寝つきを良くしようと、寝る前に牛乳やホットミルクを飲んでいませんか?
寝つきを良くしたりぐっすり眠れる効果があるということで、寝る前に牛乳を飲む人も多いかもしれませんが……
寝る前の牛乳は寝つきや眠りへの効果はありません。
確かに牛乳や豆乳には眠りに関係の深い「トリプトファン」という成分が豊富。でも牛乳を飲むタイミングを間違えると、寝つきや眠りへの効果はほとんどありません。
では、牛乳は寝る前ではなくどのタイミングで飲むのがいいのか、そもそも牛乳にはどんなはたらきがあるのか、についてわかりやすくお伝えします。
【関連記事】寝つきが悪い2つの原因と寝つきを良くする7つの方法とは?
寝る前の牛乳は寝つきや眠りに効果的?
- 日中の仕事や家事育児などで忙しい毎日を送っている人
- ストレスの多い毎日を過ごしている人
- 今は違うけど、少し前まではストレスの多い毎日を過ごしていた人
このような人は、寝つきがよくなかったり、眠りが浅いと感じる傾向があります。
日中の活動モードのまま夜を迎えてしまうと、寝る前になっても「休息・睡眠モード」になかなか切り替わらないのでしょう。
「疲れているのに頭ではいろんなことを考えてしまって……」と頭の中がフル活動モードであっては、寝つきが悪くなるのは当然のこと。
そこで寝る前に飲むと寝つきがよくなり、眠りも深くなるとして知られているのが牛乳(ホットミルク)。寝る前に牛乳やホットミルクを飲んでいる方も多いかもしれません。
でも、寝る前のホットミルク、本当に気持ちよい寝つきが得られるのでしょうか?
寝る前のホットミルクは寝つきに効果なし!?
牛乳には「トリプトファン」が豊富に含まれていて、それが眠りのホルモン「メラトニン」をたくさん作るので、寝る前のホットミルクは寝つきを良くしてくれる!と考える方も多いかもしれません。
でも、寝る前のホットミルクではトリプトファンによる寝つきの効果は十分に得られません。なぜなら……
牛乳のトリプトファンが眠りのホルモンであるメラトニンを作るまでには、15時間ほどかかるから。
牛乳を飲んでもすぐに「メラトニン」ができるわけではありません。寝る前に牛乳を飲んだからといって、寝つきが良くなるとか、ぐっすり眠れるというわけではないのです。
では、いつ牛乳を飲むのがいいのかというと……
寝つきのために牛乳を飲むなら朝
牛乳に含まれるトリプトファンからメラトニンができるまで、15時間以上かかります。
23時に気持ちのよい寝つきを得るためには、朝8時までに牛乳を飲む、ということ。15時間は目安なので、要は「寝る前ではなく朝が効果的」ということですね。
しかし「ただ朝牛乳を飲むだけではメラトニンは作られない」のです。もう1つ、とても簡単なポイントがあります。
「じゃあ、朝牛乳を飲むことともう1つ何をしたらいいの?」については【牛乳の効果(2)寝つきと眠りのホルモンをつくる】でわかりやすくお伝えしていますので、そちらをご覧ください。
では、寝つきをよくする効果を含めて、牛乳が持つ4つの健康効果についてお伝えします。
牛乳の効果(1)精神安定、心が落ち着く
牛乳には「トリプトファン」という成分が含まれています。そのトリプトファンが「セロトニン」という精神安定ホルモンを作ってくれます。
「幸せホルモン」とも呼ばれているセロトニン。不安、悲しみ、落ち込み、恐怖、怒り、といった感情が暴走しないようにブレーキをかけるはたらきがあります。
仕事がうまくいかなかったり、上司に責められた時などは、落ち込んだり、私ってダメだなぁとふがいない気分になったり、不安な気持ちになりますよね?
その時に十分な量のセロトニンがあれば、落ち込みすぎたり、不安感が強くなりすぎることがありません。でもセロトニンが不足していると、どんどん落ち込んでしまったり、ストレスが強くなったりするのです。
セロトニンは体内で作られますが、セロトニン作りを助けるトリプトファンは体内で作ることができないので、食べ物や飲み物から摂るしか方法がありません。
牛乳などトリプトファンを含む飲み物や食べ物を摂ることで、セロトニンが作られて心が落ち着いた状態でいられるのですね。
セロトニンについてまとめた記事もありますので、あわせてご参考に。
牛乳の効果(2)寝つきと眠りのホルモンをつくる
牛乳に含まれる「トリプトファン」という成分が幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」をつくる、とお伝えしました。
このセロトニン、昼間は心をおだやかに落ち着かせてくれたりやる気や集中力を高めてくれて、夜になると「メラトニン」に変化して心地よい寝つきと眠りをサポートしてくれるのです。
メラトニンがしっかりと作られている状態にしたいところですが、ここで大事なポイントが2つ!それは……
寝つきを良くするために牛乳は朝
寝つきを良くする1つめのポイントは、寝る前ではなく朝に牛乳を飲むこと。
牛乳などに含まれるトリプトファンがセロトニンを作り、そのセロトニンが眠りのホルモンである「メラトニン」に変わります。
でも、ここでひとつ問題が!その問題とは……
眠りのホルモン 「メラトニン」 に変わるまでには、15時間、16時間と、とても時間がかかるんです!
30分やそこらではメラトニンに変わりません。だから「寝る前のホットミルクは直接的に寝つきを良くするわけではない!」ということになるのです。
「じゃあ、いつ牛乳を飲んだらいいの?」
寝る前ではなく、寝る15時間以上前に牛乳を飲むのがおすすめです。
23時に寝るのなら朝8時までには、22時に寝るのなら朝7時までには、牛乳を飲むのがいいのです。
とはいえ、15時間はあくまでも目安なので……
気持ちよい寝つきを得るためには、寝る前ではなく、朝、牛乳を飲む。
と覚えていただけたら大丈夫です。ただし、朝牛乳を飲むだけで夜寝る前にメラトニンが作られるわけではありません。
そこで2つめのポイントというのが……
寝つきを良くするために朝の日光
寝つきを良くする2つめのポイントは朝起きたら日光を浴びること。
トリプトファンなどの材料を使って、
↓
まずセロトニンが作られて、
↓
その15時間ほど後にメラトニンに変化する。
このように体内で作られたセロトニンがメラトニンに変化するのですが、セロトニンを作り始めるために必要なのが「日光を浴びること」。
朝起きて、日光を浴びてはじめてセロトニン作りが始まります。
朝7時に牛乳を飲んでも、日光を浴びるのが朝10時だと、メラトニンに変化するのは25時頃(=夜中の1時頃)に。
朝に牛乳を飲むだけでなく、日光も浴びること。窓越しの日光では効果が半減するので、2分でも3分でも直接日光を浴びましょう。
つまり2つのポイントは、
- 朝、目が覚めたら日光を浴びよう!
=体内時計が整います - 朝、牛乳を飲んでセロトニンを作ろう!
=十分な量のセロトニンが夜にメラトニンに変わります
この朝の習慣で体内時計が整ってくるにつれ、寝る前にメラトニンが作られて心地よい寝つきが得られるようになるでしょう。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「セロトニン」、「メラトニン」
牛乳の効果(3)カルシウムがストレスを解消
カルシウム不足でイライラ、というのはみなさんご存じでしょう。
カルシウムが足りていれば、ストレスに強くなったり、イライラしにくくなって心が落ち着いていられます。この点でも、カルシウムは心の平安、ひいては安眠にも効果をもたらしてくれるのです。
仕事、育児、人間関係などで昼間にイライラしすぎると、夜に持ち越してしまいます。寝る前になってもイライラが残っていては寝つきが悪くなるのも無理ありません。
昼間にイライラしすぎないためにも、カルシウムが役に立ちます。牛乳に限らずカルシウムの多い食べ物などで心にゆとりを持ちましょう。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「カルシウム」、国立健康・栄養研究所「カルシウム解説」
牛乳の効果(4)体温の変化で寝つきをよくする
眠りに入りやすいタイミングとは、体が温かくなって、そこから体温がすこしずつ下がっていくタイミング。
温かい牛乳を飲むと体が温まりますよね。しかし牛乳自体は体を冷やす飲み物。なので、ホットミルクで体がいったん温まったあとで、体温がすこしずつ下がっていきます。この体温の変化が眠気を誘って寝つきやすくしてくれるのです。
夜寝る前のホットミルクが寝つきや眠りに良いのは、成分自体のはたらきよりも体が温まったあとで体温が下がっていく体温の変化。
朝の牛乳はともかく、寝る前は冷たい牛乳でなく温かい牛乳を飲みましょう。
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以上、寝つきや眠りに対する牛乳の効果やおすすめの飲み方を紹介してきましたが、
「乳製品は摂りたくない!」
とお考えの方も多いのではないでしょうか?
そこで次は牛乳のかわりにおすすめの食べ物・飲み物を紹介します。
トリプトファンの豊富な食べ物・飲み物
牛乳などの乳製品を摂らないようにしている人も多いでしょう。実は筆者もその一人。
ここでは「牛乳がおすすめ!」ということではなく、「眠りのために牛乳を飲むなら寝る前ではなく朝」ということをお伝えしています。
牛乳以外にもトリプトファンが豊富な食べ物や飲み物はいろいろあります。
豆乳
豆乳もトリプトファンが豊富な飲み物。
豆乳だけでなく、大豆そのものや大豆で作られた食べ物もトリプトファンが豊富に含まれています。
朝に豆乳を飲んだり大豆や大豆製品を食べることも、夜の寝つきや眠りを良くするために効果的です。
バナナ
バナナにもトリプトファンが豊富。
バナナを食べるだけでももちろんいいですし、バナナと牛乳をミキサーにかけたバナナジュースもおすすめです。
寝る前より朝がいいですね。バナナはいろんな種類の糖質が含まれていて吸収される速度も異なっているので、血糖値も上がりにくく、エネルギーも持続します。
たまご
たまごにもトリプトファンが豊富に含まれています。
もちろん寝る前ではなく朝。朝食にたまごを取り入れるのも夜の寝つきや眠りによい効果をもたらしてくれるでしょう。
寝る前の牛乳と寝つき:まとめ
寝る前の牛乳は眠りや寝つきに効果があるか、についてお伝えしました。
寝る前の牛乳は効果なし:牛乳のトリプトファンで作られたセロトニンが睡眠ホルモン「メラトニン」に変わるまで15時間ほどかかります。
牛乳を飲むタイミング:寝つきや眠りのためなら寝る前ではなく朝
寝る前の牛乳の効果:心が落ち着く、カルシウムがストレスを解消する、ホットミルクで体が温まる
寝る前の牛乳には直接的な効果は期待できないものの、副次的なメリットがあったり飲むタイミングを変えることでよい寝つきや眠りが期待できます。
寝る前に温かいものを飲むのは体にいいこと。胃腸に負担をかけない白湯もおすすめです。
寝る前に飲むものを工夫したり、トリプトファンの多いものを朝に摂るようにすれば、寝つきもよく深い眠りにつけるのではないでしょうか。