玄米は全体食。白米は土に植えても芽が出ませんが、生きた玄米は芽が出て穂を実らせます。
生命のエネルギーに満ちた玄米には栄養もぎっしり。でも具体的にどんな栄養が多いのか、ご存じですか?
これからお伝えする内容を読むと、
- 玄米にはどの栄養が多い?
- 玄米のごはんをお茶碗1杯食べると1日の栄養の何%が摂れる?
- どんな健康効果がある?
- どんな人こそ食べるといい?
といったことが手に取るようにわかります。栄養も効果もぎっしりの玄米で健康な毎日を過ごしましょう。
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玄米のごはんお茶碗1杯分の栄養価
玄米に多い栄養は、モリブデン、マンガン、ビタミンB1、B6、E、ナイアシン、パントテン酸、銅、マグネシウム、亜鉛、不溶性食物繊維など。
白米にはほとんど含まれていないビタミンB群、マグネシウム、食物繊維などが豊富に含まれています。
玄米の効果として、疲労回復、便秘の解消、ダイエット、糖尿病や高血圧や心筋梗塞の予防、集中力や記憶力を高める、口内炎の予防、美肌効果などが期待できます。
では、
- 玄米のごはんをお茶碗1杯食べると、
1日分の栄養の何%が摂れる? - どの栄養がどのくらい含まれている?
- 玄米に多い栄養には
どんなはたらきがある?
といったかたちでわかりやすくお伝えします。
朝と夜にお茶碗1杯ずつ食べる場合は、これから紹介する栄養の2倍が摂れるということで参考になさってください。
玄米だけを炊いたお茶碗1杯分のごはん(160g)の栄養価です。
ちなみに玄米1合(180cc:150g)と水300ccで炊くと、できあがりのごはんは330gほど。お茶碗2杯分です。
玄米に多いビタミン
玄米のごはんをお茶碗1杯食べると女性の1日分のビタミンの何%が摂れるのか、グラフにしてみました。
※参考サイト:
文部科学省「食品成分データベース」
玄米に多く含まれているビタミンは次の5つ。女性にとって必要な量の何%を摂れるのかというと……
ナイアシン | 48% |
ビタミンB6 | 31% |
ビタミンB1 | 23% |
パントテン酸 | 21% |
ビタミンE | 13% |
玄米に豊富なのはビタミンB群。1~4位まですべてビタミンB群です。疲労回復やダイエットだけでなく、勉強や仕事の集中力を高めるはたらきのある栄養です。
次はどんなミネラルが多いのかお伝えします。
玄米に多いミネラル
玄米のごはんをお茶碗1杯食べると、女性の1日分のミネラルの何%が摂れるでしょうか?
玄米のごはんに豊富なミネラルは次の7つ。女性に必要なミネラルの何%を摂れるのかというと……
モリブデン | 272% |
マンガン | 48% |
銅 | 27% |
マグネシウム | 27% |
リン | 26% |
亜鉛 | 16% |
鉄分 | 15% |
玄米はミネラルが豊富で、特に私たちに不足しているマグネシウムがたっぷり!骨を強くして、生活習慣病の予防にも効果を発揮します。
では、玄米の食物繊維の量をお伝えしてから、玄米の健康効果を紹介します。
玄米に多い食物繊維
玄米といえば食物繊維が多いイメージですが、実際はどうなのでしょうか?
不溶性食物繊維 | 16% |
水溶性食物繊維 | 5% |
玄米には不溶性食物繊維が豊富。野菜・きのこ・未精製の穀物など繊維質の食べ物に多く、便秘解消や有害物質のデトックスのはたらきがあります。
ただ、水溶性食物繊維は少なめ。生活習慣病の予防に劇的な効果を発揮するものの、1日に必要な量の半分程度しか摂れていません。
ひじき、寒天、とろろ昆布、里芋、豆腐、納豆、枝豆、もち麦など、水溶性食物繊維の多い食べ物を意識して食べましょう。
では、
私たちに不足しがちな栄養のなかで、
玄米に多い栄養は?
その栄養をどのくらい補える?
どんな健康効果が期待できる?
玄米で不足分を補える栄養とその効果
玄米に多い栄養はモリブデン、マンガン、ビタミンB1、B6、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンE、銅など。ですが……
モリブデン、マンガン:
一般的な食生活ではまず不足しません。
ナイアシン:
普段から必要な量の2倍以上も摂れています。
玄米がなぜ体にいいのか、というと、
私たちに足りない栄養を補えるから。
そこで、玄米で私たちの不足分をしっかり補える栄養は、ビタミンB6、マグネシウム、ビタミンB1、パントテン酸、亜鉛、不溶性食物繊維。
ではこれらの栄養素は……
- 私たちは普段どのくらい摂れている?
- 玄米でどのくらい補える?
- どんなはたらきがある?
についてお伝えします。
ビタミンB6
私たちに不足していて、玄米にたっぷり含まれる栄養。1つめはビタミンB6。脂肪燃焼、肌荒れや口内炎を防ぐなどのはたらきがあります。
玄米のビタミンB6の量
1日に必要なビタミンB6は、
女性が1.1mg、男性が1.4mg。
玄米のごはんお茶碗1杯に0.34mg。
さて私たちは、普段からビタミンB6をどのくらい摂れていて、玄米でどう増えるのでしょうか?
女性が摂れている量は、99%
玄米のごはんには、31%
合計で、130%
男性が摂れている量は、90%
玄米のごはんには、24%
合計で、114%
ビタミンB6はやや不足していますが玄米なら十分に補えます。ただし次のような人は多めに摂りましょう。
- プロテインをよく飲んでいる人
- 妊娠している人
- ピルを飲んでいる人
- 抗生物質を長い期間飲んでいる人
肉や魚などの動物性食品に多いのがビタミンB6。レバー、豚肉、かつお、まぐろ、鮭、ぶり、さば缶、いか、バナナ、いも類などに豊富です。
ビタミンB6の効果
- エネルギーを作る
- 筋肉・肌・髪・爪などを作る
- 脂肪肝を予防する
- 肌荒れや口内炎から守る
- 月経前の体の悩みやつわりをやわらげる
- 気持ちを安定させる
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「栄養等摂取量」、「ビタミンB6解説」
マグネシウム
玄米で不足分が補える2つめの栄養はマグネシウム。心臓のはたらきを守ったり、糖尿病を防ぐはたらきも期待されているミネラルです。
玄米のマグネシウム
1日に必要なマグネシウムは
女性が290mg、男性が370mg。
玄米のごはんには78mg。
玄米を食べると……
女性が摂れている量は、81%
玄米のごはんには、27%
合計で、108%
男性が摂れている量は、71%
玄米のごはんには、21%
合計で、92%
私たちにかなり不足しているマグネシウム。生活習慣病をはじめ、不整脈、疲労、不眠、骨粗しょう症、尿路結石、アトピーなどのリスクが高まるとも言われています。
玄米のほか、豆腐、厚揚げ、豆乳、枝豆、そば、アーモンド、落花生などにもマグネシウムは豊富に含まれています。
マグネシウムの効果
おもに次のようなはたらきがあります。
- 丈夫な骨をつくる
- 不整脈・狭心症・心筋梗塞を防ぐ
- 筋肉がつったりけいれんするのを防ぐ
- 糖尿病やメタボなど生活習慣病を予防する
- 高血圧を予防する
- 気持ちをおだやかにする
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「マグネシウム」、国立健康・栄養研究所「マグネシウム解説」
ビタミンB1
3つめの栄養はビタミンB1。集中力を持続させたり疲労を回復するはたらきがあります。
玄米のビタミンB1
1日に必要なビタミンB1は、
女性が1.1mg、男性が1.4mg。
玄米ごはんには0.26mg。
玄米を食べると……
女性が摂れている量は、79%
玄米には、23%
合計で、102%
男性が摂れている量は、74%
玄米には、18%
合計で、92%
ビタミンB1もかなりの不足。お菓子が好き、お酒が好き、よく運動する、白米・パン・麺類が好き、といった人はさらに不足がちになります。
ビタミンB1の効果
ビタミンB1にはおもに次の5つのはたらきがあります。
- 疲労を回復する
- 脳の中枢神経や手足の末梢神経の機能の正常化
- 気持ちを安定させる
- 筋肉や頭脳の持久力を高める
- 集中力を維持する
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「ビタミンB1解説」
パントテン酸
玄米が不足分を補ってくれる4つめの栄養はパントテン酸。ビタミンB群のひとつで、免疫力を高めたりストレスから守る効果があります。
玄米のパントテン酸
1日に必要なパントテン酸は
女性も男性も5.0mg。
玄米には1mg。
玄米を食べると……
女性が摂れている量は、106%
玄米には、21%
合計で、127%
男性が摂れている量は、121%
玄米には、21%
合計で、142%
パントテン酸はいろんな食べ物に含まれていますが、疲れやすい、食欲がない、肌荒れや髪のパサつきが、という人はパントテン酸不足ではないでしょうか。
パントテン酸の多い食べ物には玄米のほか、レバー、納豆、エリンギ、えのきたけ、鮭、ぶり、豚肉、里芋、さつまいも、ゆでたまごなどがあります。
パントテン酸の効果
- エネルギーを作る
- 免疫力を高める
- ストレスへの抵抗力を高める
- 肌や髪を美しく整える
- 生活習慣病の予防
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「パントテン酸解説」
亜鉛
5つめの栄養は亜鉛。味覚だけでなく感染症から守るはたらきも知られてきました。
玄米の亜鉛
1日に必要な亜鉛は
女性が8mg、男性が11mg。
玄米には1.3mg。
玄米を食べると……
女性が摂れている亜鉛は、96%
玄米には、16%
合計で、112%
男性が摂れている亜鉛は、84%
玄米には、12%
合計で、96%
亜鉛の効果
- 味覚を正常に保つ
- 感染症から守る
- 生活習慣病の予防
- 糖尿病の予防
- 有害物質の排出
- 弾力のある白い肌へ
- 抜け毛を防ぐ
- 生殖機能を高める
※参考サイト:厚生労働省 eJIM「亜鉛」、国立健康・栄養研究所「亜鉛解説」
男性はまだまだ不足。子供を授かりたい、感染症を予防したい、というタイミングには意識して摂りましょう。
不溶性食物繊維
玄米で不足分が補える6つめの栄養は不溶性食物繊維。野菜・きのこ・豆類に多く、便秘解消やデトックス効果を発揮します。
玄米の不溶性食物繊維
1日に必要な量は
女性が12g、男性が14g。
玄米には1.9g。
玄米を食べると……
女性が摂れている量は、93%
玄米には、16%
合計で、109%
男性が摂れている量は、84%
玄米には、14%
合計で、98%
玄米のごはんお茶碗1杯で不足分をまるまる補うことができますね。
※食物繊維全体で1日に必要な量は女性18g、男性21g。「水溶性:不溶性=1:2」が推奨されているので、上記のとおり女性12g、男性14gとしています。
不溶性食物繊維の効果
- 便秘を解消(便のカサを増やして腸の動きを活発にする)
- 有害物質を排出(重金属、添加物、ダイオキシンなど)
- ダイエット(満腹感が得られるので食べ過ぎが防げる)
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維」、農林水産省「ビタミンと食物繊維」
不溶性食物繊維は、便の量が少ない、便の回数が少ない、といったタイプの便秘の解消に効果的。
腸のなかで水分を吸って数十倍にもふくらんで便のカサを増えるので、腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になるのです。
なお便秘のタイプによっては、不溶性食物繊維が逆効果となって、水溶性食物繊維で解消するケースもあります。くわしくはこちら↓
*-*-*-*-*
玄米で不足分を補える栄養とそのはたらきをお伝えしました。最後にこれらをまとめて、
玄米を食べると
どんな効果効能が得られる?
どんな人こそ食べると効果的?
についてお伝えします。
玄米の6つの効果効能
玄米にはビタミンB群、いろんなミネラル、不溶性食物繊維などがたっぷり。
これらの栄養のはたらきから、玄米に期待される効果をまとめてみました。
- 疲労回復
糖質・脂質・たんぱく質を代謝してエネルギーを作る - 便秘の解消
腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にしてお通じを促進する - ダイエット
脂質の代謝を促進して脂肪を燃焼し、脂肪肝も予防 - 糖尿病、メタボ、高血圧、心筋梗塞などの予防
糖質の代謝を促進し、善玉コレステロールを増やしてサラサラにし、動脈をゆるめて血圧を下げ、心臓のはたらきも守る - 集中力や記憶力を高める
脳のはたらきや感情を安定させて仕事や勉強の能率を高める - 肌荒れ、髪のパサつき、口内炎から守る
肌や粘膜を健康に丈夫にたもつ
受験生、仕事の成果を高めたい、40歳を過ぎて生活習慣病に気をつけたい、といった方にぜひ食べてもらいたいのが玄米なのです。
玄米に多い栄養:まとめ
玄米に多い栄養や期待される効果についてお伝えしました。
玄米で不足を補える栄養:ビタミンB1、B6、パントテン酸、ビタミンE、マグネシウム、亜鉛、不溶性食物繊維
玄米の効果:疲労回復、便秘解消、ダイエット、糖尿病・メタボ・高血圧・心筋梗塞の予防、集中力や記憶力を高める、肌荒れ・髪のパサつき・口内炎から守る
玄米は白米にはない栄養がぎっしり。白米ばかりでは生活習慣病のリスクも高まります。
ふだんの食生活に玄米を取り入れてみてはいかがでしょうか。