リコピンといえば抗酸化作用というイメージですね。その効果は抗酸化作用だけにはとどまらず、さまざまな効果にあふれています。
トマトに多いことでも知られるリコピンですが……
ご存じですか?
食べ方や食べるタイミングによっては、せっかくのリコピンが体に吸収されていないかもしれないのです。
さらには どのトマトを選ぶかでリコピンの含有量も雲泥の差。
そこで、リコピンのすごい4つの効果、トマトをはじめリコピンの多い食べ物、リコピンの多いトマトの選び方、効果的な食べ方と食べるタイミングなどについて、わかりやすくお伝えします。
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リコピンとは?
リコピンとはフィトケミカルの一種。フィトケミカルとは動物や植物に含まれる成分で、抗酸化作用が高く、第七の栄養素として注目されている成分です。
- 大豆に含まれるイソフラボン
- ブルーベリーに含まれるアントシアニン
- 緑茶に含まれるカテキン
- ウコンに含まれるクルクミン
これらもフィトケミカルの一種。その数は1万種類ともいわれています。
そんなフィトケミカルの中の「カロテノイド」という種類の中に「リコピン」があります。
リコピンの効果の代表的なものが抗酸化作用。あらゆる病気や老化のもとである活性酸素を除去するはたらきですね。
フィトケミカルの中でも非常に高い抗酸化力を発揮するリコピン。
β-カロテンの約2倍、ビタミンEの約100倍の強い抗酸化力で、私たちの体の細胞を酸化から守ってくれています。
ちなみに「セレン」というミネラルも抗酸化力の高さで有名。ビタミンEの約60倍の抗酸化力といわれています。
セレンの多い食べ物にはどんなものがあるか、こちらをご覧ください。
セレンの多い食べ物ランキング30【1食分】で比較!
活性酸素と抗酸化作用
さて、リコピンの効果である抗酸化力といえば活性酸素をやっつけるチカラ。
病気や老化の原因である活性酸素は「悪者」というイメージですが、実は活性酸素は私たちの体を守っているという側面もあるのです。
知っているようで知らない活性酸素や抗酸化作用について、簡単にお伝えします。
活性酸素とは?
わたしたちは生きるために呼吸しています。息を吸って酸素をとりこむと、その中の2%から3%が活性酸素になると言われています。
活性酸素を簡単にいうと、酸素がちょっと変なかたちになっちゃったもの。
活性酸素の良いはたらき
活性酸素は悪者のように思われていますが、ちゃんと体を守るはたらきもしています。
- 体に侵入してきた細菌やウィルスをやっつける
- 有害な物質を肝臓で解毒する時にがんばる
- 体の中であまった水素にくっついて、水になって体から出る
呼吸によって活性酸素ができてしまいますが、それは私たちの健康を守るためにはたらいてくれているのです。
活性酸素の悪いはたらき
問題なのは活性酸素が増えすぎること。活性酸素が発生する原因は呼吸だけではありません。
ストレス、運動不足、激しい運動、食生活(食品添加物や加工食品など)、薬、たばこ、紫外線、大気汚染、放射線、レントゲン、電磁波……
これらが原因となって活性酸素が発生します。
体の中では活性酸素をやっつける抗酸化物質が作られています。
でも活性酸素があまりに多いと抗酸化物質の攻撃が追いつかなくなって、体の細胞が傷つけられてしまうのです。
抗酸化作用とは?
現代の病気のうち活性酸素が影響しているものは80%とも90%とも。
そんな活性酸素を除去して体の細胞が酸化するのを防ぐはたらきが抗酸化作用です。
体の中で作られる抗酸化物質は年齢とともに減っていく。逆に年齢とともにストレスも増えて、活性酸素は増えていく。
そこで抗酸化作用のある食べ物から抗酸化物質を摂ることが大切になってくるのですね。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「抗酸化物質」、「活性酸素と酸化ストレス」
では抗酸化作用が非常に高いリコピンの4つの効果についてお伝えします。
リコピンの4つの効果
リコピンの効果はおもに次の4つ。
- 高血圧の予防・改善
- 生活習慣病の予防
- ダイエット
- 美肌
高血圧の予防・改善
活性酸素は血液中の悪玉コレステロールを増やします。その結果、血栓ができるなどして血液の流れが悪くなって高血圧を引き起こします。
抗酸化作用の高いリコピンが活性酸素をしっかりと除去することで、悪玉コレステロールが酸化するのを防いでくれます。
また善玉コレステロールを増やすはたらきもあるので、血液をサラサラにして高血圧の予防・改善が期待できるのです。
生活習慣病の予防
高血圧そうなのですが、生活習慣病の予防にもリコピンは効果を発揮します。
生活習慣病とは文字通り「生活習慣」が原因で起こるもの。食生活の乱れ、運動不足、睡眠不足、ストレスの多い毎日、といったものが原因で起こる病気ですね。
生活習慣の乱れ
→ 活性酸素がとてもたくさん発生する
→ 健康な細胞を傷つける
→ 健康を害する
もちろん大切なのは生活習慣を見直すこと。そのうえで抗酸化作用の非常に高いリコピンを摂れば、生活習慣病の予防効果も高まってくるのではないでしょうか。
ダイエット
リコピンには脂肪を蓄積しようとするはたらきを防ぐ作用があります。言いかえれば脂肪が増えにくい体にするはたらきですね。
さらに血流が改善する効果によって、全身に栄養や酸素や体温が行き届くようになります。エネルギー源がちゃんと燃えて元気に活動できますし、老廃物はしっかりと排出される。
つまりは新陳代謝が促進されるので、食事などのカロリーがエネルギーに変えられて、太りにくい体になっていくのです。
美肌
リコピンはシミ・しわ・そばかすを予防して、透明感のある美肌づくりにも効果を発揮します。
紫外線は活性酸素を増やして肌の細胞にもダメージをあたえます。肌が乾燥して新陳代謝が悪くなるので、うるおいのある美肌づくりは望めません。
リコピンは肌の表面にできた活性酸素を除去して、メラニン色素をつくる酵素のはたらきをおさえて、シミ・そばかす・くすみを予防します。
リコピンは紫外線から肌をまもり、肌が乾燥しないように水分をキープ。コラーゲンの生成にもはたらきかけることで、シワを予防して弾力ある美肌づくりをサポートします。
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高血圧の予防・改善、生活習慣病の予防、ダイエット、美肌。抗酸化作用の高いリコピンのおもな4つの効果をお伝えしました。
次はリコピンの多い食べ物を紹介します。
リコピンの多い食べ物
リコピンの多い食べ物は、トマト、赤パプリカ、にんじん、スイカ、ピンクグレープフルーツ、柿、さくらんぼ、プラム、グアバ、パパイヤ、マンゴーなど。
でもやはりリコピンといえばトマト。赤ければ赤いほどリコピンがたくさん含まれています。
でも……
スーパーで売られているトマト、真っ赤っ赤ですか?
赤みという点では、大きなトマトよりもミニトマトの方が赤いですね。なのでリコピンを摂るならミニトマトのほうがおすすめ。
ミニトマトは普通のトマトより栄養豊富。ビタミンC、A、E、葉酸、カリウムなどがたっぷり。その栄養価と効能はこちらをご覧ください。
ミニトマトの栄養がすごい!10個あたりの栄養価と9つの効果とは?
ところで、ご存じですか?
リコピンの多いトマトは野菜売り場にはありません。
「えっ、ミニトマトじゃないの?」
と言われそうですが、普通のトマトやミニトマトよりもリコピンがもっと多いのは……
リコピンが多いのはどんなトマト?
リコピンが豊富なトマトはどれかというと……
リコピンが多いのはトマトの加工品
リコピンがとても多く含まれているのは普通のトマトではなく「トマトの加工品」。
トマトの水煮缶、トマトジュース、ケチャップなどですね。
これらは真っ赤に完熟したトマトを原料にして作られているので、リコピンもたっぷり含まれています。
リコピンの1日の摂取量は15mg~20mg。
そこで15mgのリコピンを摂取するためにはどのくらいトマトを食べればいいのかというと……
- トマト(Lサイズ)
→ 2個(約500g) - ミニトマト
→ 20個(約250g) - トマトの水煮缶
→ 1/2缶(約200g) - トマトジュース
→ 缶ジュース1本(約160g) - ケチャップ
→ 大さじ4杯(約75g)
トマトの加工品にリコピンが豊富な2つの理由
トマトよりトマト加工品のほうがリコピンが多い理由は2つ。
(1)品種が違う
スーパーに並ぶ生のトマトは「桃色系」。トマト缶のトマトはサンマルツァーノ種などの「赤色系」。赤色系のほうがリコピンが多く含まれているのです。
(2)完熟してから収穫している
スーパーのトマトは完熟前に収穫して運ばれたもの。輸送中の傷つきを防ぐためです。
トマト加工品は完熟したトマトを使用しています。完熟か未熟かでリコピンの量は雲泥の差なのです。
トマトの栄養価や効果的な食べ方については別の記事でまとめていますので、あわせてご覧ください。
→ トマトの効果がスゴい!正しい選び方や効果的な食べ方とは?
さてそんなリコピンも食べるタイミングと食べ方によってリコピンの吸収率はまったく違います!
といっても効果的な食べ方はいたって簡単。
そこでリコピンを効果的に摂り入れるためには、どんな食材を選んで、どう調理して、いつ食べるのがいいのか、お伝えします。
リコピンを摂る効果的なタイミング・食べ方
リコピンを摂る効果的なタイミング
リコピンを摂る効果的なタイミングは朝。。昼や夜と比べると朝にリコピンを摂るほうが吸収が格段に良いようです。
朝に摂れない場合、次におすすめなのは「夜」。昼ごはんは吸収率がもっとも低いタイミングのようです。
リコピンを摂る効果的な料理法
リコピンの吸収率を高める食べ方(料理法)は、油を使って加熱調理することです。
リコピンは熱に強く、生で摂るよりも加熱することで吸収率がグンとアップ。
また油に溶けやすい性質を持っているので、油と一緒に調理することで吸収率はさらにアップします。特にオリーブオイルとの相性がいいとも言われているのでおすすめです。
- トマト缶やトマトジュースなどの加工品を、
- 油を使って、
- 加熱調理したものを、
- 朝に食べる
これがもっとも効果的なリコピンの摂り方になります。
逆に、
「生のトマトを、ノンオイルドレッシングをかけて、サラダとして、お昼に食べる」
というのはかなり残念なリコピンの摂り方になるのでしょう。
忙しい朝におすすめのリコピンの摂り方
いくら朝が効果的とはいえ忙しいもの。作り置きできるレシピなどを活用しましょう。
トマト缶といろんな野菜のミネストローネスープ、野菜をトマト缶で煮込んだラタトゥイユ、トマトリゾット、玉子焼きにケチャップをかけるなど。
ミネストローネスープやラタトゥイユは作り置きできますし、リゾットはご飯と野菜とトマトジュースですぐに作れます。玉子焼きにケチャップをかけるのは手軽にすぐできますね。
どれもトマト水煮缶やトマトジュースを使って油で加熱したものなので、リコピンの吸収率はバツグン。忙しい朝でも取り入れやすいメニューではないでしょうか。
リコピンの効果・トマトの効果的な食べ方:まとめ
抗酸化作用の非常に高いリコピンの4つの効果、リコピンの多い食べ物、効果的な食べ方についてお伝えしました。
リコピンの4つの効果 : 高血圧の予防・改善、生活習慣病の予防、ダイエット、美肌。どれも高い抗酸化作用によって活性酸素を除去することで得られるもの、ですね。
リコピンの多い野菜 : トマト、赤パプリカ、にんじんなど。果物なら、スイカ、ピンクグレープフルーツ、柿、さくらんぼ、プラム、グアバ、パパイヤ、マンゴーなど。なかでも一番多く含まれているのはやはり「トマト」ですね。
トマトの効果的な食べ方 : 生で食べるよりもトマト加工品を「油」を使って「加熱」して「朝」に食べるほうが、はるかに多くのリコピンを吸収できることがおわかりいただけたと思います。
ストレス社会に生きる私たちを守ってくれる抗酸化作用の高いリコピン。毎日の食生活に欠かせない栄養素ではないでしょうか。