立ちくらみの原因は貧血よ。
鉄分が足りないんだわ。
なんて思っていませんか?
実は、貧血が原因で起こる立ちくらみって、意外と少ないんです。
「じゃ、立ちくらみの原因って何なの?」
これから紹介する内容を読むと、
- そもそも立ちくらみとは?
- 立ちくらみの6つの原因は?
- 改善するための方法・対策は?
などがはっきりとわかります。立ちくらみを正しく予防して心地よい毎日を過ごしましょう。
【関連記事】鉄分は立ちくらみに効果なし!?立ちくらみを改善する食べ物とは?
立ちくらみとは?
立ちくらみとは、座っている姿勢や寝ている姿勢から急に立ち上がった時や、長時間立っている時や、湯船にのんびりつかって立ち上がった時などに、クラッとしたり、目の前が白くなる状態のこと。
- 立ち上がるときにクラクラッとする
- 目の前が真っ暗になったり真っ白になった感じがする
- 気が遠くなる
- 血の気がスーッと引く
- まわりが回っているように感じてすぐに立ち上がれない
これらが立ちくらみのおもな症状で、立ち上がった瞬間に起こるケースがほとんど。無理に立ち上がろうとせずに横になっていれば、20秒から30秒ほどで症状がおさまるでしょう。
立ちくらみは20代から30代の女性に多い傾向がありますが、年齢や性別にかかわらず広くあらわれやすい症状でもあります。
立ちくらみの原因は貧血ではない!?
貧血よりも脳貧血のほうが多い
立ちくらみの原因はというと「貧血でしょ?」と思いがち。
たしかに「貧血」が原因で立ちくらみを起こすこともありますが「脳貧血」が原因で立ちくらみを起こすほうがはるかに多いのです。
「脳貧血って、なに?」
では、貧血と脳貧血はなにが違うのかというと……
貧血と脳貧血の違い
- 貧血:
血液の中の酸素が少なくなる状態 - 脳貧血:
脳への血流が少なくなる状態
原因は、
- 貧血:
血液自体に原因がある - 脳貧血:
血液自体には問題はなく脳の血液(血流)が少なくなっていることが原因
症状は、
- 貧血:
息切れ、動悸、立ちくらみ、疲れやすい、頭が痛いなど - 脳貧血:
立ちくらみ、ふらつきなど
このように両者は別物。立ちくらみの原因として多いのは貧血ではなく脳貧血なのです。
脳貧血の場合は鉄分を一生懸命に摂っても立ちくらみの改善は望めません。
それでは、立ちくらみの6つの原因と改善する方法について、順番にお伝えしていきます。
立ちくらみの6つの原因とは?
では立ちくらみのおもな6つの原因についてお伝えします。
- 脳貧血-自律神経の乱れからくるもの
- 脳貧血-低血圧からくるもの
- 脳貧血-筋力不足からくるもの
- 貧血
- 起立性調節障害
- 病気・薬の副作用
脳貧血-自律神経の乱れからくるもの
立ちくらみの原因の1つ目は、自律神経が乱れていることで、脳に血流と酸素が不足しておこる脳貧血。
心臓を動かす、血液を流す、胃や腸で食べ物を消化吸収する、寝ている時に呼吸するなど、自分の意識ではできないことって、たくさんありますよね?
このように自分の意識ではできないことのすべてをコントロールしているのが自律神経。正しくはたらいているおかげで、私たちは健康で生活することができるのです。
しかしストレスの多い生活は自律神経を乱して、さまざまな不調を引き起こします。立ちくらみもその1つ。
地球には重力があります。血液だって下へ下へとおりて下半身にたまります。
それを「よいしょっ、よいしょっ!」と上に持ち上げて、血液を上半身や脳に送るのも自律神経のはたらき。
急に立ち上がると、たくさんの血液が下におりようとします。
自律神経のバランスが整っていれば、その動きを察知して「血液を上にあげるぞっ!」とすばやく対応。上半身や脳に血液を送るので立ちくらみは起きません。
でもバランスが乱れていると……
この機能が正常にはたらきません。脳へ十分な血液を送ることができないので、脳が酸素不足となって立ちくらみが起こるのです。
ストレスの多い毎日が原因で起こる立ちくらみ。改善するには「ストレスを受けない・ためないこと」と「自律神経を整えること」。
改善する方法(1)ストレスを受けない・ためない
立ちくらみのおおもとの原因であるストレスを少しでも受けないようにすることが一番の改善策。とはいえ心配事がすぐになくなるわけでも、苦手な人がすぐにどこかへ行ってしまうわけでもないでしょう。
ならばストレスがたまる前に発散しましょう。
気の合う仲間とご飯を食べたり飲みに行ったり、スポーツで汗を流したり。立ちくらみを感じるということはかなりのストレスがたまっているのかもしれません。こまめに発散しましょう!
改善する方法(2)自律神経を整える
自律神経は、交感神経(活動・緊張・ストレスの神経)と副交感神経(休息・回復・リラックスの神経)の2つから成り立っています。
ストレスの多い人は交感神経ばかりはたらいて、体を回復する副交感神経が十分にはたらけていません。これが立ちくらみをはじめとする不調の原因。
立ちくらみを改善するには、副交感神経をはたらかせるように気をつけましょう。
- 目が覚めたら日光をあびる(体内時計が整って寝つきもよくなる)
- 軽い運動をする(散歩、ウォーキング、ジョギングなど)
- 41℃以下の湯船にゆったりつかる(シャワーだけでは逆効果)
- 食べ物(食物繊維、発酵食品、からいもの、酸っぱいものが効果的)
- マッサージやストレッチで緊張した筋肉をほぐす
- 深呼吸する(ゆっくり吐くことがポイント)
- 寝る1時間前からはスマホやテレビを見ない
このような工夫で立ちくらみを改善しましょう。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「自律神経失調症」、「ストレス」、「体内時計」
なお、小学校の高学年から高校生にかけての成長期に起こりやすい「起立性調節障害」というものがあります。
体の急な成長に自律神経のはたらきが追いつけないことで立ちくらみなどの症状が起こるもの。
こちらはこのページの後半の『原因(5)起立性調節障害(成長期の子供)』にてくわしくお伝えします。
脳貧血-低血圧からくるもの
立ちくらみの原因の2つ目は、低血圧によって脳に血流と酸素が不足しておこる脳貧血。
そもそも血圧とは?
血圧とは、血液が血管の壁をグイッと押すチカラのこと。そしておもに 血圧は「心臓が送り出す血液の量」と「血管のかたさ」で決まります。
血液がたくさん送り出されれば、血管の壁をグイッと押して広げないと渋滞して流れない。血液が少なければ渋滞しない代わりに、酸素も栄養も不足してしまいます。
また、血管がつまっていると血液が流れにくいので「ちょっとー、狭いんですけどー!」って言いながら血管をグイッと広げて通れるようにします。
この時……
血管が柔らかいとかんたんに広がるでしょうが、血管が固いと「ちょっとーっ、固くて広がらないんですけどーっ!」って必死にグイグイ押さないと通れない。
こうやって「心臓から送り出される血液の量」と「血管のかたさ」によって血圧が決まってくるのです。
低血圧で脳まで血液が届かない
低血圧の人は血管の収縮力、つまり、血管の壁をグイッと広げるチカラが弱いために、血液の流れが悪くなっている傾向があります。
そんな状態のなかで急に立ち上がったりすると、さらに血圧が下がってしまって脳の血液の量が少なくなるので、立ちくらみが起きるのです。
改善する方法
低血圧からくる立ちくらみの改善は生活習慣の見直しが一番大切。
- 早寝早起きをして、目覚めたら日光を浴びる(体内時計が整う)
- 水分補給(目覚めの水や日中もこまめに)
- 運動(散歩やジョギングなど)
- 朝昼晩と3食しっかりと
- 栄養をまんべんなく
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「ウォーキング」
たんぱく質や適切な塩分を摂りましょう。青魚やそば茶やレシチンの多い食べ物(大豆や卵など)もサラサラ効果が高いのでおすすめです。
生活のリズムを整えて朝食もしっかり摂ることが、低血圧からくる立ちくらみの改善に効果的ですね。
脳貧血-筋力不足からくるもの
立ちくらみの原因の3つ目は、筋力不足で脳の血流と酸素が不足することからくる脳貧血。
下におりてきた血液を上へと戻すポンプの役割を果たすのがふくらはぎ。
ふくらはぎの筋肉が少ないと血液を上へと戻すチカラが弱いので、脳にも十分な血液が行き届かずに立ちくらみが起こります。
小学生の時、朝礼などで長時間立ち続けていると、立ちくらみが起きたり具合が悪くなった経験ありませんか?
小学生はまだ筋肉が発達していないので、下におりた血液を上へと戻すチカラも弱く、血流不足・酸素不足になってしまうのです。
改善する方法
筋力不足が原因の立ちくらみなので、改善するには筋力をつけること。ウォーキングやジョギングなど、ふくらはぎの筋肉を使う運動が効果的です。
運動することで血流が良くなってふくらはぎの筋力もついてくれば、筋力不足からくる立ちくらみの解消につながります。
駅までのバスを歩きに変えたり、スーパーまでの自転車を歩きに変えたり。エスカレーターを階段に変えたり、一駅手前で降りて歩いたり。
ふだんの行動をちょっと変えて「移動の時間」を「運動の時間」に変えましょう!
時間に余裕のある人は、ウォーキング、ジョギングなど好きなスポーツを取り入れてみてはいかがでしょうか。
貧血
立ちくらみの原因の4つ目は貧血。「貧血だからよく立ちくらみするのよ~」まさにその貧血です。
脳貧血と違って、貧血の場合は脳の血流は不足していません。
血液の中のヘモグロビンの量が少なくなって、全身が酸素不足の状態になることで立ちくらみが起こります。
ヘモグロビンの役割は全身の細胞に酸素を運ぶこと。ヘモグロビンが少なくなると全身の細胞が酸素不足に。その酸素不足をなんとかしなきゃ!と心臓や肺が必死にはたらきます。
その結果、症状は立ちくらみだけではなく、息切れ、動悸、疲れやすい、頭が痛いなどの症状があらわれることも。
特に息切れは貧血の人に出やすい症状ですが「年のせいかな」「運動不足だなぁ」で済ましがち。あまりに息切れがひどい場合は医師の診察をあおぎましょう。
改善する方法
ヘモグロビンを作るのは鉄分。貧血からくる立ちくらみの多くは鉄分不足。「鉄欠乏性貧血」です。
月経時の女性が貧血になりやすいのも、出血によって鉄分を失うから。食べ物から鉄分をしっかりと摂ることが大切です。
鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄とがありますが体への吸収率が高いのは「ヘム鉄」。豚レバー、鶏レバー、肉の赤身の部分、イワシ、カツオ、ブリ、まぐろ、しじみ、あさりなどの食べ物が効果的です。
鉄分不足に注意が必要な人は、小学校高学年から中学生にかけての女子、妊婦さん、月経時に出血量の多い女性など。栄養バランスを整えながら鉄分摂取に気をつけましょう。
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「鉄解説」
鉄分の多い食べ物や効果的な食べ方はこちらでくわしく紹介しています。
→ 鉄分の効果、多い食べ物、効果的な食べ方とは?
また男性はほとんど出血をしないため鉄欠乏性貧血にはなりにくい傾向があります。ただし男性で貧血が気になる場合は、銅不足、葉酸不足などが原因かもしれません。
【関連記事】銅の多い食べ物ランキング30【1食分】で比較!効果効能も!
次は、成長期の子供に見られる起立性調節障害による立ちくらみについてお伝えします。
起立性調節障害(成長期の子供)
立ちくらみの原因の5つ目は、成長期の子供に多くみられる起立性調節障害からくる立ちくらみ。
起立性調節障害の症状とは
起立性調節障害の場合は、短時間で症状がおさまる立ちくらみとは違います。
短時間で症状がおさまらずに、朝なかなか起きられない、倦怠感が強い、動悸、息切れ、頭痛、腹痛など、立ちくらみ以外の症状もあらわれて日常生活がままならないケースもあります。
小学生の高学年から高校生にかけての成長期の子供に多く、朝は体がなかなか動かないのに夕方や夜は元気になるのが特徴。
「学校に行きたくないだけでしょ?」「怠けてるの?」「シャキッとしなさい!」なんて誤解されそうですが、これが「起立性調整障害」というもの。
原因は成長に自律神経が追いつけないこと
特に小学校の高学年から中学生にかけては第二次性徴期。身体的にも精神的にも大きく成長する変化に自律神経がついていけないことが、起立性調節障害という体の不調となってあらわれるのです。
起立性調節障害は、朝になっても交感神経(活動モード)に切り変わらないので、起き上がりたくても起きられません。
午前中は交感神経があまりはたらけず、午後になって交感神経がはたらくので、夕方や夜は活動モードに。
だからといって怠けているわけではありません。
朝起きたくても起きられないこと、怠けてないのに「怠けてるだけじゃないの?」と思われること。そんなジレンマに一番つらい思いをしているのはお子さん自身なのです。
改善する方法
起立性調節障害からくる立ちくらみの改善策としては、自律神経や体内時計のリズムを正常な状態に近づけてあげることが大切。
朝だからと焦らずに、太陽の光を部屋に取りこんだり、冷たい水を飲ませてあげたり。ゆっくりと布団から出してあげてください。
和食中心で体を温める食べ物を取り入れたり、運動不足にならないように散歩やお買い物につきあってもらったり。
なかなか改善しない場合は、医師のアドバイスをもとに日常生活での工夫、学校との連携、薬の活用などの方法で改善をはかってみましょう。
起立性調節障害と診断されなくても、成長期の子供には多かれ少なかれこの傾向があります。その背景には心のストレスが隠れていることも。お子さんの体調やストレスをじっくりと観察してあげてください。
病気・薬の副作用
立ちくらみの原因の6つ目は、いろいろな病気や薬の副作用からくるもの。
動脈硬化による血流不足、糖尿病による神経障害、脳の病気による脳への酸素不足、といった病気が原因で立ちくらみが起こることもあります。
また、降圧剤、向精神薬、心臓病の薬などを飲んでいる人にも、その副作用としてめまいや立ちくらみが起こることがあります。
立ちくらみの6つの原因と改善する方法:まとめ
立ちくらみの原因はおもに次の6つ。
- 脳貧血-自律神経の乱れからくるもの
- 脳貧血-低血圧からくるもの
- 脳貧血-筋力不足からくるもの
- 貧血
- 起立性調節障害
- 病気・薬の副作用
立ちくらみの多くは「脳の血流不足による脳貧血」であり、その原因はおもに「ストレスからくる自律神経の乱れ」です。
あなたの立ちくらみはいかがですか?
生活環境などを見返してみて、できるところから改善策を取り入れてみてください。