ひじきは栄養が豊富な海藻。カルシウムや食物繊維などの栄養がたっぷり含まれています。
「あれ? 鉄分も多いんじゃないの?」
なんて思われたかもしれません。今のひじき、鉄分はどうなのでしょうか。
それでは、
- ひじきに多い栄養素とそのはたらきとは?
- ひじきの7つの効果効能
- 効果を高めるおすすめの食べ方
についてわかりやすくお伝えします。
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ひじきに多い6つの栄養素
ひじきにはどんな栄養素が多いのでしょうか?
ひじきに多い栄養素
ひじきといえばカルシウム。そして食物繊維。
食物繊維には「水溶性と不溶性」の2種類があり、私たちに特に不足しているのが水溶性食物繊維。
その水溶性食物繊維が豊富に含まれているのがひじきなんです。
さらに、マグネシウム、カリウム、ヨウ素、ビタミンAをはじめいろんな栄養が多く含まれています。
ひじきの鉄分
なお、鉄分は国産のひじきに関しては、2015年の日本食品標準成分表の改訂で「今までの1/10の量に大きく減少」しました。
干しひじきを作る過程で使っていた「鉄鍋」を「ステンレス鍋」に変えたことなどが大きく影響しているとか。
韓国産のひじきもステンレス鍋が増えてきているものの、鉄分は今までと同じように豊富。鉄分が減った原因が鍋なのかははっきりしていないようです。
では次にひじきの7つの健康効果についてお伝えします。
ひじきの7つの効果効能
ひじきにはおもに次の7つの効果効能があります。
- コレステロールを下げる
- 中性脂肪を減らす
- 血糖値の上昇をおさえる
- 便秘の解消・腸内環境を整える
- 骨や歯を丈夫に(骨粗しょう症の予防)
- ダイエット
- 美肌・美髪
では順番にみていきましょう。
コレステロールを下げる
ひじきにはコレステロールを下げるはたらきがあります。
「ひじきの半分は食物繊維でできている」と言われるほど豊富。なかでも善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維が多いので、善玉菌が増える、善玉菌のはたらきが高まる、といった効果があります。
そんな食物繊維は消化も吸収もされずに便となります。その時に水溶性食物繊維は、コレステロールをからめとってそのまま一緒に便となって体から出ていくのです。
コレステロールだけでなく、コレステロールを使って作った胆汁酸も水溶性食物繊維がからめとって、便と一緒に体から出ていく。こうして体のなかのコレステロールが減っていくのです。
水溶性食物繊維の効果についてくわしくはこちら。
水溶性食物繊維のすごい6つの効果と多い食べ物とは?
またひじきに含まれる「クロム」にもコレステロールを下げるはたらきがあります。
中性脂肪を減らす
食べ物に含まれている脂質はエネルギー源となりますが、余った脂質は中性脂肪となって体の中にたまります。早い話が皮下脂肪ですね。
ひじきには中性脂肪を減らすはたらきがあります。これはタンニンと水溶性食物繊維のおかげ。
タンニンがより多くの脂肪を燃焼させる
タンニンはフィトケミカルの中のポリフェノールの一種。緑茶にも多く含まれるカテキンは、フィトケミカルの中のポリフェノールの中のタンニンの中のカテキン、ということです。
タンニンはひじきにも含まれていて、血行を良くして代謝を高めてくれます。代謝が高まれば必要なエネルギーも増えてより多くの脂質が燃焼する。その結果、中性脂肪がたまりにくくなります。
さらに中性脂肪やコレステロールを分解する酵素のはたらきをサポートするので、脂肪の分解が促進されて蓄積しにくくなるのです。
水溶性食物繊維が中性脂肪をからめて排出
ひじきにとても多い水溶性食物繊維は、腸の中で中性脂肪のもとである脂肪をからめとって、一緒に便となって体から排出されます。
脂肪は消化吸収されるのに時間がかかります。その間に水溶性食物繊維が腸にやってくると、脂肪は便として排出されます。中性脂肪として体に蓄積されずに済むのです。
タンニンと水溶性食物繊維のはたらきで中性脂肪がたまりにくくなるのですね。
血糖値の上昇をおさえる
ひじきには血糖値の上昇をおさえるはたらきもあります。これもひじきに多い水溶性食物繊維のおかげ。
水溶性食物繊維は体内で消化吸収されることなく、腸の中をゆっくりと進んでいきます。一緒に食べたものもゆっくりと進むので、消化もゆっくりになって血糖値の急上昇をおさえることができるのです。
また、2015年6月10日放送のNHK「ためしてガッテン」では、血糖値を下げる腸内細菌がいて、そのエサとなるのが水溶性食物繊維である、という話題が放送されました。
ごはん(お米)などの糖質を食べる前にひじきのような水溶性食物繊維を食べることで、血糖値を下げる腸内細菌が元気になって血糖値の上昇をおさえてくれるようです。
便秘の解消・腸内環境を整える
ひじきには便秘を解消して腸内環境を整えるはたらきも期待できます。
固くなった便を柔らかくする
便秘の原因のひとつには、便の水分が少なくなって固くなり、スルッと排出されなくなっていること。そんな便秘の解消にも、ひじきにたっぷりと含まれている水溶性食物繊維が効果を発揮します。
水溶性食物繊維は文字通り「水に溶ける食物繊維」。腸の中で水に溶けるとゼリー状になります。固くなってしまった便に水分をあたえて柔らかくして、排出されやすくするのです。
善玉菌のエサとなって腸内環境を整える
水溶性食物繊維は善玉菌のエサとなって腸内環境を整えるはたらきがあります。腸内環境を整えることができれば便が滞留することもなく便秘もおのずと解消されるでしょう。
また便がスムーズに排出されれば、腸の中で悪玉菌優勢になることもガスが発生することも少なくなって、腸内環境を整えることにもつながります。好循環ですね。
便の量や回数が少ないために便のカサを増やしたい人は、不溶性食物繊維を摂りましょう。
便が固くていきまないと出ない人は、ひじきなど水溶性食物繊維を摂るようにして、便をやわらかくして便秘を解消しましょう。
骨や歯を丈夫に(骨粗しょう症の予防)
ひじきはカルシウムが豊富なので、骨や歯を強くしてくれます。
骨や歯をつくるカルシウム。日本人に不足しがちな栄養素で、足りなくなると骨からカルシウムが溶け出てしまって骨粗しょう症の原因にもなります。
骨は、作られては溶け出して作られては溶け出して、をくりかえしています。
作られるほうが多ければ骨は強く丈夫になりますが、溶け出すほうが多くなると骨密度が低下して骨がもろくなります。特に、女性は閉経後から、男性は50歳頃から、骨密度が低下していきます。
カルシウムとマグネシウムが豊富なひじき
ひじきに豊富なカルシウムの量は牛乳の約9倍にもなります。
そして骨や歯をつくるためにカルシウムと深い関係にあるのがマグネシウム。このマグネシウムもひじきには多く含まれています。
※牛乳にはマグネシウムがほとんど含まれていません。
骨粗しょう症の予防のためにもカルシウムやマグネシウムといった栄養豊富なひじきを取り入れましょう。
カルシウムの吸収を高める効果的な食べ方
する吸収されにくいカルシウム。吸収率を高めるためには、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンK、タンパク質などの栄養が多い食べ物を一緒に食べること。
マグネシウムはひじきにもたっぷり。このほかマグネシウムの多い食べ物には、豆腐、厚揚げ、大豆、枝豆、玄米、そば、アーモンド、落花生などがあります。
ビタミンDの多い食べ物は、鮭、さば、さんま、いわし、しらす、エリンギ、たまごなど。
ビタミンCの多い食べ物は、ゴールドキウイ、柿、いちご、柑橘類全般、ミニトマト、ピーマン、キャベツ、ブロッコリーなど。
たんぱく質はお肉、お魚、たまご、などですね。
ビタミンKの多い食べ物は、納豆、春菊、小松菜、ブロッコリー、サニーレタス、ほうれんそう、キャベツなど。
ダイエット
ひじきに期待されているダイエット効果。タンニン、水溶性食物繊維、カリウム、カルシウム、ヨウ素などの栄養によるはたらきです。
タンニンが脂肪を分解して代謝を高める
ポリフェノールの一種であるタンニン。中性脂肪やコレステロールを分解する酵素のはたらきをサポートするので、脂肪の分解が促進されて蓄積しにくくします。
また血行をよくして代謝を高めてくれるので、より多くの脂質が燃焼しやすくなります。
水溶性食物繊維が脂肪を排出する
水溶性食物繊維が中性脂肪やコレステロールと一緒になって便として排出されるので、脂肪がつきにくくなります。
またダイエットを成功させるために重要なのが腸内環境。ひじきにたっぷり含まれている水溶性食物繊維は、善玉菌のエサとなって腸内環境を整える効果でダイエットをサポートします。
ミネラルがダイエットをサポート
・カリウム:体の中の余分な塩分(ナトリウム)や水分を排出してむくみを解消するはたらき。
・カルシウム:脂肪の燃焼をサポートしたり脂肪が体に吸収されるのを防ぐはたらき。
・ヨウ素:脂肪を燃焼するはたらきや基礎代謝を高めるはたらき。
このように、ひじきのたくさんの栄養素によるはたらきがダイエット効果をもたらしているのです。
美肌・美髪
ひじきの美肌・美髪効果は、ヨウ素、水溶性食物繊維、カルシウム、タンニン、ビタミンAなどの栄養素からくる効果です。
・ヨウ素:新陳代謝を活性化して、肌や髪に新しい細胞が生まれターンオーバーが正常化するのをサポートしてくれます。
・水溶性食物繊維:腸内環境を整えるはたらき。栄養がしっかりと吸収されて老廃物がしっかりと排出されることで、体の中から肌を美しくします。
・カルシウム:きめが細かく、ハリがあって、みずみずしく、紫外線に強い肌づくりをサポートします。
・タンニン:紫外線から肌を守り、シミ・シワ・そばかすを防いでくれます。また肌の引き締め効果もあって、毛穴を目立たなくする効果もあります。
・ビタミンA:皮膚や粘膜を丈夫にするはたらきで、ハリとツヤのある美肌づくりをサポートします。
このようにひじきのさまざまな栄養が美しい肌や髪を作ってくれるのです。
※参考サイト:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」、e-ヘルスネット「カルシウム」、「マグネシウム」、国立健康・栄養研究所「栄養摂取状況調査」、「ビタミンD解説」、「鉄解説」、農林水産省「ビタミンと食物繊維」、NHK健康チャンネル「食物繊維のスーパーパワー」
ひじきの無機ヒ素は害がある?
ひじきには「無機ヒ素」が比較的多く含まれていますが、2004年にイギリスでは「無機ヒ素が多いためひじきを食べないように」と国民に注意喚起をしました。
「無機ヒ素が一度に、または短い期間に大量に体の中に入った場合は、発熱、下痢、嘔吐、興奮、脱毛などの症状があらわれると報告されています。また、無機ヒ素が長期間にわたって、継続的かつ大量に体の中に入った場合には、皮膚組織の変化やがんの発生などの悪影響があると報告されています。」
出典:農林水産省「食品中のヒ素に関する基礎情報
「大量に体に入った場合は……」、「継続的かつ大量に入った場合には……」。つまり、食べ過ぎないでね、ということです。
ひじきは、日本では昔から親しまれている食材。今までに無機ヒ素による健康被害の報告はないようです。
食べ過ぎなければ大丈夫
無機ヒ素は土の中や海の中に多くに存在しているので、海藻にもお米などの農作物にも含まれています。
海藻のなかではひじきに多かったので、イギリスでの注意喚起につながったのでしょう。
ひじきの煮物などは、まず水を2回3回とかえながら水でもどして、それから茹でて、という料理の過程で無機ヒ素の多くは水に溶け出ていきます。食卓にのぼる時には無機ヒ素の量はかなり少なくなっています。
- ひじきを料理する時は多めの水でもどす
- 水でもどす時は2回、3回と水をかえる
- 30分以上かけてもどす。
- もどした時の水は料理には使わない
料理の時にすこし気をつけて、食べすぎにも気をつけて、栄養も健康効果も満載のひじきを食生活に取り入れたいですね。
それでは最後にひじきの健康効果をしっかり取り入れるための食べ方についてお伝えします。
ひじきの効果的な食べ方
ひじきの栄養と健康効果をしっかり取り入れるための料理のしかたと食べ方をご紹介します。
料理のしかた
油で吸収率アップ
油で料理するとβ-カロテン(プロビタミンA)やカルシウムの吸収率がアップします。
ビタミンDの多い食べ物と一緒に
カルシウムの吸収率がアップします。ビタミンDの多い食べ物は、鮭、さば、さんま、いわし、しらす、エリンギ、たまご(卵黄)など。
食べ方
食事の最初に
まずひじきを食べましょう。ごはんなどの炭水化物より先にひじきを食べると、豊富な水溶性食物繊維が血糖値の上昇をおさえたり中性脂肪が蓄積するのを防いでくれます。
まずはひじき
↓
次に肉や魚などのたんぱく質
↓
最後にごはん
この順番が効果的です。
ひじきの7つの健康効果:まとめ
ひじきの健康効果についてお伝えしました。
コレステロールを下げる、中性脂肪を減らす、血糖値の上昇をおさえる、便秘の解消(腸内環境を整える)、骨粗しょう症の予防、ダイエット、美肌、など7つの効果を紹介しました。
ひじきにたっぷりと含まれる水溶性食物繊維やカルシウムが生活習慣病の予防をはじめあらゆる健康効果をもたらすことがおわかりいただけたと思います。
ビタミンDの多い食べ物と一緒に食べる、食事の最初に食べる、といった工夫がひじきの豊富な栄養を取り入れるための大切なポイントですね。