トマトにはどんな栄養が豊富に含まれているのでしょうか?
「トマトが赤くなると医者が青くなる」とも言われる健康野菜のトマト。
抗酸化力の高いリコピン以外にもさまざまな栄養がぎっしり詰まっています。
そこで、
- どんな栄養素が多い?
- 栄養をしっかり吸収できる食べ方は?
についてわかりやすくお伝えします。
【関連記事】トマトの栄養がすごい!トマト1個の栄養価と6つの効果効能とは?
【関連記事】ミニトマトの栄養がすごい!10個あたりの栄養価と9つの効果とは?
トマトに多い9つの栄養とその効果
トマトに多い9つの栄養とその効果効能について紹介します。
リコピン
リコピンはフィトケミカルの一種。フィトケミカルは野菜や果物に多い成分で、抗酸化作用の高さから「第7の栄養素」として注目されています。
ストレス、運動不足、食生活(農薬や食品添加物)、薬、たばこ、紫外線などが原因となって、あらゆる病気や老化のもとである活性酸素(酸素が変な形になったもの)が体内に発生します。
そんな活性酸素を取り除くはたらきが「抗酸化作用」。トマトに多いリコピンは抗酸化作用が非常に高く、β-カロテンの約2倍、ビタミンEの約100倍とも言われています。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「抗酸化物質」、「活性酸素と酸化ストレス」
リコピンが豊富なのはトマト加工品
リコピンが断然豊富なのは「生食用のトマト」ではなく「トマト加工品」。
その理由は、
- リコピンの多い品種のトマトを使用しているから
- 完熟を待ってから収穫して加工するから
野菜売り場にあるトマトではなく、トマト水煮缶、トマトジュース、トマトケチャップを活用しましょう。
トマトのリコピンを逃がさない食べ方は?
トマトのリコピンは熱に強く、加熱によって吸収率がグンとアップします。
また油に溶けやすいので油と一緒に調理することで吸収率はさらにアップ。特にオリーブオイルとの相性がいいですね。
そして食べる時間は朝。昼や夜と比べると朝にリコピンを摂るほうが吸収が格段に良いようです。
- トマト缶やトマトジュースなどのトマト加工品を、
- 油を使って、
- 加熱調理したものを、
- 朝に食べる
これがもっとも吸収率の高いリコピンの摂り方。
ミネストローネを作り置きしたり、トマトジュースと野菜やベーコンで作るトマトリゾット、トマトソースをたまご焼きにかけたりピザトーストにしてはいかがでしょうか。
リコピンの効果や摂り方については別の記事でまとめていますので、あわせてご覧ください。
→ リコピンの効果がスゴい!最も効果的に摂る方法とタイミングとは?
クエン酸
トマトの酸味はクエン酸。かんきつ類やお酢や梅干にも多い栄養成分ですね。疲労物質である乳酸を分解してくれるので疲労回復のはたらきが非常に高い栄養素です。
疲れがたまっている時、運動した後、夏バテ気味の時などに摂るように心がけましょう。
食物繊維
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類がありますが、トマトには水溶性食物繊維であるペクチンが多く含まれています。
水溶性食物繊維は腸のなかで善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やしたり善玉菌のはたらきを高めることで、腸内環境を整えてくれます。
このほか、血糖値の上昇を防ぐ、コレステロールや中性脂肪を下げる、便秘解消、ダイエットなどのはたらきも期待されている栄養です。
水溶性食物繊維の効果についてはこちらでくわしく紹介しています。
水溶性食物繊維のスゴい6つの効果と多い食べ物とは?
β-カロテン(プロビタミンA)
β-カロテンはビタミンAに変身する前のかたちである栄養。体内でスタンバイして必要な時にビタミンAに変身してはたらくので摂りすぎの心配がありません。
目の健康を保つ、粘膜を正常にたもって風邪など感染症を防ぐ、抗酸化作用、美肌、美髪、子どもの成長を促進する、といったはたらきがあります。
ビタミンC
トマトにはビタミンCも豊富。体内で作ることのできない栄養素ですし、2~3時間で体から排出されてしまうのでこまめな摂取が必要です。
コラーゲンを作って強い骨や血管や皮膚をつくる、抗酸化作用、免疫力を高める、ストレスから守る、美肌・美白、などいろいろなはたらきがあります。
ビタミンCを逃がさない効果的な食べ方は?
ビタミンCは熱に弱いと言われていましたが、加熱による影響をあまり受けないという研究もあります。家庭でふだんおこなう料理では加熱でビタミンCが壊れる心配はほとんどないんだとか。
加熱よりはビタミンCが水に溶け出てしまうことのほうがデメリット。
水にさらす、茹でる、といった過程でビタミンCが溶け出てしまいます。
- 水で洗う時はサラッと短時間で
- トマト煮込みは煮汁もしっかり食べる
- トマトスープもスープを残さず食べる
といったことに気をつけましょう。
※参考サイト
国立健康・栄養研究所:ビタミンC解説
厚生労働省 eJIM:ビタミンC
e-ヘルスネット「抗酸化ビタミン」
ビタミンE
ビタミンEは油に溶ける脂溶性の栄養素。血管の掃除役でもあります。
抗酸化作用、血行を改善、貧血の予防、悪玉コレステロールをおさえる美肌、美髪、記憶力の向上、といったはたらきがある栄養です。
ビタミンAやビタミンCとの相乗効果が高く、A、C、Eの3つのビタミンがそろうと抗酸化作用がさらに高まります。すべてそろっているトマトは最強ですね。
ビタミンEを逃がさない食べ方は?
ビタミンEは脂溶性の栄養。油と一緒に食べると吸収率がアップします。
オリーブオイルで野菜をいためてトマトで煮込む、サラダとしてオイルの入ったドレッシングで食べる、といった工夫がおすすめです。
カリウム
カリウムのはたらきは、体の中の余分な水分と塩分を出すことと、筋肉をスムーズに動かすこと。
高血圧の予防・改善、筋肉をスムーズに動かす、利尿作用、むくみの解消などの効果が期待できる栄養です。
ケルセチン
ケルセチンはリコピンと同じようにフィトケミカルの一種。ポリフェノールに分類されます。特にたまねぎの皮に多いですが、トマトの皮にも豊富に含まれている成分です。
丈夫な血管をつくる、血液サラサラ、抗酸化作用、コレステロールを下げるなどのはたらきがあります。
ケルセチンを逃がさない効果的な食べ方は?
ケルセチンは油と一緒に摂ると吸収率はアップ。油で炒める、煮る、というのが効果的ですね。
逆に水には溶け出てしまうので、水にさらすのはNG。スープなら水に溶け出たケルセチンも汁ごといただくことができるのでおすすめです。
グルタミン酸
グルタミン酸といえば「うまみ成分」であるアミノ酸の一種。料理をおいしくするだけでなく体にもとてもいい成分なのです。
昆布やわかめに多いグルタミン酸ですが、野菜ではトマトに多く含まれています。
内臓脂肪をたまりにくくする(ダイエット効果)、体内のアンモニアを無毒化して出す、利尿作用、脳の活性化、肌の保湿、などのはたらきがあります。
*-*-*-*-*
トマトに多い9つの栄養についてお伝えしました。
栄養が豊富に含まれるのは生のトマトだけではありません。
生のトマトよりも栄養が凝縮しているものがあるのです。それは……
栄養が凝縮!トマトの水煮缶
生のトマトよりも栄養が凝縮しているもの。それは……
トマトの水煮缶なんです!
トマトも完熟であればあるほど栄養価は高くなります。
でもスーパーに並んでいるトマト、真っ赤に熟していますか?
完熟前に収穫する生のトマト
スーパーに並ぶトマトが真っ赤に熟していない理由はご存じでしょう。輸送中にトマトがいたまないように、完熟する前の少しかたいトマトを収穫しているから。
傷がないかわりに栄養価も少ない。リコピンの含有量などは雲泥の差があるのです。
栄養価の高い品種で作るトマト加工品
また、生食用に酸味をおさえた品種改良をしたトマトと、水煮缶やケチャップなどの加工用の真っ赤なトマトとでは、そもそもの栄養価が違います。
- 完熟してから収穫して加工する
- リコピンなどの栄養価の高い品種のトマトである
ということで、生食用のトマトと比べると、水煮缶のトマトには約3倍のリコピンが含まれていると言われているのです。
トマトに多い9つの栄養:まとめ
トマトに多い9つの栄養とその効果効能、そして水煮缶などの加工品の栄養価についてお伝えしました
トマトの栄養:リコピン、クエン酸、食物繊維、β-カロテン(プロビタミンA)、ビタミンC、ビタミンE、カリウム、ケルセチン、グルタミン酸
効果的な食べ方:加熱する、油と一緒に摂る(油で炒める、ドレッシングをかけるなど)
トマト加工品の活用:栄養価の高い品種を完熟してから収穫して加工。栄養価が凝縮。
生のトマトもいいですが、手ごろで保存もきいて栄養価も高いトマト加工品も活用して、トマトの栄養をしっかりと取り入れましょう!