大根は煮物にサラダに大根おろしにと、いろんな食べ方ができる冬野菜の代表。
そんな大根にはどんな栄養素が多いのか、どんな効果効能があるのか、ご存じですか?
これからお伝えする内容を読むと、
- 大根はどの栄養素が多い?
- 大根サラダ1皿食べると
1日分の栄養素の何%が摂れる? - どんな健康効果がある?
- どんな人こそ食べると効果的?
についてわかりやすくお伝えします。
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大根サラダ1皿の栄養価
大根に多い栄養素はビタミンC、B6、葉酸、ナイアシン、カリウム、モリブデン、水溶性と不溶性の食物繊維など。
この中で私たちが普段不足しがちな栄養は、ビタミンC、B6、水溶性と不溶性の食物繊維ですね。
大根の効果としては、中性脂肪やコレステロールを減らす、高血圧の予防、便秘解消、デトックス、貧血の予防、免疫力を高める、疲労回復などが期待できます。
そんな大根には、どの栄養がどのくらい多いのでしょうか。
ここでは、一度に食べる量を大根のサラダ1皿(100g)と仮定して、
- 大根サラダを1皿食べると、
1日の栄養素の何%が摂れる? - 大根に多い栄養素には、
どんなはたらきがある?
というかたちで、ビタミン、ミネラル、食物繊維についてお伝えします。
大根のサラダ1皿=100g
大根を2センチ幅で輪切りにすると約100g。この100gの栄養素を紹介します。2センチなので100gといってもそれほど多い量ではないですね。
大根に多いビタミン
まずはビタミン。
大根サラダを1皿食べると女性の1日分のビタミンの何%が摂れるのか、グラフにしてみました。
※参考サイト:
文部科学省「食品成分データベース」
大根のサラダ一皿に多く含まれているビタミンは次の4つ。女性にとって1日に必要な量の何%が摂れるのかというと……
葉酸 | 14% |
ビタミンC | 12% |
ビタミンB6 | 4% |
ナイアシン | 3% |
ダントツに多いのは葉酸とビタミンC。次いでB6とナイアシン。ビタミンC以外はどれもビタミンB群です。
次は大根にはどんなミネラルが多いのかをお伝えします。
大根に多いミネラル
大根サラダ1皿(100g)で、女性の1日分のミネラルの何%が摂れるでしょうか?
大根のサラダに多く含まれているミネラルは次の2つ。女性にとって1日に必要な量の何%が摂れるのかというと……
モリブデン | 15% |
カリウム | 12% |
モリブデンは代謝を助ける栄養素。カリウムは余分な塩分を排出したり心臓の動きを整える栄養素です。
では最後に大根の食物繊維をお伝えしてから、大根の健康効果を紹介します。
大根に多い食物繊維
大根のサラダ1皿で1日分の食物繊維の何%が摂れるでしょうか?
水溶性食物繊維 | 8% |
不溶性食物繊維 | 8% |
私たちは食物繊維が2種類とも不足。水溶性は必要な量の55%しか、不溶性は90%しか摂れていません。
大根サラダ1皿ならどちらも8%ほど補うことができます。
ただ水溶性食物繊維はまだまだ不足。多く含まれる食べ物はこちらで紹介しています↓
では、
大根に多い栄養素には
どんな効果があるのでしょうか?
私たちはその栄養素が
ちゃんと摂れているのでしょうか?
大根に多い栄養素の効果効能とは?
女性の1日の必要量に対して、大根のサラダ1皿100gに多い栄養素はこちら。
モリブデン | 15% |
葉酸 | 14% |
ビタミンC | 12% |
カリウム | 12% |
水溶性食物繊維 | 8% |
不溶性食物繊維 | 8% |
ではこの6つの栄養素は……
- 私たちはどのくらい摂れている?
- 大根サラダでどのくらい補える?
- どんなはたらきがある?
についてお伝えします。
モリブデン
大根にもっとも多いモリブデン。血液を作り、疲労を回復し、有害物質をデトックスするなどのはたらきのある栄養素です。
大根のモリブデンの量
1日の必要量は、
女性が20μg、男性が30μg。
大根サラダ1皿に3.0μg。これは、
女性:1日の必要量の15%
男性:1日の必要量の10%
モリブデンは「私たちがふだんどのくらい摂れているか」の調査がありません。ただ一般的な食生活なら不足することもなく、摂りすぎによる悪影響の心配もまずありません。
モリブデンの効果
おもな効果は次の6つ。
- 血液をつくる
(鉄分のはたらきを促進) - 糖質、脂質の代謝を助ける
- 尿酸の代謝を助ける
- 体に有毒な物を分解して無毒化
- 食べ物の消化を促進
(消化酵素のはたらきをサポート) - 余分な銅を体から出す
代謝をサポートするのがモリブデンの大きなはたらき。鉄分のはたらきも助けて血液を作るので貧血予防にもうれしい栄養素です。
葉酸
2番目の栄養素は葉酸。おなかの赤ちゃんの成長を守り、貧血を防ぐ効果があります。
大根の葉酸
1日に必要な葉酸は男女とも240μg。
大根サラダ1皿には34μg。
1日の必要量の14%です。
さて私たちは普段から葉酸をどのくらい摂れていて、大根サラダ1皿でどう増えるかというと……
女性が摂れている葉酸は、118%
大根サラダに、14%
合計で、132%
男性が摂れている葉酸は、123%
大根サラダに、14%
合計で、137%
※参考サイト:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」、国立健康・栄養研究所「栄養摂取状況調査」、「葉酸解説」
葉酸の効果
おもな効果は次の4つ。
- 妊娠中のお腹の赤ちゃんを正常に成長させる
- 血液(赤血球)を作るサポート
- 細胞をつくるサポート
- 肌や粘膜を守って整える
子供を授かりたい女性にとって不可欠の栄養素ですね。
また葉酸不足は貧血の原因にもなります。また、お酒をよく飲む人、アスピリンやピルを飲んでいる人も葉酸が不足しがち。
意識して葉酸の多い食べ物を食べましょう。くわしくはこちら↓
葉酸の多い食べ物ランキング30【1食分】で比較!効果効能も!
ビタミンC
大根に3番目に多く含まれるビタミンC。抗酸化作用、感染症から守る、ストレスから守る栄養素です。
大根のビタミンC
1日に必要なビタミンCは男女とも100mg。
大根サラダ1皿には12mg。
必要量の12%です。
では普段からどのくらい摂れていて、大根サラダ1皿でどう増えるかというと……
女性が摂れている量は、96%
大根サラダに、12%
合計で、108%
男性が摂れている量は、91%
大根サラダに、12%
合計で、103%
※参考サイト:厚生労働省e-ヘルスネット「ビタミンC解説」
ビタミンCの効果
おもな効果は次の7つ。
- 血管・皮膚・骨を強くする
- 免疫力を高める(ウイルスへの抵抗力アップ)
- 老化や病気を予防する(抗酸化作用)
- ストレスから守る
- 鉄分の吸収を助ける
- コレステロールをおさえる
- シミを防ぐ
男女ともにビタミンCは不足ぎみ。ストレスが多いとビタミンCの消費量も多くなります。
体内にためておけない栄養素でもありますので、大根サラダなどで積極的にビタミンCを摂りましょう!
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カリウム
4番目の栄養素はカリウム。高血圧やむくみに効果を発揮するミネラルです。
大根のカリウム
1日に必要なカリウムは
女性が2000mg、男性が2500mg。
大根サラダに230mg。
大根サラダを食べると……
女性が摂れている量は、111%
大根サラダに、12%
合計で、123%
男性が摂れている量は、96%
大根サラダに、9%
合計で、105%
カリウム不足の男性も大根サラダで必要な量をクリアすることができます。
※参考サイト:厚生労働省e-ヘルスネット「カリウム」
カリウムの効果
おもな効果は次の4つ。
- 余分なナトリウムの排出を促進する
- 血圧を下げる
- 心臓の正常にはたらかせる
- 筋肉をスムーズに動かす
日本人はナトリウム(塩分)の摂りすぎ。その量、1日の必要量の約1.4倍です。
余分な塩分を排出して血圧を下げるカリウム。1日に必要な量を摂れているからと安心せずに、意識して摂るようにしましょう。
水溶性食物繊維
大根に5番目に多い水溶性食物繊維。繊維質のものではなく、昆布のトロ~ッとした部分など、海藻や果物に多い栄養素です。
大根の水溶性食物繊維
1日に必要な量は
女性が6g、男性が7g。
大根サラダに0.5g。
※食物繊維の目標量は女性18g、男性21g。「水溶性:不溶性=1:2」が推奨されているので、上記のとおり女性6g、男性7gとしています。
大根サラダを食べると……
女性が摂れている量は、58%
大根サラダに、8%
合計で、66%
男性が摂れている量は、51%
大根サラダに、7%
合計で、58%
私たちは必要な量の55%程度しか摂れていません。大根サラダにも比較的多めに含まれていますが、それでもまだまだ足りません。
にもかかわらず、すごい効果が満載なのです!それは……
水溶性食物繊維の効果
おもな効果は次の6つ。
- 中性脂肪を減らす
- コレステロールを下げる
- 血糖値の上昇をおさえる
- 腸内環境を整える(便秘解消)
- 血圧を下げる
- ダイエット
生活習慣病が気になる世代にとってうれしい効果が満載!
しかし洋食化や海藻離れの影響か、私たち日本人には大幅に不足しています。積極的に摂るようにしましょう。
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※参考サイト:農林水産省「ビタミンと食物繊維」、NHK健康チャンネル「食物繊維のスーパーパワー」
不溶性食物繊維
6番目は不溶性食物繊維。こちらが繊維質のもので、野菜、玄米、キノコ類に多い栄養素です。
大根の不溶性食物繊維
1日に必要な量は
女性が12g、男性が14g。
大根サラダに0.9g。
大根サラダを食べると……
女性が摂れている量は、93%
大根サラダに、8%
合計で、101%
男性が摂れている量は、84%
大根サラダに、6%
合計で、90%
不溶性食物繊維の効果
おもな効果は次の3つ。
- 便秘を解消する(便のカサを増やす)
- 有害物質を排出する
- ダイエット
食物繊維は水溶性にも不溶性にも便秘を解消する効果があります。ただ便秘のタイプによってどちらを摂ればいいのかが違います。
水溶性は、便がかたい、いきまないと出ない、といったタイプの便秘の方向け。腸のなかの便に水分を与えてやわらかくして、スルッと出してくれます。
不溶性は、便の量が少ない、便の回数が少ない、といったタイプの便秘の方向け。腸のなかで水分を吸って大きく膨らむことで、腸を刺激して動きを活発にしてお通じを促進します。
便秘のタイプ別によって水溶性がいいのか不溶性がいいのか、くわしくはこちら↓
便秘に食物繊維は逆効果!?タイプ別、摂るべき食物繊維とは
イソチオシアネートや酵素も豊富
大根はビタミン・ミネラルといった栄養素もさることながら「酵素」や「イソチオシアネート」がぎっしり含まれています。
大根にはおもに5種類の酵素が豊富で、さまざまな栄養素を分解・吸収して代謝を高めてくれます。
そしてスゴいのが、大根を切ったりすりつぶしたりすることで作られるフィトケミカルの一種であるイソチオシアネート。
ガン予防、動脈硬化予防、免疫を高める、有害物質の排出など、健康効果が凝縮。筆者はイソチオシアネートを摂るために大根(大根おろし)を汁ごと食べています。
酵素やイソチオシアネートのすごい健康効果や食べ方については『大根おろしの栄養素と効果がすごい!作り方・食べ方・部位の違いとは?』でくわしく紹介しています。
大根おろしの汁の効果と飲み方はこちらでくわしく紹介しています。
大根おろしの汁は栄養満載!12の効果と正しい飲み方・タイミング
大根の8つの効果効能
大根にはビタミン、ミネラル、食物繊維、酵素、イソチオシアネートなどいろんな栄養素が豊富。
これらの栄養素のはたらきから、大根に期待される健康効果をまとめてみました。
- コレステロールをへらす
水溶性食物繊維がコレステロールを排出するだけでなく、コレステロールを消費して減らす - 中性脂肪をへらす
食べ物の脂肪が中性脂肪となる前に水溶性食物繊維がキャッチして排出する - 高血圧の予防
カリウムや水溶性食物繊維が余分なナトリウム(塩分)を排出する - 便秘を解消する
腸のなかで固くなった便に水分をあたえて柔らかくするとともに、便のカサを増やして腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にする - 有害物質を排出する
モリブデンが体に有毒な物を分解し、不溶性食物繊維が重金属、食品添加物、ダイオキシンなどの有害物質を排出する - 貧血を予防する
葉酸やモリブデンが血液をつくり、ビタミンCが鉄分の吸収を助ける - 風邪を早く治す
ウイルスと戦う白血球のはたらきをビタミンCが高め、強い抗酸化作用で活性酸素も除去する - 疲労回復
モリブデンが糖質、脂質の代謝を促進するとともに、消化酵素のはたらきを助ける
ということで、大根をぜひ食べてもらいたい人は……
こんな人こそ大根を食べて!
大根をぜひ食べてほしい人はこちら!
- 生活習慣病が気になる人
- 便秘がちな人
- 貧血ぎみな人
- よく風邪をひく人
- 疲れがとれない人
40代以降である、ストレスが多く疲れやすい、といった方にぜひ食べてもらいたいのが大根なのです。
大根に多い栄養素:まとめ
大根に多い栄養素についてお伝えしました。
大根に多い栄養素:1日に必要な量に対して多い順番に、モリブデン、葉酸、ビタミンC、カリウム、水溶性と不溶性の2種類の食物繊維。
大根の効果:コレステロールや中性脂肪をおさえる、高血圧予防、便秘解消、有害物質の排出、貧血の予防、風邪を早く治す、疲労回復
こんな人こそ食べてほしい:生活習慣病が気になる、便秘がち、貧血ぎみ、よく風邪をひく、疲れがとれない、ストレスが多い
大根は「天然の胃薬」とも呼ばれるほど、食べ物の消化、代謝、腸内環境を整えるはたらきが高い野菜。風邪をひいた時の大根おろしも最適です。
ぜひふだんの食生活に大根を取り入れてみてください。