ラズベリーはフランス語では「フランボワーズ」、日本語では「きいちご」とも呼ばれる小さな赤い実の果物。
ラズベリーケトンと呼ばれる香り成分はダイエット効果がとても高い、ということで注目も高まっています。
そんなラズベリーにはどんな栄養素が多いのか、ご存じですか?
ここで紹介する内容を読むと、
- ラズベリーにはどんな栄養素が多い?
- ラズベリー20粒で1日に必要な栄養の何%が摂れる?
- どんな効能がある?
- どんな人こそ食べるといいの?
といったことが手に取るようにわかります。
ラズベリーの栄養を上手に活用して元気な毎日を過ごしましょう。
※ブルーベリーの栄養価と効能はこちらでくわしく紹介しています。
ブルーベリーの栄養はコレ!8つの健康効果もご紹介
ラズベリーに多い栄養素
ラズベリーにはどんな栄養素が多いのでしょうか?
栄養価のページで「ラズベリーはビタミンEが豊富。100gあたりに0.8mgも含まれていて……」と書かれていたりしますが、
- ラズベリー100gって、
どのくらいの量かわかります? - ビタミンEが0.8mgって、
多いのか少ないのかわかります?
実際には、ラズベリーを1日に100gも食べることはほとんどないでしょう。
そこで「ラズベリー100gに栄養素が何mg含まれているか」ではなく、1日に食べる量を20粒くらいと仮定して、
ラズベリーを20粒食べると、1日に必要な栄養素の何%が摂れるの?
ラズベリーにはどの栄養素が多いの?どんな効能が期待できるの?
というかたちで、ビタミン、ミネラル、食物繊維の順にお伝えしていきます。
▼ 1日に食べる量は?
ラズベリー20粒(60g)。
ラズベリーは1粒が3g。1日に食べる量を20粒60gとして計算しています。
朝と夜に分けて食べるなど、1日に20粒食べた場合にどのくらいの栄養がとれるのか、参考になさってください。

ラズベリーに多いビタミンは?
ラズベリー20粒を食べると 女性にとって1日に必要なビタミンの何%が摂れるのでしょうか?

女性の1日の目標量に対して、ラズベリー20粒に多いビタミンは、
ビタミンC | 13.2% |
葉酸 | 9.5% |
ビタミンE | 8.0% |
パントテン酸 | 5.2% |
ララズベリーにはビタミンCがたっぷり。ほかには葉酸やサラサラ効果のビタミンEが多いですね。
男性の場合はこちら。

では次にラズベリーにはどんなミネラルが多いのかについてお伝えします。
ラズベリーに多いミネラルは?
ラズベリーを20粒食べると女性にとって1日に必要なミネラルの何%が摂れるのでしょうか?

女性の1日の目標量に対して、ラズベリー20粒に多いミネラルはこちら。
銅 | 10.3% |
マンガン | 8.6% |
鉄 | 6.5% |
貧血予防や免疫アップの銅、疲労回復や骨を強くするマンガンなどが豊富に含まれています。
男性の場合はこちら。

ビタミン、ミネラルと紹介しましたので、次は食物繊維。
ラズベリーを20粒を食べるとどのくらい食物繊維が摂れるのかをお伝えしてから、ラズベリーの8つの健康効果を紹介します。
ラズベリーに食物繊維は多い?
食物繊維には種類あって、それぞれはたらきが違います。
・水溶性食物繊維:海藻のヌルヌルした部分や果物に多いのが水溶性食物繊維。血圧・中性脂肪・コレステロール・血糖値などの生活習慣病予防、便秘解消に効果を発揮。
・不溶性食物繊維:ポソポソ・ザラザラした繊維質のものが不溶性食物繊維。野菜やきのこや未精製の穀物に多い。有害物質の排出、便秘解消、ダイエットなどに効果を発揮。
では、ラズベリーを20粒食べると女性にとって1日に必要な食物繊維の何%が摂れるのでしょうか?

不溶性食物繊維 | 20.0% |
水溶性食物繊維 | 7.0% |
男性 の場合はこちら。

私たち日本人は食物繊維不足。水溶性食物繊維は目標のわずか55%程度しか、不溶性食物繊維は90%しか摂れていません。
ラズベリーには不溶性食物繊維がぎっしり。20粒食べれば不足分をしっかりカバーすることができます。
ただ私たちが大幅に不足しているのが「水溶性食物繊維」。生活習慣病の予防に劇的な効果をもたらす水溶性食物繊維が目標量の55%ほどし摂れていないのです。
ラズベリー20粒で7%補うことはできますが、それでもまだ全然足りません。
水溶性食物繊維の多い果物は、干しいちじく、アボカド、いちご、グリーンキウイ、干しプルーン、りんごなど。こちらでくわしく紹介しています。
水溶性食物繊維の多い果物は? 1食分の含有量でランキング!
果物のほかで水溶性食物繊維の多い食べ物は、ひじき、寒天、里芋、とろろ昆布、大豆の煮豆、豆腐、納豆、枝豆、もち麦など。意識して食べたいですね。
では、
ラズベリーに多い栄養素にはどんな効果がある?
私たちはその栄養素がちゃんと摂れている?
ラズベリーに多い栄養素にはどんな効果があるの?

ラズベリー20粒に、女性の1日の目標量の10%以上が含まれている栄養素は次の3つ。
不溶性食物繊維 | 20.0% |
ビタミンC | 13.2% |
銅 | 10.3% |
次いで、
葉酸 | 9.5% |
マンガン | 8.6% |
ビタミンE | 8.0% |
水溶性食物繊維 | 7.0% |
ではラズベリーに多い栄養素を私たちはふだんちゃんと摂れているのか、ラズベリー20粒でどのくらい補えるのか、どんな効果があるのか、お伝えします。
不溶性食物繊維
ラズベリーにもっとも多い栄養素は不溶性食物繊維。
ごぼう、れんこん、きのこ、玄米など、食物繊維といわれてイメージする繊維質のものですね。
ラズベリーの不溶性食物繊維の量は?
不溶性食物繊維の1日の目標量は
女性が12g、男性が14g。
※食物繊維の目標量は女性18g、男性21g。「水溶性:不溶性=1:2」が推奨されているので、不溶性食物繊維の1日の目標量を上記の量として紹介しています。
ラズベリー20粒(60g)に
不溶性食物繊維は2.4g。これは、
- 女性:1日の目標量の20.0%
- 男性:1日の目標量の17.1%
ところで、
私たちは不溶性食物繊維が十分に摂れている?
ラズベリーを20粒を食べると摂取量はどのくらい増える?
女性の場合をみてみましょう。

女性:
平均摂取量=93%
ラズベリー20粒=20%
合計=113%
男性:
平均摂取量=84%
ラズベリー20粒=17%
合計=101%
やや不足ぎみな不溶性食物繊維。ラズベリーを20粒食べること男女とも目標量にまで補うことができます。
ちなみに、不溶性食物繊維の多い食べ物にはラズベリーのほかに、干し柿、柿、りんご、グリーンキウイ、おから、おからパウダー、ブロッコリー、枝豆、大豆、里芋、玄米などがあります。
不溶性食物繊維の効果は?
不溶性食物繊維のおもな効果は次の3つ。
- 便秘を解消する(便のカサを増やす)
- 有害物質を排出する
- ダイエット
不溶性食物繊維が効果を発揮するのは、便の量が少ない、便の回数が少ない、といったタイプの便秘。
不溶性食物繊維は腸のなかで水分を吸って、数倍にも数十倍にもふくらみます。これが腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にしてくれるので、便秘の解消につながるのですね。
逆に、便秘のタイプによって不溶性食物繊維の摂りすぎでかえって便秘がひどくなることもあります。
便秘のタイプ別、摂るべき食物繊維についてはこちらをご覧ください。
便秘に食物繊維は逆効果!?タイプ別、摂るべき食物繊維とは
ビタミンC

ラズベリーに2番目に多い栄養素はビタミンC。風邪や貧血を予防する、ストレスから守る、肌を美しくするなどさまざまな効能のある栄養素です。
ラズベリーのビタミンCの量は?
ビタミンCの1日の目標量は
女性も男性も100mg
ラズベリー20粒に
ビタミンCは13.2mg。
1日の目標量の13.2%です。
では、私たちはビタミンCがちゃんと摂れている?ラズベリーを20粒食べると摂取量はどう増える?

女性:
平均摂取量=96%
ラズベリー20粒=13%
合計=109%
男性:
平均摂取量=91%
ラズベリー20粒=13%
合計=104%
ビタミンCも私たちにやや不足ぎみな栄養素。ラズベリー20粒で13%補えると1日の目標量に届きますね。
ビタミンCの効果は?
ビタミンCにはさまざまなはたらきがありますが、おもな効能は次の7つ。
- 風邪や感染症を予防する
(免疫力を高める) - 活性酸素を除去して老化や病気を予防
(抗酸化作用) - 鉄分の吸収を助けて貧血を予防する
- 血管・皮膚・骨を強くする
- コレステロールをおさえる
- シミを防いで美肌・美白に
- ストレスから守る
ストレスが多い人や体調を崩している時はビタミンCの消費量も多くなります。
また、ビタミンCは体内にためておくことができず、数時間で排出されてしまいます。
果物ならこまめに食べるのに便利。ラズベリーのほか、ゴールドキウイ、柿、いちご、パイナップル、グリーンキウイ、柑橘類など、ビタミンCの多い果物をぜひ活用してみてください。
【関連記事】ビタミンCの多い野菜はコレ★1食分あたりで20位まで!
銅
ラズベリーに3番目に多い栄養素は銅。貧血予防や骨粗しょう症の予防にも役立つ必須ミネラルです。
ラズベリーに含まれる銅の量は?
銅の1日の推奨量は、
女性が0.7mg、男性が0.9mg。
ラズベリー20粒(60g)に
銅は0.07mg。これは、
- 女性:1日の推奨量の10.3%
- 男性:1日の推奨量の8.0%
では、ラズベリーを20粒を食べると銅の摂取量はどう増えるのかというと……

女性:
平均摂取量=149%
ラズベリー20粒=10%
合計=159%
男性:
平均摂取量=133%
ラズベリー20粒=8%
合計=141%
銅は不足しにくい栄養素。男女とも目標量以上を摂れていますね。
銅の効果は?
銅の効果は?と言われてもパッと思いつかないでしょう。おもに次の5つの効果があります。
- 貧血の予防:
鉄と一緒になって血液をつくる - 骨粗鬆症や動脈硬化の予防:
骨や血管の壁を強くする - 抗酸化作用:
活性酸素を除去する - 健康な黒い髪をつくる
- 弾力のある肌をつくる:
コラーゲンの生成
貧血といえば鉄分不足と思いがち。でも銅が不足することで起こる「銅欠乏性貧血」もあります。
銅は不足しにくい栄養素ですが、こんな人は銅不足に注意が必要。
- ストレスが多い →
体から銅が排出される量が多くなる - 亜鉛のサプリメントを飲んでいる →
銅や鉄の吸収がさまたげられる
レバー、ナッツ類、さといも、枝豆、豆腐、納豆、豆乳など、銅の多い食べ物を積極的に食べましょう。
葉酸

ラズベリーに4番目に多い栄養素は「葉酸」。お腹の赤ちゃんの発育だけでなく、貧血予防にも大切なビタミンです。
ラズベリーの葉酸の量は?
葉酸の1日の目標量は
女性も男性も240μg。
ラズベリー20粒に葉酸は22.8μg。
1日の目標量の9.5%になります。
では、ラズベリーを20粒食べると葉酸の摂取量はどう増えるのかというと……

女性:
平均摂取量=118%
ラズベリー20粒=10%
合計=128%
男性:
平均摂取量=123%
ラズベリー20粒=10%
合計=134%
葉酸も男女ともに1日の目標よりも多く摂れていますね。
葉酸の効果は?
葉酸のおもな効果は次の4つ。
- 妊娠中のお腹の赤ちゃんの成長を守る
- 血液(赤血球)を作るサポート
- 細胞をつくるサポート
- 肌や粘膜を守って整える
葉酸はお腹の赤ちゃんの成長を守る栄養素。妊娠する1ヶ月以上前から、つまり赤ちゃんを授かりたいと思ったらしっかり摂るようにしましょう。
▼妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月まで
通常の1日240μg + 400μg
▼それ以降の妊娠中
通常の1日240μg + 240μg
▼産後の授乳期間中
通常の1日240μg + 100μg
ただしレバーや生のほうれん草は、葉酸は多いのですがこの時期はおすすめしません。
レバーにはこの時期に摂りすぎてはいけないビタミンAが豊富。ほうれん草は生で食べると豊富なシュウ酸が尿路結石の原因になることも。
この時期は、枝豆、ほうれん草のおひたし、ブロッコリー、サニーレタス、いちご、マンゴー、天津甘栗、焼きのり、豆乳、納豆などの 葉酸の多い食べ物でしっかりと摂りましょう。
マンガン
ラズベリーに5番目に多い栄養素はマンガン。
あまりなじみのないミネラルですが、食べたものをエネルギーに変える、骨を強くする、糖尿病から守る、といったはたらきがあります。
ラズベリーのマンガンの量は?
マンガンの1日の目安量は、
女性が3.5mg、男性が4mg。
ラズベリー20粒(60g)に
マンガンは0.3mg。これは、
- 女性:1日の目安量の8.6%
- 男性:1日の目安量の7.5%
マンガンは「私たちがふだんの食生活でどのくらい摂れているか」の調査がありません。
ただマンガンはいろんな食べ物に含まれているので、不足しにくい栄養素と考えられています。
また通常の食生活ならマンガンの摂りすぎになることもまずありません。
【関連記事】マンガンが多いのはこの食べ物!【1食分】で30位まで紹介!
マンガンの効果は?
マンガンのおもな効果は次の7つ。
- 疲労回復、エネルギーを作る:
脂質・たんぱく質・糖質の代謝に関わる酵素を活性化 - 骨を強くする
- 美肌:
ヒアルロン酸を作る酵素のはたらきを助ける - インスリンを作るサポート
- 抗酸化作用
- 生殖機能を守る
- 愛情を高める
疲労回復、糖尿病や骨粗しょう症の予防、肌や髪を美しくする、といったはたらきが期待される栄養素です。
ラズベリーに多い栄養素のはたらきを紹介しました。
最後にこれらのはたらきをまとめて「ラズベリーを食べるとどんな効能が期待できる?」「どんな人が食べるといい?」についてお伝えします。
ラズベリーの8つの効能
不溶性食物繊維やビタミンCなど、小さな粒にいろんな栄養素が凝縮されているラズベリー。
香り成分であるラズベリーケトンは脂肪を燃焼する効果の高さから注目されていて、その効果は唐辛子のカプサイシンの3倍とも言われています。
では、これらの栄養素のはたらきからラズベリーに期待される効能をまとめてみました。
- ダイエット
- 便秘を解消する
- 風邪や感染症を予防する
(免疫力を高める) - 活性酸素を除去して老化や病気を予防する
(抗酸化作用)
- 貧血を予防する
- コレステロールをおさえる
- 骨粗鬆症や動脈硬化を予防する
- 肌に弾力や潤いを与える、シミを防ぐ
ということで、ラズベリーをぜひ食べてもらいたいのはどんな人かというと……
こんな人こそラズベリーを食べてほしい!
ラズベリーをぜひ食べてほしいのはこちら!
- ダイエットしたい、メタボが気になる
- 風邪をひきやすい、予防したい
- 体調をくずしやすい
- 生活習慣病を予防したい
- 便秘がち
- 貧血ぎみ
- 美しく元気でいたい
スリムで元気で美しくいたい、といった方にぜひ食べてもらいたいのがラズベリーなのです。
ラズベリーに多い栄養素:まとめ
ラズベリーに多い栄養素についてお伝えしました。
ラズベリーに多い栄養素:1日の目標量に対して多い順番に、不溶性食物繊維、ビタミンC、銅、葉酸、マンガン、ビタミンE、水溶性食物繊維
ラズベリーの効能:ダイエット、便秘解消、風邪予防(免疫アップ)、老化や病気の予防(抗酸化)、貧血予防、コレステロールをおさえる、骨粗鬆症や動脈硬化の予防、肌に弾力や潤いを与える、シミを防ぐ
こんな人こそ食べてほしい:ダイエットしたい、風邪をひきやすい、体調をくずしやすい、生活習慣病を予防したい、便秘がち、貧血ぎみ、美しく元気でいたい
ダイエット効果だけでなく、ウイルスやストレスからも守ってくれるラズベリー。
冷凍ものも活用して、ぜひふだんの食生活に取り入れてくださいね。
※参考サイト:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」、e-ヘルスネット「食物繊維」、国立健康・栄養研究所「栄養摂取状況調査」、「銅解説」、「葉酸解説」、「マンガン解説」、農林水産省「ビタミンと食物繊維」