古代米のひとつである黒米。雑穀米にブレンドされていたりと、食べたことがある方も多いのではないでしょうか。
栄養価の高い黒米ですが、どんな栄養素が多いのかご存じですか?
これからお伝えする内容を読むと、
- 黒米はどの栄養素が多い?
- お茶碗1杯の黒米ごはんで1日の栄養の何%が摂れる?
- どんな健康効果がある?
- 食べるといいのはどんな人?
といったことが手に取るようにわかります。黒米の栄養を上手に活用して元気な毎日を過ごしましょう。
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黒米ごはんお茶碗1杯分の栄養価
黒米にはどんな栄養素が多いのでしょうか?
黒米だけを炊いて食べることはあまりないので、ここでは「黒米100gあたりの栄養価」ではなく……
お茶碗1杯の黒米ごはんを食べると、
1日の栄養素の何%が摂れる?
黒米に多い栄養素は何?
どんな効能が期待できる?
といったかたちでお伝えします。
- 白米を1合(150g)
- 黒米を大さじ1杯(15g)
混ぜ合わせて炊くとお茶碗2杯分ほどの黒米ごはんができあがります。このうちのお茶碗1杯分の栄養価を紹介します。

黒米に多いビタミンは?
まずはビタミンから。
黒米ごはんをお茶碗1杯食べると、女性の1日分のビタミンの何%が摂れるのか、グラフにしてみました。

黒米ごはんに多いビタミンは……
ナイアシン | 13% |
パントテン酸 | 8% |
ビタミンB6 | 5% |
ビタミンB1 | 4% |
葉酸 | 3% |
黒米ごはんでビタミンEもわずかに摂れますが、ほとんどはビタミンB群。食べ物をエネルギーに変えたり、脳や感情を整える栄養素です。
次はどんなミネラルが多いのかお伝えします。
黒米に多いミネラルは?
黒米ごはんお茶碗1杯で、女性の1日分のミネラルの何%が摂れるでしょうか?

黒米ごはんに多いミネラルは……
モリブデン | 227% |
銅 | 22% |
マンガン | 21% |
亜鉛 | 12% |
リン | 8% |
ダントツに多いのが「血のミネラル」と呼ばれるモリブデン。貧血予防や食べ物の代謝に効果を発揮します。
最後に、黒米ごはんお茶碗1杯の食物繊維の量をお伝えしてから、黒米の健康効果を紹介します。
黒米に食物繊維は多い?
黒米ごはんお茶碗1杯分の食物繊維の量はこちらです。

水溶性食物繊維 | 3% |
不溶性食物繊維 | 9% |
食物繊維は炭水化物の一部(炭水化物=糖質+食物繊維)。黒米も白米も水溶性より不溶性の食物繊維が多く含まれています。
では……
私たちに不足しがちな栄養素の中で、
黒米でしっかり補えるものは何?
その栄養素をどれくらい補える?
どんな健康効果が期待できる?
黒米で私たちの不足分を補える栄養素は?

黒米に多い栄養素をお伝えしてきました。その中で……
1位:モリブデン
一般的な食生活なら不足することはまずありません。
2位:銅
目標量の149%も摂れています。
3位のマンガンも、4位のナイアシンも、私たちはふだんから十分に摂れている栄養素。黒米が体にいいのは、
「不足している栄養素が補えるから」
そこでお茶碗1杯の黒米ごはんで、私たちに不足しがちな栄養素をどう補えるかというと……
亜鉛 | 96% →108% |
不溶性 食物繊維 | 93% →102% |
パントテン酸 | 106% →114% |
マグネシウム | 81% →87% |
ビタミンB1 | 79% →83% |
※パーセンテージは女性の1日に必要な栄養素に対する割合です。
ではこれらの栄養素のはたらき、そして黒米の効果効能をお伝えします。
亜鉛
黒米で私たちの不足分が補える栄養素。1つめは亜鉛。その効果は味覚を守るだけではありません。
亜鉛の効果は?
- 味覚を正常に保つ
- 感染症を予防する
- 糖尿病など生活習慣病の予防
- 有害物質を排出する
- 弾力のある白い肌へ
- 抜け毛の予防
- 生殖機能を高める
※参考サイト:厚生労働省 eJIM「亜鉛」、国立健康・栄養研究所「亜鉛解説」
免疫力を高めて感染症を予防することも亜鉛の大きな効果のひとつです。
黒米の亜鉛の量は?

亜鉛の1日の推奨量は、
女性が8mg、男性が11mg。
黒米ごはんに0.94mg。これは、
女性:1日の推奨量の12%
男性:1日の推奨量の9%
黒米ごはんで摂取量はどう増えるかというと……
女性の平均摂取量=目標の96%
黒米ごはんお茶碗1杯分=12%
合計=108%
男性の平均摂取量=目標の84%
黒米ごはんお茶碗1杯分=9%
合計=93%
男性はまだ目標には届きませんね。朝晩とお茶碗1杯ずつ食べることで目標量をクリアできます。
不溶性食物繊維
2つめの栄養素は不溶性食物繊維。ポソポソした食感の食べ物に多い食物繊維です。
不溶性食物繊維の効果は?
- 便秘を解消する(便のカサを増やして腸の運動を活発に)
- 有害物質を排出する(重金属、食品添加物、ダイオキシンなど)
- ダイエット(満腹感が得やすい)
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維」、農林水産省「ビタミンと食物繊維」
不溶性食物繊維は腸のなかで水分を吸って大きく膨らんで腸を刺激します。なので、便の量が少ない、便の回数が少ない、といったタイプの便秘解消に効果的です。
ちなみに、便がかたい、いきんでも出ない、というタイプの便秘には水溶性食物繊維が効果的。海藻・果物・さといもなどに多く含まれています。
黒米の不溶性食物繊維の量は?

不溶性食物繊維の1日の目標量は
女性が12g、男性が14g。
黒米ごはんには1.1g。これは、
女性:1日の目標量の9%
男性:1日の目標量の8%
※食物繊維の目標量は女性18g、男性21g。「水溶性:不溶性=1:2」が推奨されているので、不溶性食物繊維の1日の目標量を上記の量として紹介しています。
黒米ごはんを食べると……
女性の平均摂取量=目標の93%
黒米ごはんお茶碗1杯分=9%
合計=102%
男性の平均摂取量=目標の84%
黒米ごはんお茶碗1杯分=8%
合計=92%
お茶碗1杯分の黒米ごはんに使われている黒米はわずか7g。それでも朝晩と1杯ずつ食べることで、不足分をしっかりと補うことができます。
パントテン酸
3つめの栄養素はパントテン酸。ビタミンB群のひとつでシャンプーの成分としても耳にすることがある栄養素です。
パントテン酸の効果は?
- エネルギーを作る
- 免疫力を高める
- ストレスへの抵抗力を高める
- 肌や髪を美しく整える
- 生活習慣病の予防
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「パントテン酸解説」
黒米のパントテン酸の量は?

パントテン酸の1日の目標量は
女性も男性も同じ5.0mg。
黒米ごはんには0.4mg。
1日の目標量の8%を補えます。
女性の平均摂取量=目標の106%
お茶碗1杯の黒米ごはん=8%
合計=114%
男性の平均摂取量=目標の121%
お茶碗1杯の黒米ごはん=8%
合計=129%
不足しにくいパントテン酸ですが、疲れやすい、食欲がない、肌荒れしやすい、髪の毛が痛みやすい、という場合はパントテン酸不足かもしれません。
また、ストレスが多い、コーヒーをよく飲む、お酒をよく飲む、といった人も不足しやすい傾向があります。
【関連記事】パントテン酸の多い食べ物ランキング30【1食分】で比較!
マグネシウム

黒米が私たちの不足分を補ってくれる4つめの栄養素はマグネシウム。40歳を過ぎたらしっかり摂りたいミネラルです。
マグネシウムの効果は?
- 骨を丈夫にする
- 不整脈・狭心症・心筋梗塞を防ぐ
- 筋肉がつったりけいれんするのを防ぐ
- 糖尿病やメタボなど生活習慣病を予防する
- 高血圧を予防する
- 気持ちをおだやかにする
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「栄養素等摂取量」、「マグネシウム解説」、厚生労働省 e-ヘルスネット「マグネシウム」
黒米のマグネシウムの量は?

マグネシウムの1日の推奨量は、
女性が290mg、男性が370mg。
黒米ごはんに17mg。これは、
女性:1日の推奨量の6%
男性:1日の推奨量の5%
黒米ごはんをお茶碗1杯食べると……
女性の平均摂取量=目標の81%
黒米ごはんお茶碗1杯分=6%
合計=87%
男性の平均摂取量=目標の71%
黒米ごはんお茶碗1杯分=5%
合計=76%
私たちはかなりのマグネシウム不足。目標の20~30%も足りません。
マグネシウム不足では、糖尿病、メタボ、不整脈、疲労、不眠、動脈硬化、骨粗しょう症、尿路結石、アトピーなどのリスクが高まると言われています。
黒米のほか、豆腐、厚揚げ、豆乳、枝豆、玄米、そば、アーモンドなど、マグネシウムの多い食べ物を意識して取り入れましょう。
ビタミンB1
5つめの栄養素はビタミンB1。疲労回復だけでなく仕事や勉強の能率にも効果を発揮します。
ビタミンB1の効果は?
- 疲労を回復する
- 脳の中枢神経や手足の末梢神経の機能の正常化
- 気持ちを安定させる
- 筋肉や頭脳の持久力を高める
- 集中力を維持する
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「ビタミンB1解説」
黒米のビタミンB1の量は?

ビタミンB1の1日の推奨量は、
女性が1.1mg、男性が1.4mg。
黒米ごはんに0.05mg。これは、
女性:1日の目標量の4%
男性:1日の目標量の3%
黒米ごはんを食べると……
女性の平均摂取量=目標の79%
黒米ごはんお茶碗1杯分=4%
合計=83%
男性の平均摂取量=目標の74%
黒米ごはんお茶碗1杯分=3%
合計=77%
ビタミンB1も全然足りていません。
特に、お菓子が好き、お酒が好き、よく運動する、白いご飯や白いパンを食べる(玄米や全粒粉のパンを食べていない)といった人ほど不足がち。
ビタミンB1の多い食べ物は、豚肉、レバー、玄米、とうもろこし、鮭、ぶり、サバ缶、枝豆、豆腐、えのき、エリンギなど。意識して食べましょう。
黒米が私たちの不足分を補ってくれる栄養素のはたらきを紹介しました。
では最後に、これらのはたらきをまとめて、黒米を食べるとどんな効能が期待できるの?についてお伝えします。
黒米の7つの効果効能

黒米にはビタミンB群、ミネラル、不溶性食物繊維などが豊富。
これらの栄養素のはたらきから、黒米に期待される効能をまとめてみました。
- 感染症を予防する
免疫力を高めて風邪やインフルエンザなどを予防する - 生活習慣病を予防する
糖質や脂質の代謝を促進したりサラサラ効果や抗酸化作用によって、糖尿病、メタボ、高血圧、心筋梗塞などを予防する - 疲労を回復する
糖質・脂質・たんぱく質を代謝してエネルギーを作る - 便秘を解消する
便のカサを増やして腸の動きを活性化する - ダイエット
脂肪を燃焼して脂肪肝も予防する - 勉強や仕事の能率を高める
脳のはたらきや感情を安定させて集中力を持続させる - 美肌・美髪
肌や粘膜を健康にたもって、肌荒れや髪のパサつきや口内炎から守る
40歳を過ぎた世代だけでなく、受験生や仕事の成果を高めたい人をサポートしれくれるのが黒米なのです。
黒米に多い栄養素:まとめ
黒米に多い栄養素や健康効果についてお伝えしました。
黒米でふだんの不足を補える栄養素:ビタミンB1、パントテン酸、マグネシウム、亜鉛、不溶性食物繊維
黒米の効能:感染症予防、生活習慣病の予防、疲労回復、便秘解消、ダイエット、勉強や仕事の能率アップ、美肌・美髪
ビタミン・ミネラルだけでなくアントシアニンも豊富で目もいたわってくれる黒米。
ふだんの食生活にぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。