ひじきは食物繊維やミネラル豊富な海藻。鉄分がたっぷりというイメージをお持ちの方も多いでしょう。
そんなひじき。実際にはどんな栄養素が多いのか、ご存じですか?
これからお伝えする内容を読むと、
- ひじきはどの栄養素が多いの?
- ひじきの煮物小鉢一皿で1日に必要な栄養の何%が摂れる?
- どんな健康効果がある?
- 食べるといいのはどんな人?
といったことが手に取るようにわかります。ひじきの栄養を上手に活用して元気な毎日を過ごしましょう。
※ここでは乾燥ひじきを作る過程で「鉄釜」を使ったひじきの栄養価を紹介します。
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ひじき1食分の栄養価

ひじきにはどんな栄養素が多いのでしょうか?
鉄分が少なくなった?
乾燥ひじきを作るとき以前は「鉄釜」を使っていましたが、最近は「ステンレス釜」を使うことがほとんどだとか。
その影響か、国産ひじきの鉄分の含有量は以前の10分の1にまで減ってしまいました。
ただ、韓国や中国でもほとんどがステンレス釜であるにもかかわらず、今まで通り鉄分が豊富なひじきも多くあります。
鉄分が大幅に減った原因ははっきりしていないようでが、ここでは従来通り鉄分が多く含まれているひじきの栄養価について紹介します。
ひじきのパッケージの成分表示に、100gあたりの鉄分が60mgほどと表示されているひじきで作ったひじきの煮物の栄養価ですね。
ちなみに、乾燥ひじきをそのまま食べるわけでも、1度に100gも食べるわけでもないでしょうから、
ひじきの煮物を小鉢一皿食べると、
1日に必要な栄養素の何%が摂れる?
ひじきにはどの栄養素が多い?
どんな効能が期待できる?
といったかたちで、ビタミン、ミネラル、食物繊維の順にお伝えしていきます。
▼ 1食分の量は?
ひじきの煮物小鉢一皿(40g)。乾燥ひじき5gを水で戻すと40gに。この量のひじきを油炒めして作ったひじきの煮物の栄養価です。

ひじきに多いビタミンは?
ひじきの煮物小鉢一皿を食べると、女性にとって1日に必要なビタミンの何%が摂れるでしょうか?

※参考サイト:文部科学省「食品成分データベース」
女性の1日の目標量に対して、ひじき1食分に多いビタミンは……
ビタミンK | 11.5% |
ビタミンE | 8.7% |
ひじきの煮物ならわずかの量でもビタミンE、Kを摂ることができます。ただそのほかのビタミンはほとんど含まれていません。
次はひじきにはどんなミネラルが多いのかお伝えします。
ひじきに多いミネラルは?
ひじきの煮物小鉢一皿を食べると、女性にとって1日に必要なミネラルの何%が摂れるでしょうか?

女性の1日の目標量に対して、ひじき1皿に多いミネラルは……
ヨウ素 | 400.0% |
鉄 | 17.8% |
クロム | 8.0% |
カルシウム | 6.8% |
マグネシウム | 6.1% |
ミネラルは幅広く含まれています。鉄分、カルシウム、マグネシウムも多く、強い骨や歯を作るのに効果的です。
最後にひじき1食分を食べると食物繊維をどのくらい摂れるのかをお伝えしてから、ひじきの効果効能を紹介します。
ひじきに食物繊維は多い?
ひじきの煮物小鉢一皿で、1日に必要な食物繊維の何%が摂れるでしょうか?

水溶性食物繊維 | 24.0% |
不溶性食物繊維 | 3.0% |
ひじきには水溶性食物繊維がぎっしり。たっだ小鉢1皿でも1日の目標量の24%も摂ることができます。
食物繊維は水溶性と不溶性の2種類に分かれます。
私たちにとってまったく足りていないのが水溶性食物繊維。1日の目標量のわずか55%程度しか摂れていないんです。
でもひじきならわずか小鉢一皿でも水溶性食物繊維をしっかりと補うことができます。
では、
私たちに不足しがちな栄養素の中で、
ひじきでしっかり補えるものは?
その栄養素をどれくらい補える?
どんな健康効果が期待できる?
私たちの不足分を補えるひじきの栄養素とその効果効能

ひじきの煮物小鉢一皿で、女性にとって1日に必要な量の10%以上が摂れる栄養素はこちらの4つ。
ヨウ素 | 400.0% |
水溶性食物繊維 | 24.0% |
鉄 | 17.8% |
ビタミンK | 11.5% |
でも体のためにひじきを食べるということは、
「私たちに不足しがちな栄養素を、ひじきでしっかり補える」
ということ。そこで、ふだん不足しがちな栄養素がひじきの煮物一皿でどう補えるかというと……
ヨウ素 | ?% →400% |
水溶性食物繊維 | 58% →82% |
鉄 | 112% →130% |
カルシウム | 76% →83% |
マグネシウム | 81% →87% |
※パーセンテージは女性の1日に必要な栄養素に対する割合です。
※ヨウ素はふだんの平均摂取量の調査がないので上の表では「?」としています。
では、これらの栄養素にはどんなはたらきがあるのか、ひじきでどんな効果効能が得られるのか、見てみましょう。
ヨウ素
1つめの栄養素はヨウ素。ひじきにもっとも多い栄養素でもあります。
ひじきのヨウ素の量は?
ヨウ素の1日の推奨量は
女性も男性も130μg。
ひじきの煮物小鉢一皿(40g)に
ヨウ素は520μg。なので、
推奨量の400%もの量になります。

ヨウ素は「私たちがふだんどのくらい摂れているか」の調査がありません。
ただヨウ素は魚介類や海藻に多いので、魚を食べる習慣のある私たちには不足しにくい栄養素です。
逆に、ヨウ素は摂りすぎに注意が必要。例えば、
- うがい薬で毎日うがいをしている(ポピドンヨード)
- 昆布など海藻をよく食べる
- ヨウ素のサプリメントを摂っている
という人は摂りすぎかもしれません。摂りすぎによる悪影響は……
- 甲状腺機能低下症
- 体重の減少
- 筋力の低下
- ほてり
ヨウ素の上限=3,000μg
※18才以上の男女
ひじき1皿なら上限の6分の1なので問題ありませんね。
ただ毎日、昆布の佃煮を食べて、昆布茶を1日に3杯飲んで……という人はヨウ素の摂りすぎに注意が必要。
昆布茶1杯にはヨウ素が780μg。昆布茶4杯で3,120μgと1日の上限の量に達してしまいます。
ヨウ素の効能は?
ヨウ素のおもな効果は次の5つ。
- 新陳代謝を促進する
- たんぱく質の代謝を促進する
- 美肌・美髪
- 子どもの成長を促進する
- 強い殺菌作用
ヨウ素の多い食べ物は、昆布の佃煮、昆布茶、ところてん、わかめ、焼きのり、もずく、牛乳など。不足していないか、食べ過ぎていないか、チェックしてみてください。
※参考サイト:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」、国立健康・栄養研究所「ヨウ素解説」
水溶性食物繊維

私たちがふだん不足しがちだけれど、ひじきに多い栄養素。
2つめは水溶性食物繊維。ひじきに2番目に多い栄養素でもあります。
野菜やきのこ類に多い不溶性食物繊維とは違って、昆布のトロ~ッとした部分など、海藻や果物に多い食物繊維です。
ひじきの水溶性食物繊維は?
水溶性食物繊維の1日の目標量は
女性が6g、男性が7g。
ひじきの煮物小鉢一皿(40g)に
水溶性食物繊維は1.4g。これは、
女性:1日の目標量の24.0%
男性:1日の目標量の20.6%
※食物繊維の目標量は女性18g、男性21g。「水溶性:不溶性=1:2」が推奨されているので、水溶性食物繊維の1日の目標量を上記の量としています。
さて私たちがかなり不足している水溶性食物繊維。ひじきの煮物小鉢一皿でどこまで補える?

ふだんの食生活にひじきの煮物小鉢一皿をプラスすると……
女性:
平均摂取量=58%。
ひじきの煮物小鉢一皿=24%。
合計=82%。
男性:
平均摂取量=51%。
ひじきの煮物小鉢一皿=21%。
合計=72%。
ひじきならわずか小鉢1皿で20%以上も。水溶性食物繊維を摂るためにひじきを食べる、といってもいいくらいですね。
ただそれでもまだ足りません。
寒天、里芋、とろろ昆布、大豆の煮豆、豆腐、納豆、枝豆、もち麦など、水溶性食物繊維の多い食べ物を意識して食べましょう。
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「栄養摂取状況調査」、農林水産省「ビタミンと食物繊維」、NHK健康チャンネル「鉄分不足による症状「鉄欠乏性貧血」とは?」
水溶性食物繊維の効能は?
水溶性食物繊維のおもな効果は次の6つ。
- 中性脂肪を減らす
食べ物の脂肪が中性脂肪となる前にキャッチして、便として一緒に体から排出する - コレステロールを下げる
コレステロールをキャッチして排出するだけでなく、コレステロールを消費して減らす - 血糖値の上昇をおさえる
体内で水に溶けてねっとりゼリー状になってほかの食べ物も一緒に腸をゆっくりと進むので、消化もゆっくりになって血糖値の上昇をおさえられる。 - 便秘を解消する
腸の中でゼリー状になった水溶性食物繊維が固い便に水分をあたえて柔らかくして、お通じをスムーズにする。また善玉菌のエサとなって善玉菌を増やしたりはたらきを高めて腸内環境を整える。 - 血圧を下げる
ナトリウム(塩分)を吸着して便として一緒に体から排出する。特に海藻に含まれる水溶性食物繊維にその効果が高い。 - ダイエット
中性脂肪やコレステロールが減る。ゼリー状になって腸内をゆっくり進むので満腹感が続く。善玉菌のエサとなるので腸内環境が整う。
40代からの生活習慣病が気になる世代にとってうれしい効果が満載。ひじきを積極的に食べたいですね。
鉄分
私たちに不足しがちでひじきには多い栄養素。3つめは鉄分。ひじきに3番目に多い栄養素です。
ひじきの鉄分の量は?
鉄の1日の推奨量は、
女性が6.5mg、男性が7.5mg。
ひじきの煮物小鉢一皿(40g)に
鉄分は1.2mg。これは、
女性:1日の推奨量の17.8%
男性:1日の推奨量の15.5%
では、ひじきの煮物を小鉢一皿食べると鉄分はどう増える?

女性:
平均摂取量=112%。
ひじきの煮物小鉢一皿=18%。
合計=130%。
男性:
平均摂取量=107%。
ひじきの煮物小鉢一皿=16%。
合計=123%。
平均すると目標量を摂れてはいますが、骨密度がぐっと低下しはじめる50歳を過ぎたら鉄分を意識して摂りたいですね。
鉄分の多い食べ物は、レバー、豆乳、厚揚げ、木綿豆腐、さば味噌缶、そば、枝豆、大根の葉っぱなど。こちらでくわしく紹介しています↓
鉄分の多い食べ物ランキング35【1食分】で比較!効果効能も!
鉄分の効能は?
鉄分のおもな効果は次の5つ。
- 貧血の予防・改善
血液(ヘモグロビン)を作って全身に酸素を届ける - 丈夫な骨をつくる
鉄分がコラーゲンをつくり、カルシウムと一緒になって骨を丈夫にする - ウイルスや細菌から守る
白血球がウイルスや細菌としっかり戦って感染症を予防できるよう支える - しなやかで健康的な体に
コラーゲンを作って、骨、関節、筋肉、肌、粘膜などをしなやかに - 肌を美しくする
コラーゲンを作るだけでなく、肌の内側に酸素を届けて新陳代謝を促進する。
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「鉄解説」、厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」、NHK健康チャンネル「鉄欠乏性貧血とは?」
カルシウム

4つめの栄養素はカルシウム。
ひじきには7番目に多い栄養素ですが、私たちにかなり不足しているミネラルです。
ひじきのカルシウムの量は?
カルシウムの1日の推奨量は、
女性が650mg、男性が750mg。
ひじきの煮物小鉢一皿(40g)に
カルシウムは44mg。これは、
女性:1日の推奨量の6.8%
男性:1日の推奨量の5.9%
では、私たちはカルシウムがどのくらい足りない?ひじきを食べるとどう増える?

女性:
平均摂取量=76%。
ひじきの煮物小鉢一皿=7%。
合計=83%。
男性:
平均摂取量=69%。
ひじきの煮物小鉢一皿=6%。
合計=75%。
目標の70%前後しか摂れていないカルシウム。ひじきで6~7%補えるものの、まだまだ足りません。
さば缶(水煮・味噌煮)、あじ、しらす、厚揚げ、高野豆腐、豆腐、大根の葉、小松菜、豆乳など、カルシウムの多い食べ物をしっかり摂りましょう。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「カルシウム」、国立健康・栄養研究所「カルシウム解説」
カルシウムの効能は?
カルシウムにはおもに次のような効果があります。
- 丈夫な骨や歯を作る
- 筋肉をスムーズに動かす
- 高血圧を予防する
- 心臓のはたらきを規則的に維持する
- 血液の状態を正常にたもつ
- 感情をおだやかにする
マグネシウム
5つめの栄養素はマグネシウム。
ひじきには8番目に多い栄養素ですが、こちらも私たちにとってかなり不足しているミネラル。
カルシウムを十分摂れていてもこのマグネシウムが足りないと強い骨は作られないだけでなく、体調不良の原因にもなります。
ひじきのマグネシウムの量は?
マグネシウムの1日の推奨量は、
女性が290mg、男性が370mg。
ひじきの煮物小鉢一皿(40g)に
マグネシウムは18mg。これは、
女性:1日の推奨量の6.1%
男性:1日の推奨量の4.8%
では、ひじきの煮物でマグネシウムはどこまで補える?

女性:
平均摂取量=81%。
ひじきの煮物小鉢一皿=6%。
合計=87%。
男性:
平均摂取量=71%。
ひじきの煮物小鉢一皿=5%。
合計=76%。
マグネシウムの不足分をすべて補えるほどではありません。
豆腐、厚揚げ、豆乳、大豆、枝豆、玄米、そば、アーモンド、ピーナツ、天津甘栗、魚介類などマグネシウムの多い食べ物を意識して摂りましょう。
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「マグネシウム解説」、厚生労働省 e-ヘルスネット「マグネシウム」、厚生労働省 eJIM「マグネシウム」
マグネシウムの効能は?
マグネシウムのおもな効果は次の6つ。
- 骨を丈夫にする
- 不整脈・狭心症・心筋梗塞を防ぐ
- 筋肉がつったりけいれんするのを防ぐ
- 糖尿病やメタボなど生活習慣病を予防する
- 高血圧を予防する
- 気持ちをおだやかにする
マグネシウムが不足すると、糖尿病やメタボのリスクがぐんと高まると言われています。この他、不整脈、疲労、不眠、動脈硬化、骨粗しょう症、尿路結石、アトピーなど。
日本人に不足しがちな栄養素なので、意識して摂りましょう。
以上、ひじきに多い栄養素のはたらきを紹介しました。
では最後にこれらのはたらきをまとめて、ひじきを食べるとどんな効能が期待できるの?についてお伝えします。
ひじきの7つの効果効能

ひじきには水溶性食物繊維をはじめ、ヨウ素、カルシウム、マグネシウムなどの栄養素が豊富。
これらの栄養素のはたらきから、ひじきに期待される効能をまとめてみました。
- 中性脂肪やコレステロールを減らす
水溶性食物繊維が便として体から排出する - 血圧を下げる
ナトリウム(塩分)を吸着して便として一緒に体から排出する - 貧血の予防・改善
血液(ヘモグロビン)を作って全身に酸素を届ける - 丈夫な骨をつくる
鉄分、カルシウム、マグネシウムが骨や歯を丈夫にする - 心臓のはたらきを正常に
不整脈・狭心症・心筋梗塞を防ぐ - 筋肉をスムーズに動かす
筋肉がつったりけいれんするのを防ぐ - 肌を美しくする
コラーゲンを作り、新陳代謝を促進して、美髪、美肌、しなやかな体を作る
ひじきなら、水溶性食物繊維による生活習慣病の予防効果、カルシウムやマグネシウムによる骨を強くする効果、鉄分による貧血予防効果などが期待できます。
ひじきに多い栄養素:まとめ
ひじきに多い栄養素と効果効能を紹介しました。
ひじきでふだんの不足を補える栄養素:ヨウ素、水溶性食物繊維、鉄分、カルシウム、マグネシウム、
ひじきの効能:中性脂肪やコレステロールを減らす、高血圧予防、貧血の予防・改善、骨を強くする、心臓のはたらきを正常にする、筋肉の動きをスムーズに、美肌・美髪
ひじきには、わずかな量にも水溶性食物繊維やミネラルが凝縮しています。
特に40代を過ぎて生活習慣病や骨粗しょう症が気になる世代は、ひじきを積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。