キャベツは栄養も健康効果もとても高い野菜。
キャベツはデザイナーフーズピラミッドでもトップランクに位置。がん予防をはじめ胃腸のケアやダイエットなどを目的に食べている方も多いのではないでしょうか。
そこで、
- キャベツにはどんな栄養が多い?
- どんな効果がある?
- どんな食べ方がいい?
などについてわかりやすくお伝えします。
キャベツに多い栄養素とは?
キャベツに多い栄養素は、ビタミンC、ビタミンU、ビタミンK、ベータカロチン、カルシウム、カリウム、葉酸など。
ビタミンUは「キャベジン」という別名のほうが有名な栄養素ですね。
ではキャベツに多いこれら7つの栄養素についてお伝えします。
ビタミンC
キャベツにはビタミンCが豊富!
ビタミンCは100g中に40mgほど。キャベツの大きめの葉なら2枚から3枚で1日に必要なビタミンCを摂ることができます。
ビタミンCはあらゆるはたらきをしてくれる栄養。
抗酸化作用、免疫力を高める、疲労を回復する、コラーゲンをつくって血管・皮膚・骨などを丈夫にする、ストレスから体を守る、シミを防ぐ、など。
摂り過ぎたビタミンCは2~3時間で体から排出されてしまうので、こまめに補給したい栄養ですね。
キャベツのなかでも特に春キャベツの外側の葉や芯のまわりにビタミンCが豊富。外側の葉や芯も食べる工夫をしましょう。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「抗酸化ビタミン」
ビタミンU(キャベジン)
キャベツから発見されたために「キャベジン」と呼ばれている栄養がビタミンU。
キャベジンという名前が胃腸薬についたことから察するとおり、胃や十二指腸の健康を守るはたらきがある栄養素です。
ビタミンK
キャベツにはビタミンKという栄養も豊富に含まれています。
ビタミンKはカルシウムが骨をつくるのをサポートして骨を丈夫にする栄養素。
また血液を固めるはたらきがあって、すばやく血を止めて傷の治りを早くするはたらきもあります。
すり傷や切り傷のたえない子供にとっても、骨粗鬆症が心配な年齢の方々にとっても、大切な栄養ですね。
ちなみに、ビタミンKが最も豊富で骨粗しょう症の予防・改善に期待されているのが納豆。なかでも粒納豆よりもひきわり納豆にビタミンKが多く含まれています。
ビタミンKが抜群に多く、ビタミンB群、鉄分、食物繊維なども豊富なひきわり納豆の栄養価と効能はこちら↓
ひきわり納豆の栄養がすごい!1パックの栄養価と8つの効果効能
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「ビタミンK解説」
カルシウム
キャベツには意外にもカルシウムも多く含まれています。
骨や歯を作るはたらき、イライラを解消しておだやかな気分にしてくれるカルシウム。キャベツに含まれるビタミンCやビタミンKなどの栄養との相乗効果で、骨や歯をしっかりと強くしてくれます。
カルシウムも外側の葉と芯のまわりに多く含まれています。芯も食べましょう。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「カルシウム」
ベータカロチン
キャベツなどの緑黄色野菜に豊富なベータカロチン。体内でビタミンAに変化してさまざまなはたらきを発揮する栄養です。ベータカロチンは緑色が濃い葉の部分に多く含まれています。
目の健康、粘膜を守る(=風邪などの感染症の予防)、抗酸化作用、免疫力を高める、肌や髪や爪を美しく、といったはたらきがあります。
カリウム
カリウムもキャベツに多い栄養素のひとつ。
体の余分なナトリウムを排出して血圧を下げるはたらきや、筋肉の動きをスムーズにして心肺機能を正常に維持したり疲れにくくしてくれます。
葉酸
キャベツには葉酸も豊富。妊娠初期の妊婦さんやこれから授かりたい女性にとって不可欠な栄養ですね。
血液をつくるサポートをする、細胞の再生を助けたり、DNA(遺伝子)核酸を作るサポートをする、妊娠中のお腹の赤ちゃんを正常に成長させるといったはたらきがある栄養素です。
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キャベツに多い7つの栄養とそのはたらきを紹介しました。
次はキャベツの6つの効果効能をお伝えします。
キャベツの6つの効果効能とは?
キャベツに期待できるおもな効果は、がん予防、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防・改善、骨を丈夫にする、便秘の解消、美肌、疲労回復の6つ。
ではそれぞれの効果について説明していきます。
がんの予防・抗がん作用
デザイナーフーズピラミッド、という言葉をご存じですか?
日本より早くがん患者の増加が深刻化したアメリカ。1990年にアメリカ国立がん研究所で「デザイナーフーズ・プログラム」というプロジェクトを開始し、がん予防に効果のある食べ物を研究しました。
その結果、がん予防のはたらきが期待できる「デザイナーフーズ」をその効果の高い順にピラミッド状に並べたものが「デザイナーフーズピラミッド」です。
キャベツはデザイナーフーズピラミッドでは2位。1位はニンニクです。にんにくよりも毎食手軽に摂れる野菜として、キャベツの存在が広く期待されています。
がんを予防する2つの成分
キャベツには「イソチオシアネート」というフィトケミカルや「ペルオキシダーゼ」という酵素が豊富に含まれています。
イソチオシアネート:
体の中に入ると大量の抗酸化物質を作って全身にある活性酸素を無毒化してくれる。
ペルオキシダーゼ:
発がん性の強い物質のはたらきをおさえこむチカラが強い。
この2つの成分ががん予防にしっかりはたらいてくれると考えられています。
がん予防の効果を得るには食べ方は「生」がおすすめ。
どちらも熱に弱いので、加熱するより生で食べるほうが断然効果的です。
食前キャベツのように生でそのまま食べたり、ジューサーでジュースにして取り入れましょう。
イソチオシアネートについてはこちらでくわしく紹介しています。
イソチオシアネートの12の効果がすごい!食べ方のポイントも紹介!
※厳密にはイソチオシアネートは含まれておらず、調理の過程などでイソチオシアネートに変化する成分が含まれています。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防・改善
キャベツに多いビタミンU。その別名「キャベジン」のほうが有名ですね。胃腸薬の名前に使われている通り、ビタミンUは胃や腸を健康にたもつはたらきの高い栄養素です。
胃酸の分泌をおさえる、胃腸の粘膜を健康にたもつ、胃の粘膜を守る・修復する、といったはたらきがあるので、胃潰瘍や十二指腸潰瘍への効果が期待されています。
食べ方は「生」。
ビタミンUも熱に弱い栄養素。加熱するより生で食べるほうが効果的です。食前キャベツのように生でそのまま食べたり、キャベツや果物をジューサーでジュースにして取り入れましょう。
骨を丈夫に
キャベツにはカルシウムも多いですが、カルシウムを骨に吸着させるビタミンKも豊富。
この2つの相乗効果でカルシウムが体に吸収されやすくなって、強い骨や歯をしっかりと作ってくれるのです。
幼児から成長期のお子さんにとっても、骨粗しょう症の気になる年代の方にとっても、うれしいはたらきではないでしょうか。
食べ方は生でも加熱でもOK。
カルシウムもビタミンKも加熱の影響は受けないので、焼く、炒める、煮るなどいろんな調理法でキャベツを取り入れられます。
ビタミンKの多い食べ物は納豆以外にもいろいろ。くわしくはこちらを参考になさってください。
ビタミンKが多い食べ物ランキング【1食分あたり】摂取量や効果も!
便秘の解消
キャベツには食物繊維も豊富で、便秘の解消もサポートしてくれます。
キャベツ100グラムあたりに、水溶性食物繊維は0.4グラム、不溶性食物繊維は1.4グラム。食物繊維は豊富に含まれています。
水溶性食物繊維は腸内細菌のエサとなって善玉菌を増やしたり、腸のなかで固くなった便をやわらかくする栄養。便が固い、便がコロコロ、りきまないと出ない、という人にはぜひ摂ってほしい栄養です。
不溶性食物繊維は腸のなかで大きく膨らんで刺激してお通じを促進します。水分を吸収して何倍にも何十倍にもふくらむので、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発に。便のカサが増えるので、便の量や便の回数が少ないタイプの便秘の人はぜひ摂りたい栄養素です。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「便秘と食事」、「食物繊維の必要性と健康」
またビタミンU(別名:キャベジン)が胃の消化を良くしてくれるおかげで、便が作られやすくなるというメリットも。
キャベツに豊富な食物繊維とビタミンUの2つの栄養が、便秘の解消をしっかりサポートしてくれます。
食べ方は生でも加熱でもOK。
食物繊維は加熱による影響を受けません。ただビタミンUは熱に弱いので、食前キャベツのように生でそのまま食べたり、ジューサーでジュースにして取り入れましょう。
「キャベツを生で食べ続けるのはなかなか……」という場合はスープにして汁ごと召し上がるのがポイント。生でもスープにしても、キャベツは食事の最初に食べるのが効果的です。
★あわせて読みたい → 水溶性食物繊維の多い食べ物ランキング75【1食分】で比較!
★あわせて読みたい → 不溶性食物繊維のスゴい3つの効果と多い食べ物とは?
次はキャベツの美肌効果についてお伝えします。
美肌
キャベツに多いビタミンCとボロンが美しい肌をつくるはたらきを発揮します。
ビタミンCは、メラニンの生成をおさえてシミ・そばかすを防ぐ、コラーゲンの生成をうながしてシワや乾燥から守る、抗酸化作用で活性酸素を取り除く、といったはたらきがある栄養素。美肌にもアンチエイジングにもおすすめです。
ボロンとはホウ素のひとつである栄養。キャベツのほか、レタス、ブロッコリー、りんご、大豆、海藻に多く含まれています。
ボロンはエストロゲン(女性ホルモン)の分泌を高めることで、ハリとツヤとうるおいのある美しい肌をつくってくれます。
食べ方は「生」。
ボロンは熱に弱い栄養。食前キャベツのように生でそのまま食べたり、ジューサーでジュースにして取り入れましょう。
キャベツのビタミンCは外側の葉や芯のまわりに豊富。
千切りにしたり長時間水にさらすと流れ出てしまうので、細かく切りすぎないようにしたり、水にさらす時は短時間にしましょう。
疲労回復
キャベツには果物にまさるほどビタミンCが豊富。このビタミンCは疲労回復も促進してくれる栄養です。
私たちは活動すると体内に活性酸素が発生します。あらゆる病気や老化の元ですね。
ビタミンCが足りないと活性酸素が蓄積されて疲労へとつながりますが、ビタミンCが体内に十分あれば疲れにくく、疲労回復も促進されます。
またビタミンCには、疲労回復に効果的な栄養を吸収しやすくするはたらきがあります。疲労回復を陰で支える栄養でもあるのです。
食べ方は生でも加熱でもOK。
ビタミンCは実は熱の影響をほとんど受けないという研究も。ただ水に溶け出てしまうので、水にさらすなら2分程度にする、茹でるより蒸す、煮るなら煮汁もいただく、という工夫がおすすめです。
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がん予防、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防・改善、骨を丈夫に、便秘の解消、美肌、疲労回復、とキャベツの代表的な健康効果を6つ紹介しました。
最後にキャベツの効果的な食べ方をお伝えします。
キャベツの効果的な食べ方とは?
キャベツには栄養も効果効能も満載!でもその食べ方によってはキャベツのはたらきを下げてしまうことも。
キャベツの食べ方は「生」が一番おすすめ。
がん予防のはたらきがあるイソチオシアネートやペルオキシダーゼという酵素も、ビタミンU(別名:キャベジン)も、熱に弱い成分。キャベツは生で食べるのが最適です。
ちょっと効果的な食べ方をまとめてみると……
- がんの予防・抗がん作用
→ 生がおすすめ - 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防・改善
→ 生がおすすめ - 骨を丈夫にする
→ 生でも加熱でもOK - 便秘の解消
→ 生でも加熱でもOK - 美肌
→ 生がおすすめ - 疲労回復
→ 生でも加熱でもOK
生であれ加熱調理であれ、キャベツはなるべく食事の最初に食べることがおすすめです。
生ではたくさん食べられないなら……
いくら「キャベツは生がいい!」といっても、毎食、生のキャベツを食べるのは大変かもしれません。
生のキャベツを少ししか食べないよりは、加熱したキャベツをたっぷり食べられるほうが栄養も豊富です。無理して生のキャベツを頑張らずに、加熱調理したキャベツも取り入れましょう。
脂溶性ビタミンは油炒めで吸収率アップ
キャベツに含まれるベータカロチンやビタミンKは脂溶性のビタミン。油と一緒に摂ると吸収率がアップしますので、油炒めが効果的です。
フィトケミカルは煮ることで吸収率アップ
野菜や果物に含まれるフィトケミカル。その数は1万種類ともいわれ「第7の栄養素」として注目されています。
リコピン、アントシアニン、イソフラボン、ジンゲロールなど聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
抗酸化作用、免疫力を高める、アレルギーの緩和、アルツハイマーの予防などさまざまな効果が期待されるフィトケミカル。生では吸収が難しい反面、水に溶け出る性質があります。
キャベツや緑黄色野菜をスープにして汁ごと食べるのがフィトケミカルをもっとも効率的に摂る方法です。
ビタミンCは加熱よりは水に溶け出ないように
ビタミンCは熱に弱いと言われていましたが、家庭での加熱調理による影響をあまり受けないという研究もあります。
何十時間も煮込む料理は別として、家庭でふだんおこなう料理では加熱でビタミンCが壊れる心配はほとんどないとか。
加熱よりはビタミンCが水に溶け出てしまうことのほうがデメリット。水にさらす、茹でる、といった過程でビタミンCが溶け出てしまいます。
- 水にさらすなら2分程度に
- 茹でるよりは蒸す
- 煮たら煮汁ごといただく
といったことに気をつけましょう。
キャベツの栄養と効果効能:まとめ
キャベツは栄養も効果効能も豊富。がん予防、胃潰瘍の予防、十二指腸の予防、骨を丈夫にする、便秘の解消、疲労回復、美肌と、スゴ腕の野菜です。
生で食べてもよし。加熱してたっぷり食べてもよし。さまざまな栄養が凝縮したキャベツを毎日の食生活に取り入れましょう。