食物繊維の多い米といえば「玄米」というイメージでしょうか?
でも……
「押し麦も食物繊維が多い?」
「白い米にもち麦を混ぜて炊くより玄米のほうが食物繊維が多い?」
なんて疑問がわいたので調べてみました。
いろんなお米や麦で食物繊維の多い順に比較しましたが、ただ単に100g中に食物繊維が多い順ではありません。
炊きあがったお茶碗一杯あたりに食物繊維の多い米を10位までランキングしました。
食物繊維が多い米は、玄米?押し麦?もち麦?オーツ麦?黒米?
ぜひ参考になさってください。
食物繊維は6g不足
食物繊維が不足している私たち日本人。和食から洋食への変化、外食の増加、精製された白い米や白いパンの増加など原因はいろいろです。
食物繊維の1日の摂取量の目標は、男性21g、女性18g。でも実際に摂れているのは目標のわずか70%。約6g不足しています。
※参考サイト:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版):炭水化物」、国立健康・栄養研究所「栄養摂取状況調査」
食物繊維は水溶性と不溶性の2種類。食べ物にはどちらも含まれていて、その割合や量に違いがあります。
「水溶性:不溶性=1:2」の割合で摂るのが望ましいと言われるなか、日本人には水溶性食物繊維のほうが不足している傾向があります。
水溶性食物繊維が多いのは果物や海藻。こちらもふだんの食生活に積極的に取り入れていきたいですね。
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米や麦は不溶性食物繊維が多い傾向にありますが、水溶性食物繊維が豊富な米もあります。
そこでそれぞれの米や麦について、食物繊維の総量だけでなく、水溶性や不溶性の量もあわせて紹介していきます。
お茶碗一杯に含まれる食物繊維
「玄米の食物繊維は白米の6倍!」
「もち麦なら白米の26倍!!」
これは炊く前の固い米や麦の状態での話。実際に食べる時の食物繊維の量とは違います。
もち麦は確かに食物繊維が豊富ですが……
- もち麦だけを炊いて食べる場合
- 白米にもち麦を混ぜて炊いて食べる場合
お茶碗一杯食べた時に摂れる食物繊維は違いますよね?
そこでいろんな米や麦について、基本の炊き方(食べ方)でお茶碗一杯のごはんを食べた時の食物繊維で比較してみました。
食物繊維の量については、文部科学省の食品成分データベースを参考にしながら、データのないものはできる範囲の試算で算出しています。
※参考サイト:文部科学省「食品成分データベース」
米も麦も、品種・天候・収穫時期・保存状態によって栄養価は変わります。お伝えする内容は目安として参考になさってください。
食物繊維の多い米・麦・ごはんランキング
食物繊維の多い米・麦。お茶碗一杯分あたりに換算して10位までランキングで紹介します。
私たち日本人は、食物繊維の1日の目標に6g足りていません。
1位~5位の米・麦
1位:オートミール粥
食物繊維の多い米・麦。1位はオートミール粥。
お茶碗一杯分:
食物繊維2.82g
※水溶性0.96+不溶性1.86
オーツ麦30gに水120mlでオートミール粥を作った場合で算出。
オーツ麦は「燕麦(えんばく)」や「からす麦」ともよばれる麦の一種。グルテンフリーなことでも注目を集めています。
栄養豊富で、食物繊維は玄米の3倍、カルシウムは玄米の5倍!鉄分やビタミンB群も豊富で、血圧を下げる、中性脂肪や血糖値をおさえる、便秘解消、骨を強くする、貧血予防などの効果が期待できます。
オートミールの栄養がすごい!粥1皿の栄養価と6つの効果とは?
2位:もち麦入りごはん
2位はもち麦入りごはん。
お茶碗一杯分:
食物繊維2.29g
※水溶性1.06+不溶性1.23
白い米1合(150g)にもち麦1/3カップ(50g)を加えて炊いた場合で算出。
お米に「もち米とうるち米」があるように大麦にも「もち性の麦とうるち性の麦」とがあります。
- もち性の大麦:
もち麦。食感はもちもち。 - うるち性の大麦:
うるち麦。食間はプチプチ。 - 押し麦:
うるち麦をローラーなどで押しつぶしたもの(吸収しやすくするため)
もち麦は穀物類のなかでも水溶性食物繊維がもっとも豊富な点が特徴。水溶性食物繊維が足りないと言われている私たち日本人にとって、ぜひ取り入れたい食材のひとつですね。
また、たんぱく質や、マグネシウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、鉄分などのミネラルや、ビタミンEなども豊富。
もち麦を食べるなら朝。もち麦に豊富な水溶性食物繊維のβ-グルカンが、朝食だけでなく、昼食・夕食の糖質の吸収もおさえて血糖値ケアをしてくれます。
3位:押し麦入りごはん
3位は押し麦入りごはん。
お茶碗一杯分:
食物繊維2.25g
※水溶性0.79+不溶性1.46
白い米1合(150g)に押し麦2/5カップ(50g)加えて炊いた場合で算出。
もち麦の欄でお伝えしましたが、大麦にはもち性の「もち麦」とうるち性の「うるち麦」とがあります。
押し麦は、うるち麦をローラーなどで押しつぶして体内で吸収しやすいようにしたもの。もち麦は水溶性食物繊維がやや多めでもちもち食感。押し麦は不溶性食物繊維がやや多めでプチプチ食感です。
銅、亜鉛、ナイアシンなども豊富。貧血予防、疲労回復、ダイエット、生活習慣病の予防、便秘解消、デトックスなどの効果が期待できます。
押し麦の栄養がすごい!お茶碗1杯の栄養価と6つの効果とは?
4位:玄米ごはん(玄米100%)
4位は玄米ごはん(玄米100%)。
お茶碗一杯分:
食物繊維2.24g
※水溶性0.32+不溶性1.92
精米していない玄米だけを炊いた場合で算出。
食物繊維の総量は、2位「もち麦ごはん」も3位「押し麦ごはん」も4位「玄米」も誤差の範囲というくらいほぼ同じ。
違うのは水溶性食物繊維の量ですね。
もち麦ごはん(水溶性:1.06g)に対して、玄米(水溶性:0.32g)。
日本人に足りないのは水溶性食物繊維のほうなので、その点では玄米よりももち麦のほうがおすすめです。
ただ食物繊維以外であなたが摂りたい栄養素も考えて、お選びいただくのがいいですね。
【関連記事】玄米の栄養がすごい!お茶碗一杯の栄養価と6つの効果効能を紹介!
5位:五分づき米
5位は五分づき米だけで炊いたごはん。
お茶碗一杯分:
食物繊維1.28g
※水溶性032+不溶性0.96
玄米を五分づきにまで精米したものだけを炊いた場合で算出。五分づき米は玄米と精白米の中間ですね。
分づき米とは精米するときに、玄米から「胚芽」や「ぬか層」を全部取り除くのではなく、一部残して精米したお米のこと。
玄米→三分づき米→五分づき米→七分づき米→精白米、というように数字が大きくなるにつれて精白米に近くなります。
五分づき米は「ぬか層」は5割ほど取り除くものの「胚芽」はほとんど残っている状態のお米。水溶性は精米していない玄米と同じですが不溶性は半分に減ってしまいます。
精米していない玄米を食べて食感など気になるようなら、食べやすい五分づき米から始めるのもおすすめです。
【関連記事】5分づき米の栄養がすごい!お茶碗一杯の栄養価と7つの効果とは?
6位~10位の米・麦
6位:赤米入りごはん
食物繊維の多い米・麦。6位は赤米入りごはん。
お茶碗一杯分:
食物繊維1.28g
※水溶性0.15+不溶性1.13
白い米1合(150g)に赤米大さじ一杯(15g)加えて炊いた場合で算出。
古代米とは古代中国から伝わった色のついたお米。
赤米(あかまい、あかごめ)、黒米(くろまい、くろごめ)、緑米(みどりまい)に分けられ、生命力は強いが収穫量が少ないなどの理由で、あまり栽培されなくなってきました。
しかし、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなど栄養が豊富なので、健康志向の高い人たちからは根強い人気があります。
赤米はぬかの部分にタンニン(ポリフェノールの一種)が豊富。抗酸化作用、腸内環境を整えるはたらきなどが期待されます。
そのほかビタミンB群、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルも多いのが特徴です。
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7位:黒米入りごはん
7位は黒米入りごはん。
お茶碗一杯分:
食物繊維1.27g
※水溶性0.18+不溶性1.09
白い米1合(150g)に黒米大さじ一杯(15g)加えて炊いた場合で算出。
黒米も古代米の一種。黒い色はアントシアニン(ポリフェノールの一種)。抗酸化、目の疲れをやわらげる、毛細血管を強くする、といった効果効能が期待できます。
このほかビタミンB1、B2、E、カリウム、カルシウム、鉄分、亜鉛などの栄養素が豊富に含まれています。
【関連記事】黒米の栄養がすごい!お茶碗一杯の栄養価と7つの効果とは?
8位:胚芽精米100%
8位は胚芽精米のごはん。
お茶碗一杯分:
食物繊維1.20g
※水溶性0.30+不溶性0.90
胚芽精米だけで炊いた場合で算出。
玄米は次の3つからできています。
- 外皮(=ぬか)
- 胚芽
- 胚乳(=精白米)
胚芽精米とは、特別な方法で外皮(ぬか)だけを取り除いて「胚芽」を80%以上残すように精米されたお米のこと。
外皮(ぬか)の部分がないので栄養価は玄米よりも低くなります。食物繊維は玄米の50%に。
ただ、胚芽にはビタミンB群やビタミンEが豊富ですし、食べやすいというメリットもお値段が手ごろというメリットもあります。
【関連記事】胚芽米の栄養がすごい!お茶碗一杯の栄養価と5つの効果とは?
9位:アマランサス入りごはん
9位はアマランサス入りごはん。
お茶碗一杯分:
食物繊維1.19g
※水溶性0.05+不溶性1.15
白い米1合(150g)にアマランサス大さじ一杯(15g)加えて炊いた場合で算出。
スーパーグレイン(驚異の穀物)とも呼ばれるアマランサス。まさに栄養の宝庫です。
- ビタミン:
B2、B6、葉酸、パントテン酸、ビタミンEなど - ミネラル:
鉄分、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、マンガンなど - たんぱく質:
9種類の必須アミノ酸すべてが含まれている
これらの栄養素が小さな粒に凝縮。白米にアマランサスを少量混ぜて炊くだけでも、しっかりと栄養を摂ることができます。
10位:白米100%
食物繊維の多いごはん。最後の10位は白米。
お茶碗一杯分:
食物繊維0.9g
※水溶性はごくごく微量+不溶性0.9
精白米だけで炊いた場合で算出。
「白米の〇〇倍ものビタミンE!」などと比較されているのをよく見かけますが、比較する意味がないほど栄養素が少ないのが白米。
玄米から白米に精米する過程で、90%~95%の栄養素が失われていきます。「白米の栄養は玄米の1/20」というほど。
健康のために食べるなら白米だけのごはんは見直しましょう。
【関連記事】白米って栄養あるの?お茶碗一杯分の栄養価をご紹介!
米の食物繊維の量:一覧
米や麦などの穀物類の中からお茶碗一杯分あたりで比較して、食物繊維の多いごはんを10位までランキングでお伝えしました。
おさらいで、それぞれの穀物のお茶碗一杯分の量を一覧にまとめてみます。
食物繊維と言えば玄米、というイメージもありましたが、もち麦ごはんにも、押し麦ごはんにも豊富。
お茶碗一杯で不足している食物繊維の半分弱をおぎなうことができますね。
毎日食べるごはんも、すこしの工夫で食物繊維やビタミン・ミネラルが豊富な食べ物に!ぜひあなたに合った米や麦を取り入れてみてはいかがでしょうか。