ライ麦パンは小麦ではなくライ麦から作られるパン。
しっかりした風合いで噛むほどに味わい深く、料理だけでなくワインやチーズとも相性はバツグンです。
そんなライ麦パンにはどんな栄養が多いのか、ご存じですか?
これからお伝えする内容を読むと、
- ライ麦パンはどの栄養が多い?
- ライ麦の食パン2枚で1日分の栄養の何%が摂れる?
- どんな健康効果がある?
- どんな人こそ食べるべき?
といったことが手に取るようにわかります。ライ麦パンの栄養を上手に活用して元気な毎日を過ごしましょう。
【関連記事】全粒粉のパンには栄養が凝縮!2枚あたりの栄養価と7つの効果とは?
ライ麦パン2枚の栄養価
私たちに不足しがちでライ麦パンに多い栄養は、水溶性と不溶性の食物繊維、鉄分、亜鉛、ビタミンB1、マグネシウムなど。
特に私たちにかなり足りない水溶性の食物繊維がぎっしり詰まっているのがライ麦パンの一番のメリット!いろんなミネラルも豊富に含まれています。
ライ麦パンの効果として、中性脂肪やコレステロールを減らす、血糖値をおさえる、血圧を下げる、便秘解消、ダイエット、強い骨をつくる、疲労回復などが期待できます。
そんなライ麦パン。どの栄養がどのくらい多いのでしょうか。
ここでは1日に食べる量を「ライ麦の食パン2枚」と仮定して、
- ライ麦パンを2枚食べると、
1日分の栄養の何%が摂れる? - どの栄養がどのくらい含まれている?
- ライ麦パンに多い栄養には
どんな効果が期待できる?
といったかたちで、ビタミン、ミネラル、食物繊維についてお伝えします。
1日に食べる量:
ライ麦の食パン6枚切りを2枚(130g)
ライ麦パンに多いビタミン
ライ麦パンを2枚食べると女性の1日分のビタミンの何%が摂れるのか、グラフにしてみました。
※参考サイト:
文部科学省「食品成分データベース」
ライ麦パン2枚に多く含まれているビタミンは次の5つ。女性にとって必要な量の何%を摂れるのかというと……
ナイアシン | 29% |
ビタミンB1 | 19% |
葉酸 | 18% |
パントテン酸 | 12% |
ビタミンB6 | 11% |
ライ麦パンに多いビタミンはすべてがビタミンB群。たっぷりと摂ることができます。疲労回復、ダイエット、集中力を高めるはたらきがあります。
ではミネラルはどうでしょうか?
ライ麦パンに多いミネラル
ライ麦パン2枚で女性の1日分のミネラルの何%が摂れるかというと……
ライ麦パンに豊富なミネラルは次の5つ。女性に必要なミネラルの何%を摂れるのかというと……
銅 | 33% |
マンガン | 32% |
鉄 | 28% |
ナトリウム | 24% |
亜鉛 | 21% |
ライ麦パンはミネラルが豊富でバランスよく含まれています。ただカルシウムは少なめです。
では食物繊維の量をお伝えしてから、ライ麦パンの健康効果を紹介します。
ライ麦パンに多い食物繊維
ライ麦パン2枚に含まれている食物繊維の量はこちら。
水溶性食物繊維 | 43% |
不溶性食物繊維 | 39% |
ライ麦パンにもっとも多い栄養が食物繊維。なかでも私たちが必要な量の50%ほどしか摂れていない水溶性食物繊維がライ麦パンにはぎっしりと詰まっているんです。
では、
不足しがちな栄養のなかで、
ライ麦パンに多い栄養は?
その栄養をどのくらい補える?
どんな健康効果が期待できる?
ライ麦パンで不足分を補える栄養とその効果
ライ麦パンに多い栄養は、水溶性と不溶性の食物繊維、銅、マンガン、ナイアシン、鉄、ナトリウム、亜鉛などですが……
銅:
普段から必要な量の1.5倍も摂れています。
ナイアシン:
普段から必要な量の2倍以上も摂れています。
ライ麦パンが体にいいのは、
私たちに足りない栄養が豊富だから。
そこでライ麦パンで私たちの不足分をしっかり補える栄養は、水溶性と不溶性の食物繊維、鉄分、亜鉛、ビタミンB1、マグネシウム。
ではこれらの栄養素は……
私たちは普段どのくらい摂れている?
ライ麦パンでどのくらい補える?
どんなはたらきがある?
についてお伝えします。
水溶性食物繊維
ライ麦パンで不足分が補える栄養のなかで、もっとも多い栄養です。生活習慣病を予防するはたらきの高さが注目されています。
ライ麦パンの水溶性食物繊維
1日に必要な量は
女性が6g、男性が7g。
ライ麦パン2枚には2.6g。
さて私たちは水溶性食物繊維がどのくらい不足していて、ライ麦パンでどこまで補えるのでしょうか?
ライ麦パンを2枚食べると……
女性が摂れている量は、58%
ライ麦パンには、43%
合計で、101%
男性が摂れている量は、51%
ライ麦パンには、37%
合計で、88%
1日に必要な量の半分程度しか取れていない水溶性食物繊維。ライ麦パンにはぎっしり!不足分をほぼ補うことができます。
※食物繊維全体で1日に必要な量は女性18g、男性21g。「水溶性:不溶性=1:2」が推奨されているので、上記のとおり女性6g、男性7gとしています。
水溶性食物繊維の効果
おもに次の6つのはたらきが期待できます。
- 中性脂肪を減らす
- コレステロールを下げる
- 血糖値の上昇をおさえる
- 血圧を下げる
- 便秘を解消する
- ダイエット
生活習慣病が気になる世代にとってうれしいはたらきが満載なのが水溶性食物繊維です。
また、水溶性食物繊維は、便が固い、コロコロしている、いきまないと出ない、といった便秘の解消に効果的。腸のなかで固くなった便に水分をあたえて柔らかくしてくれます。
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「栄養等摂取量」、農林水産省「ビタミンと食物繊維」、厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維」
不溶性食物繊維
2つめの栄養は不溶性食物繊維。きのこ類、野菜、玄米などに多く、デトックスや便秘解消などのはたらきがあります。
ライ麦パンの不溶性食物繊維
1日に必要な量は
女性が12g、男性が14g。
ライ麦パン2枚には4.7g。
では私たちにどのくらい不足していて、ライ麦パンでどう補えるかというと……
女性が摂れている量は、93%
ライ麦パンには、39%
合計で、132%
男性が摂れている量は、84%
ライ麦パンには、33%
合計で、117%
ライ麦パンにはぎっしり!1枚食べるだけでも不足分をまるまる補うことができます。
不溶性食物繊維の効果
- 腸の動きを活発にして便秘を解消する
- 重金属や食品添加物などの有害物質を体から出す
- 満腹感を持続させることでダイエットを助ける
不溶性食物繊維は、便の量が少ない、便の回数が少ない、といった便秘を解消するはたらきが高い栄養素。腸のなかで大きくふくらんで便のカサを増やして、腸の動きを活発にします。
便秘のタイプによっ不溶性がいいか水溶性がいいか、こちらで解説しています↓
鉄分
ライ麦パンで不足分が補える3つめの栄養は鉄分。骨を強くしたり免疫力を高めるはたらきがあります。
ライ麦パンの鉄分
1日に必要な鉄分は
女性が6.5mg、男性が7.5mg。
ライ麦パン2枚には1.8mg。
ライ麦パンを食べると……
女性が摂れている鉄分は、112%
ライ麦パンには、28%
合計で、140%
男性が摂れている鉄分は、107%
ライ麦パンには、24%
合計で、131%
鉄分の効果
- 貧血の予防・改善
- 強い骨をつくる
- ウイルスや細菌から守る
- しなやかで動きやすい体に
- 美しい肌をつくる
鉄分は吸収率の低い栄養なので、よりしっかりと摂るように心がけましょう。
※参考サイト:NHK健康チャンネル「鉄分不足による症状「鉄欠乏性貧血」とは?」、厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」、国立健康・栄養研究所「鉄解説」
亜鉛
4つめの栄養は亜鉛。感染症から守る、糖尿病を防ぐ、デトックスなどのはたらきがあります。
ライ麦パンの亜鉛
1日に必要な亜鉛は
女性が8mg、男性が11mg。
ライ麦パン2枚には1.7mg。
女性が摂れている亜鉛は、96%
ライ麦パンには、21%
合計で、117%
男性が摂れている亜鉛は、84%
ライ麦パンには、15%
合計で、99%
亜鉛の効果
感染症を防ぐためには重要な亜鉛。おもに7つのはたらきが期待できます。
- 味覚を正常に保つ
- 感染症から守る
- 生活習慣病を防ぐ
- 有害物質の排出
- 弾力のある白い肌へ
- 抜け毛を防ぐ
- 生殖機能を高める
※参考サイト:厚生労働省 eJIM「亜鉛」、国立健康・栄養研究所「亜鉛解説」
ビタミンB1
ライ麦パンで不足分が補える5つめの栄養はビタミンB1。疲労を回復し、脳や感情を安定させるはたらきがあります。
ライ麦パンのビタミンB1
1日に必要なビタミンB1は、
女性が1.1mg、男性が1.4mg。
ライ麦パン2枚には0.2mg。
女性が摂れている量は、79%
ライ麦パンには、19%
合計で、98%
男性が摂れている量は、74%
ライ麦パンには、15%
合計で、89%
お菓子が好き、お酒が好き、よく運動する、玄米や全粒粉ではなく白米やパンを食べる、といった人には不足しやすい栄養。意識して摂りましょう。
ビタミンB1の効果
- 疲労を回復する
- 脳の中枢神経や手足の末梢神経の機能の正常化
- 気持ちを安定させる
- 筋肉や頭脳の持久力を高める
- 集中力を維持する
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「ビタミンB1解説」
マグネシウム
6つめの栄養はマグネシウム。骨を丈夫にする、心臓の動きを守る、糖尿病予防などのはたらきが期待できます。
ライ麦パンのマグネシウム
1日に必要なマグネシウムは
女性が290mg、男性が370mg。
ライ麦パン2枚には52mg。
女性が摂れている量は、81%
ライ麦パンには、19%
合計で、100%
男性が摂れている量は、71%
ライ麦パンには、15%
合計で、86%
マグネシウムの効果
- 丈夫な骨をつくる
- 不整脈・狭心症・心筋梗塞を防ぐ
- 筋肉がつったりけいれんするのを防ぐ
- 糖尿病やメタボなど生活習慣病を予防する
- 高血圧を予防する
- 気持ちをおだやかに整える
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「マグネシウム」、国立健康・栄養研究所「マグネシウム解説」
カルシウムを摂ってもマグネシウムが不足していると、かえって骨が弱くなったり血圧が高くなったりという弊害も。
私たちに足りないミネラルなので積極的に摂りましょう。
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ライ麦パンで不足分を補える栄養とそのはたらきをお伝えしました。最後にこれらをまとめて、
ライ麦パンを食べると
どんな効果効能が得られる?
どんな人こそ食べると効果的?
についてお伝えします。
ライ麦パンの8つの効果効能
ライ麦パンには食物繊維をはじめビタミンB群やミネラルが豊富。
これらの栄養のはたらきから、ライ麦パンに期待される効果をまとめてみました。
- 中性脂肪を減らす
食べ物の脂肪をすばやくキャッチして、便として一緒に体から排出する - コレステロールを減らす
コレステロールを排出するだけでなく、消費して減らす - 血糖値の上昇をおさえる
消化スピードを遅くして血糖値の上昇をおさえる - 血圧を下げる
余分な塩分を排出するだけでなく、筋肉をゆるめて動脈を広げて血圧を下げる - 便秘を解消する
固くなった便に水分をあたえて柔らかくしたり、便のカサを増やして腸の動きを活発にする - ダイエット
中性脂肪やコレステロールを減らし、水溶性食物繊維が善玉菌のエサとなって腸内環境を整えて、満腹感も持続させる - 疲労を回復する
食べた物の代謝を促進させてエネルギーに変える - 骨を強くする
骨の主成分のひとつであるコラーゲンを作るとともに、骨にカルシウムを届ける
そこで、ライ麦パンをぜひ食べてもらいたいのはどんな人かというと……
こんな人こそライ麦パンを食べて!
ライ麦パンをぜひ食べてほしい人はこちら。
- 白米・パン・麺類が好き
- 脂っこいものや味の濃いものが好き
- しょうゆや塩をなんにでもかける
- 野菜・きのこ・海藻をあまり食べない
- 毎日忙しく、疲れが取れない
- 便秘ぎみ
- 40歳を過ぎている
ライ麦パンに多い栄養:まとめ
ライ麦パンに多い栄養や健康効果についてお伝えしました。
ライ麦パンが不足分を補う栄養:水溶性食物繊維、不溶性食物繊維、鉄、亜鉛、ビタミンB1、マグネシウム
ライ麦パンの効果:中性脂肪を減らす、コレステロールを減らす、血糖値の上昇をおさえる、血圧を下げる、便秘を解消する、ダイエット、疲労回復、骨を強くする
こんな人こそ食べて:炭水化物が好き、脂っこいものが好き、しょうゆや塩をすぐかける、野菜・きのこ・海藻をあまり食べない、疲れが取れない、便秘ぎみ、40歳を過ぎている
白い食パンをライ麦パンに変えるだけで栄養価がグンと高まります。ふだんのパン選びを見直してみてはいかがでしょうか?