてはこちらで具体的に紹介しています。
鉄分の多い食べ物ランキング35【1食分】で比較!効果効能も!
ほうれん草1食分の栄養価
ほうれん草にはどんな栄養素が多いのでしょうか?
100gあたりの栄養価がよく紹介されていますが「ほうれん草100g」ってどのくらいの量かイメージがわきますか?
ここでは「ほうれん草のサラダ1食分」に、どんな栄養素がどのくらい含まれているのか、というかたちで、ビタミン→ミネラル→食物繊維の順にお伝えします。
▼ 1食分の量は?
ほうれん草のサラダ1皿(45g)。
ほうれん草は1袋が約200g。株元を除くと可食部は180gほど。これを4人分として1食分を45gとしました。

ほうれん草に多いビタミンは?
まずはビタミン。ほうれん草のサラダ1皿にはどのビタミンが多いのでしょうか?
栄養素にはそれぞれ「健康でいるためには1日にこのくらいの量を摂りましょう」という目安があります。
たとえばビタミンAの場合は……
ビタミンAの1日の推奨量(目標量)
30~64歳なら、
女性:700μgRAE
男性:900μgRAE
まずは、ほうれん草のサラダを1皿食べると女性にとって1日に必要なビタミンを何%摂れるのかをグラフにしてみました。

※参考サイト:文部科学省「食品成分データベース」
ほうれん草のサラダ1皿に多い栄養素は、ビタミンの中では……
ビタミンK | 81.0% |
葉酸 | 39.4% |
ビタミンA | 22.5% |
ビタミンE | 15.8% |
ビタミンC | 15.8% |
ビタミンKは骨を強くしてくれるビタミン。わずか45gのほうれん草に1日の目標量の81%ものビタミンKが含まれています。
次いで葉酸が39%。葉酸はほうれん草から見つかった栄養素なだけに、しっかりと含まれていますね。
ビタミンのエース(A・C・E)も豊富なので、免疫アップにも抗酸化にも期待できます。
では、男性にとって1日に必要なビタミンの何%を摂ることができるのかというと……

男性にとっても、ビタミンK、葉酸、ビタミンA、C、E、などをしっかりと補うことができます。
ではほうれん草に多いビタミンの効果効能をお伝えする前に、ほうれん草にはどんなミネラルが多いのかをお伝えします。
ほうれん草に多いミネラルは?
ほうれん草のサラダ1皿には女性にとって1日に必要なミネラルの何%が含まれているのでしょうか?

男性は……

ビタミンほど飛びぬけて多い栄養素はありませんが、ほうれん草のサラダ1皿分に多いミネラルはこちら。
カリウム | 15.5% |
鉄 | 13.8% |
モリブデン | 11.3% |
マグネシウム | 10.7% |
クロム | 9.0% |
※女性の1日に必要な量の何%が含まれているかを数値で表しています。
鉄分は1日の目標の14%。ほうれん草45gの中にも鉄分はしっかり含まれています。
野菜に含まれる鉄分は吸収率の低い「非ヘム鉄」。ただほうれん草には、非ヘム鉄の吸収を高めるビタミンCも豊富なので、この点も問題ないですね。
ちなみに鉄分の多い野菜は、枝豆、大根の葉っぱ、サニーレタス、さといも、小松菜、水菜などです。
さて最後に、ほうれん草にはどのくらい食物繊維が含まれているのかをお伝えしてから、ほうれん草の効果効能を紹介します。
ほうれん草に食物繊維は多い?
最後に食物繊維。食物繊維は2種類に分かれていて、それぞれはたらきが違います。
・水溶性食物繊維:海藻のトロ~ッとした部分や果物に多い。血圧・中性脂肪・コレステロール・血糖値などの生活習慣病予防、便秘解消に効果を発揮。
・不溶性食物繊維:食物繊維というイメージとおりポソポソした繊維質のもの。野菜や玄米やおからなどに多い。有害物質のデトックス、便秘解消、ダイエットなどに効果を発揮。
さて、ほうれん草のサラダ1皿には食物繊維はどのくらい含まれているのでしょうか?
女性はこちら。

男性はこちら。

5~7%補えるといったところですね。
日本人は食物繊維不足。不溶性食物繊維は1日の目標の90%ほど、水溶性食物繊維にいたってはわずか50%ほどしか摂れていません。
海藻や野菜をそれほど食べていない人や洋食が多い人は、水溶性食物繊維の多い食べ物を意識して摂りましょう。
では、
ほうれん草に多い栄養素の効果効能は?
私たちはその栄養素が足りている?
ほうれん草に多い栄養素とその効果効能

女性の1日の目標量に対して、ほうれん草のサラダ1皿に多い栄養素の上位7つがこちら。
ビタミンK | 81.0% |
葉酸 | 39.4% |
ビタミンA | 22.5% |
ビタミンE | 15.8% |
ビタミンC | 15.8% |
カリウム | 15.5% |
鉄 | 13.8% |
では順番に、その栄養素をどのくらい補えるのか、どんな効果があるのか、についてお伝えしていきますね。
ビタミンK
ほうれん草のビタミンKの量は?
ほうれん草のサラダ1皿(45g)の
ビタミンKの量は122μg。
ビタミンKは、1日の目標量が女性も男性も150μg。
ですので、ほうれん草のサラダ1皿のビタミンKは、女性にとっても男性にとっても1日の目標量の81%になります。
ところで……
「私たちはビタミンKがちゃんと摂れてる?不足してる?」
「毎日の食生活にほうれん草のサラダ1皿をプラスしたら、どのくらい増えるの?」
女性の場合をみてみると……

女性:
平均摂取量=157%
ほうれんそう1皿=81%
合計=238%
男性はこちら。

男性:
平均摂取量=164%
ほうれんそう1皿=81%
合計=245%
※参考サイト:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」、国立健康・栄養研究所「栄養摂取状況調査」、「ビタミンK解説」
ビタミンKの効果効能は?
ビタミンKのおもな効果は次の2つ。
- 骨を丈夫に
- 切り傷など出血した血を固める
食べ物に含まれるカルシウムを、骨にペタッと貼りつけて骨を丈夫にするのがビタミンKのはたらき。
ちなみに、骨粗しょう症の予防に特に効果の高いビタミンKは、ひきわり納豆にたっぷり含まれています。
ひきわり納豆には粒納豆をはるかに超えるビタミンK、そしてビタミンB群、鉄分、銅、食物繊維などが豊富。ひきわり納豆の栄養価と効能はこちらです。
ひきわり納豆に多い栄養素は?1パックの栄養価と8つの効果効能
葉酸

ほうれん草に2番目に多い栄養素は葉酸。ビタミンB群の1つでお腹の赤ちゃんの成長にとても大切な栄養素です。
ほうれん草の葉酸の量は?
ほうれん草のサラダ1皿の
葉酸の量は95μg。
葉酸は1日の目標量が女性も男性も240μg。
ほうれん草のサラダ1皿の葉酸の量は、1日の目標量の39%になります。
では、私たちは葉酸がちゃんと摂れている?ほうれん草のサラダ1皿をプラスどう増える?

女性:
平均摂取量=118%
ほうれんそう1皿=39%
合計=157%

男性:
平均摂取量=123%
ほうれんそう1皿=39%
合計=162%
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「葉酸解説」
葉酸の効果効能は?
葉酸のおもな効果は次の4つ。
- 妊娠中のお腹の赤ちゃんを正常に成長させる
- 血液(赤血球)を作るサポート
- 細胞をつくるサポート
- 肌や粘膜を守って整える
葉酸不足は貧血、疲れ、肌荒れ、口内炎に。また「粘膜を守る」ということは「ウイルスをしっかりブロックする」ということにもつながります。
お酒をたくさん飲む人、アスピリンやピルを飲んでいる人は葉酸不足になりやすいので葉酸の多い食べ物を意識して食べるようにしましょう。
ビタミンA
3番目に多い栄養素はビタミンA。免疫力を高める栄養素ですね。
ほうれん草のビタミンAの量は?
ほうれん草のサラダ1皿(45g)の
ビタミンAは158μgRAE。これは、
- 女性:1日の目標量の22.5%
- 男性:1日の目標量の17.5%
では、私たちはビタミンAがちゃんと摂れている?

女性:
平均摂取量=74%
ほうれんそう1皿=23%
合計=97%

男性:
平均摂取量=61%
ほうれんそう1皿=18%
合計=79%
ほうれん草のサラダで18%増えても合計で79%。まだまだ足りません。
にんじん1/2本には 576μgRAEのビタミンA。 ほうれん草のサラダ45gの約4倍も含まれています。
そのほか、春菊、かぼちゃ、大根の葉っぱなど、ビタミンAの多い野菜もしっかり摂るようにしましょう。
ビタミンAの効果効能は?
ビタミンAのおもな効果は次の5つ。
- 風邪などの感染症の予防
- さまざまな病気や老化の予防
- 美肌・美髪
- 夜盲症の予防
- 子供の成長を促進
免疫を高める、活性酸素を除去する、粘膜や肌を守る、目の健康をたもつ、というのがおもな効果です。
ビタミンE

ほうれん草に4番目に多い栄養素はビタミンE。
ほうれん草のビタミンEの量は?
ほうれん草のサラダ1皿に
ビタミンEは0.95mg。これは、
- 女性:1日の目標量の16%
- 男性:1日の目標量の14%
私たちはビタミンEがちゃんと摂れているのかというと……

女性:
平均摂取量=108%
ほうれんそう1皿=16%
合計=124%

男性:
平均摂取量=100%
ほうれんそう1皿=14%
合計=114%
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「抗酸化ビタミン」、「LDLコレステロール」、国立健康・栄養研究所「ビタミンE解説」
ビタミンEの効果効能は?
ビタミンEのおもな効果は次の7つ。
- 動脈硬化の予防
- 悪玉コレステロールをおさえて、心筋梗塞や脳梗塞を防ぐ
- 心疾患や貧血の予防
- 血行を良くしてコリや冷えを防ぐ
- 美肌・美髪
- 記憶力を高める
- 更年期障害の症状をやわらげる
血管をキレイに掃除してサラサラにしてくれる。この効果で血管のつまりをなくして血行が良くして、栄養も酸素も体温もいきわたらせる、というのがビタミンEのはたらきです。
ほうれん草のほか、ビタミンEの多い食べ物はこちら。
ビタミンEの多い食べ物ランキング30【1食分】で比較!
ビタミンC
5番目に多い栄養素はビタミンC。抗酸化に美肌にストレスケアにといろんなはたらきのある栄養素ですね。
ほうれん草のビタミンCの量は?
ほうれん草のサラダ1皿(45g)の
ビタミンCの量は15.8mg。
ビタミンCの1日の目標量は女性も男性も100mg。
ほうれん草のサラダ1皿のビタミンCの量は1日の目標量の15.8%になります。
では、私たちはビタミンCがちゃんと摂れている?

女性:
平均摂取量=96%
ほうれんそう1皿=16%
合計=112%

男性:
平均摂取量=91%
ほうれんそう1皿=16%
合計=107%
ビタミンCの効果は?
ビタミンCのおもな効果は次の7つ。
- 血管・皮膚・骨を強くする
- 免疫力を高める
(ウイルスへの抵抗力アップ) - 老化や病気を予防する
(抗酸化作用) - ストレスから守る
- 鉄分の吸収を助ける
- コレステロールをおさえる
- シミを防ぐ
ストレスが多い人は体内のビタミンCがどんどん壊れていきます。体を守るためにはビタミンCの多い食べ物を積極的に摂ることがとても大切です。
ほうれん草にもビタミンCは多いですが、ミニトマト、ピーマン、キャベツなどにも豊富。ビタミンCの多い野菜はこちらをご覧ください。
ビタミンCの多い野菜ランキング20【1食分】で比較!
果物ならもっと手軽にビタミンCを補えますね。ビタミンCの多い果物はこちら。
ビタミンCの多い果物ランキング20【1食分】で比較!
カリウム

6番目に多い栄養素はカリウム。体のなかの余分な塩分を出してくれるミネラルです。
ほうれん草のカリウムの量は?
ほうれん草のサラダ1皿の
カリウムの量は311mg。
バナナ1本分とほぼ同じ量のカリウムが含まれています。
- 女性:1日の目標量の15.5%
- 男性:1日の目標量の12.4%
そして、私たちの平均摂取量にほうれん草のサラダ1皿をプラスすると?
女性:
平均摂取量=111%
ほうれんそう1皿=16%
合計=127%
男性:
平均摂取量=96%
ほうれんそう1皿=12%
合計=108%
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「カリウム」
カリウムの効果は?
カリウムのおもな効果は次の5つ。
- 余分なナトリウムの排出を促進する
- 血圧を下げる
- 心臓の正常にはたらかせる
- 筋肉をスムーズに動かす
- むくみを解消する
私たちは塩分を摂りすぎる傾向があります。「塩分はなるべくこのくらいに」という量の1.5倍ほど摂っています。
ほうれん草のほか、里芋、じゃがいも、さつまいも、トマト、枝豆、豚肉など、カリウムの多い食べ物で余分な塩分を出しましょう。
ちなみにカリウムと言えばバナナ、というイメージもありますが本当は……。バナナのカリウムの量とほかの食べ物との比較はこちらをご覧ください。
バナナ1本のカリウムの量は?ほかの食べ物と比べると?
鉄分
ほうれん草に多い栄養素の7番目が鉄分。
ほうれん草の鉄分の量は?
ほうれん草のサラダ1皿の
鉄分の量は0.9mg。これは、
- 女性:1日の目標量の14%
- 男性:1日の目標量の12%
そして私たちは鉄分をちゃんと摂れている?
女性:
平均摂取量=112%
ほうれんそう1皿=14%
合計=126%
男性:
平均摂取量=107%
ほうれんそう1皿=12%
合計=119%
※参考サイト:NHK健康チャンネル「鉄分不足による症状~鉄欠乏性貧血とは?」
目標量は摂れていますが、鉄分は吸収率の低い栄養素。貧血ぎみ、立ちくらみがする、息切れ、疲れ、集中力が続かない、といった場合は鉄分不足かもしれません。
ほうれん草をはじめ、鉄分の多い食べ物を積極的に食べましょう。
鉄分の効果は?
鉄分のおもな効果は次の5つ。
- 血液(ヘモグロビン)をつくる
- コラーゲンをつくる
- 骨をつくる
- 皮膚や粘膜をつくる
- 免疫力を高める
ほうれん草に多い栄養素とその効果についてお伝えしました。
最後に、
ほうれん草を食べるとどんな効果効能が期待できる?
どんな人こそほうれん草がいい?
についてお伝えします!
ほうれん草の8つの効果効能とは?
ほうれん草はさまざまなビタミンや鉄分などのミネラルが豊富。
これらの栄養素のはたらきから、ほうれん草に期待される効果効能をまとめてみました。
- 感染症の予防(免疫アップ)
- 老化や病気の予防(抗酸化)
- サラサラ効果
- 血圧を下げる
- 貧血予防
- 美肌・美髪・粘膜を整える
- お腹の赤ちゃんの成長を促進
- ストレスから守る
ということで、ほうれん草をぜひ食べてもらいたい人は……
ほうれん草を食べてほしい人とは?
ほうれん草をぜひ食べてほしいのはこちら。
- 風邪をひきやすい
- 体調がいまひとつ
- 血圧が高い
- 貧血気味
- 肌荒れ、髪のパサつき、口内炎が気になる
- 子供を授かりたい
- 骨粗しょう症を予防したい
- ストレスが多い
ストレスが多い、毎日忙しい、疲れやすい、といった人にパワーを与えて、体をよみがえらせてくれるのがほうれん草なのでしょう。
ほうれん草に多い栄養素:まとめ
ほうれん草に多い栄養素と効果効能をお伝えしました。
ほうれん草に多い栄養素:1日の目標量に対して多い順番に、ビタミンK、葉酸、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、カリウム、鉄、モリブデン、マグネシウム
ほうれん草の効果効能:感染症の予防、老化の予防、サラサラ効果、血圧を下げる、貧血予防、肌や粘膜を整える、胎児の成長促進、ストレスから守る
どんな人に食べてほしい?:風邪をひきやすい、体調がいまひとつ、血圧が高い貧血気味、肌荒れ、髪がパサつく、子供を授かりたい、ストレスが多い
あなたの体を守って、若々しく美しくしてくれるほうれん草。ぜひふだんの食生活に取り入れてみてください。