梨はみずみずしさと食感が楽しめる秋ならではの果物。
そんな梨には、女性や生活習慣病が気になる世代にうれしい栄養と効果が満載なこと、ご存じですか?
これからお伝えする内容を読むと、
- 梨に多い栄養は?
- 1個食べると1日分の栄養の何%が摂れる?
- 梨にはどんな効果がある?
- どんな人こそ食べるといいの?
といったことがはっきりとわかります。梨の栄養を上手に活用して元気な毎日を過ごしましょう。
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梨1個の栄養価
梨に多い栄養は、カリウム、銅、水溶性と不溶性の2種類の食物繊維、ビタミンC、パントテン酸、葉酸など。
ただビタミンは全般的に少なめ。2種類のミネラルと食物繊維はしっかりと含まれています。
梨の効果として、貧血予防、骨粗鬆症や動脈硬化の予防、血圧を下げる、中性脂肪やコレステロールを減らす、便秘解消、ストレスから守る、などが期待できます。
そんな梨。
どの栄養がどのくらい多くて、
その栄養はどんなはたらきがあるのか、
ご存じですか?
そこで、
- 梨を1個食べると、
1日分の栄養の何%が摂れる? - 梨に多い栄養は何?
- どんなはたらきが期待できる?
についてくわしくお伝えしていきます。
梨1個=255g
梨は1つが約300g。皮と芯を除いた可食部は255gほど。梨1個あたりの栄養価を紹介します。
梨に多いビタミン
まずはビタミンから。
梨を1個食べると女性の1日分のビタミンの何%が摂れるのか、グラフにしてみました。
※参考サイト:
文部科学省「食品成分データベース」
梨に多く含まれているビタミンは次の3つ。女性にとって1日に必要な量の何%が摂れるのかというと……
ビタミンC | 8% |
パントテン酸 | 7% |
葉酸 | 6% |
梨の88%は水分。みずみずしくて美味しい梨ですが「ビタミンが凝縮!」というほどには含まれていません。
そのなかでは、ビタミンCやビタミンB群(パントテン酸、葉酸、B1、B6)などが豊富です。
次は梨にはどんなミネラルが多いのかお伝えします。
梨に多いミネラル
梨を1つ食べると、女性の1日分のミネラルの何%が摂れるでしょうか?
梨に豊富なミネラルは銅とカリウム。女性にとって1日に必要な量の何%が摂れるのかというと……
銅 | 22% |
カリウム | 18% |
この2つはしっかりと含まれていますが、そのほかのミネラルはどれも少なめです。
では梨にはどのくらい食物繊維が含まれているかをお伝えしてから、梨の8つの効果を紹介します。
梨に多い食物繊維
梨を1つ食べると、女性が1日に必要な量に対してどのくらい摂ることができるでしょうか?
不溶性食物繊維 | 15% |
水溶性食物繊維 | 9% |
私たちに足りない栄養ですが、梨にはたっぷりと含まれています。水溶性:不溶性=1:2と、このバランスも理想的です。
では、
梨に多い栄養には
どんなはたらきがあるのでしょうか?
私たちはその栄養が
ちゃんと摂れているのでしょうか?
梨に多い栄養とその効果
梨1個の栄養のなかで、女性にとって1日に必要な量に対して多い順に、
銅 | 22% |
カリウム | 18% |
不溶性食物繊維 | 15% |
水溶性食物繊維 | 9% |
ビタミンC | 8% |
次いで、ビタミンB群(パントテン酸、葉酸、B1、B6)などが豊富です。
ではそれぞれの栄養について、
- 私たちはどのくらい摂れている?
- 梨を1つ食べるとどのくらい補える?
- どんなはたらきがある?
についてお伝えします。
銅
梨にもっとも多い栄養は銅。高酸化力が高く、感染症を防ぐはたらきもある必須ミネラルです。
梨の銅の量は?
1日に必要な銅は
女性が0.7mg、男性が0.9mg。
梨1個に0.15mg。
私たちは普段から銅をどのくらい摂れていて、梨を食べるとどう増えるのかというと……
女性が摂れている銅は、149%
梨1個に、22%
合計で、171%
男性が摂れている銅は、133%
梨1個に、17%
合計で、150%
普段から十分に摂れています。不足しにくい栄養ですが、ストレスの多い人や亜鉛のサプリを飲んでいる人は不足しがちに。
梨のほかにも、レバー、ナッツ類、さといも、枝豆、大豆加工品など、銅の多い食べ物を意識して摂りましょう。
銅の効果は?
おもなはたらきは次の5つ。
- 風邪など感染症から守る
- 貧血を予防する
- 骨粗鬆症や動脈硬化を防ぐ
- いろんな病気や老化を防ぐ
- 健康な黒い髪や弾力のある肌をつくる
※参考サイト:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」、国立健康・栄養研究所「栄養摂取状況調査」、「銅解説」
カリウム
2番目の栄養はカリウム。筋肉をスムーズに動かしたり心臓の動きも守るはたらきがあります。
梨のカリウムは?
1日に必要なカリウムは
女性が2000mg、男性が2500mg。
梨1個に357mg。
では普段からどのくらい摂れていて、梨を食べるとどう増えるかというと……
女性が摂れている量は、111%
梨1個に、18%
合計で、129%
男性が摂れている量は、96%
梨1個に、14%
合計で、110%
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「カリウム」
ちなみに……
「カリウムといったらバナナ」というイメージではないでしょうか。
バナナ1本(90g)に324mg
梨1つ(255g)に357mg
梨1つとバナナ1本にはほぼ同じ量のカリウムが含まれています。
カリウムの効果は?
カリウムにはおもに次の5つのはたらきがあります。
- 余分な塩分(ナトリウム)を出す
- 血圧を下げる
- 心臓を正常にはたらかせる
- 筋肉をスムーズに動かす
- むくみを解消する
塩分を摂りすぎる傾向のある私たち。カリウムを十分に摂って余分な塩分を出すようにしましょう。
不溶性食物繊維
梨に3番目に多い栄養で、野菜やきのこ類などの繊維質の食べ物に豊富。便秘の解消や有害物質を排出するはたらきがあります。
梨の不溶性食物繊維は?
1日に必要な量は
女性が12g、男性が14g。
梨1個に1.8g。
梨を食べると……
女性が摂れている量は、93%
梨に、15%
合計で、108%
男性が摂れている量は、84%
梨に、13%
合計で、97%
女性は不足分を十分に補えますが、男性は梨を食べてもまだ不足ぎみ。
食べ物(1食分) | 不溶性 食物繊維 |
---|---|
干し柿1つ(25g) | 3.2g |
ブロッコリーの温野菜1皿 (100g) | 2.2g |
枝豆1盛(65g) | 1.9g |
ほかにも、大豆、さといも、ピーナッツ、柿、おからパウダーなど、豊富に含まれる食べ物を意識して食べましょう↓
不溶性食物繊維の多い食べ物ランキング75【1食分】で比較!
※1日に必要な量は女性18g、男性21g。「水溶性:不溶性=1:2」が推奨されているので、女性は12g、男性は14gとしています。
※参考サイト:農林水産省「ビタミンと食物繊維」
不溶性食物繊維の効果は?
おもなはたらきは次の3つ。
- 便秘を解消する(便のカサを増やす)
- でトックス(有害物質を排出する)
- ダイエット
洗剤やシャンプーなどの化学物質、食品添加物、農薬など、有害物質は気づかぬうちに体内へ。しっかりデトックスしましょう。
水溶性食物繊維
梨に4番目に多い栄養で海藻や果物に豊富。生活習慣病を予防するはたらきが期待されています。
梨の水溶性食物繊維は?
1日に必要な量は
女性が6g、男性が7g。
梨に0.5g。
女性が摂れている量は、58%
梨に、9%
合計で、67%
男性が摂れている量は、51%
梨に、7%
合計で、58%
私たちには大幅に不足。梨を食べてもまだまだ足りません。ひじき、寒天、里芋、とろろ昆布、枝豆、納豆、もち麦など多く含む食べ物はこちら↓
水溶性食物繊維の多い食べ物ランキング75【1食分】で比較!
水溶性食物繊維の効果は?
おもに次の6つのはたらきがあります。
- 中性脂肪を減らす
- コレステロールを下げる
- 血糖値の上昇をおさえる
- 腸内環境を整える(便秘解消)
- 血圧を下げる
- ダイエット
生活習慣病を防ぐためにしっかりと摂りたい栄養素ですね。
また、便秘を解消する効果はどちらの食物繊維にもありますが、便秘のタイプによって「どちらを摂るべきなのか」が違ってきます。くわしくはこちら↓
便秘に食物繊維は逆効果?便秘のタイプ別、正しい摂りかたとは?
ビタミンC
梨に5番目に豊富なビタミンC。抗酸化作用、風邪予防、美白などあらゆるはたらきのある栄養です。
梨のビタミンCは?
1日に必要なビタミンCは
女性も男性も100mg。
梨には8mg。
女性が摂れている量は、96%
梨に、8%
合計で、104%
男性が摂れている量は、91%
梨に、8%
合計で、99%
男女ともやや不足ぎみですが、梨を1つ食べると不足分をほぼ補うことができます。
ただ、ストレスの多い人、風邪をひきやすい人、疲れがとれない人はビタミンC不足かもしれません。
ゴールドキウイ、柿、いちご、オレンジなどビタミンCの多い果物や、ミニトマト、ピーマン、キャベツ、ブロッコリーなどビタミンCの多い野菜をしっかり食べましょう。
ビタミンCの効果は?
おもなはたらきは次の7つ。
- 血管・皮膚・骨を強くする
- 風邪を早く治す
- 抗酸化作用で若々しく健康な体をたもつ
- ストレスから守る
- 鉄分の吸収を助ける
- コレステロールをおさえる
- シミを防いで美しい肌をつくる
*-*-*-*-*
梨に多く含まれる栄養とそのはたらきをお伝えしました。最後にこれらをまとめて、
- 梨を食べると
どんな効果効能が得られる? - どんな人こそ食べるといいの?
についてお伝えします。
梨の8つの効果効能
梨にはミネラルや食物繊維をはじめ、ビタミンCやB群などの栄養が豊富。
これらの栄養のはたらきから、梨に期待される効果をまとめてみました。
- 貧血の予防
ビタミンCが鉄分の吸収を高めて、銅が鉄と一緒になって血液をつくる - 骨粗鬆症や動脈硬化の予防
銅やビタミンCがコラーゲンやエラスチンをつくって骨や血管の壁を強くする - 風邪やインフルエンザなど感染症の予防
銅がT細胞やマクロファージなどの免疫細胞のはたらきを助け、ビタミンCがウイルスへの抵抗力を高める - 血圧を下げる
カリウムや水溶性食物繊維が余分なナトリウムを排出する - 血糖値の上昇をおさえる
水溶性食物繊維が体内でゼリー状になって食べた物の消化をゆっくりにする - 中性脂肪やコレステロールを減らす
水溶性食物繊維がコレステロールや食べ物に含まれる脂肪を便として排出する - 便秘を解消する
2種類の食物繊維が便のカサを増やしたりやわらかくしてお通じをスムーズにする - ストレスから守る
銅とビタミンCの高い抗酸化作用で活性酸素を除去してストレスへの抵抗力を高める
私たちに足りていない栄養を梨が補ってくれる、という点では、2種類の食物繊維が持つはたらきを中心に、これらの効果効能が期待できるのではないでしょうか。
こんな人こそ梨を食べて!
そこで、どんな人にこそ梨を食べてほしいのか、というと……
- ストレスが多い
体内でビタミンCが大量に消費され、銅の吸収も妨げられる - 野菜・海藻・きのこ類をあまり食べない
2種類の食物繊維が不足しがちになる - 白いごはん、パン、麺類をよく食べる
血糖値があがりやすくなる - 揚げ物、脂っこいもの、甘いもの、お酒が好き
中性脂肪やコレステロールがたまりやすくなります - 疲れやすい、よく頭痛がする、立ちくらみ
貧血ぎみの傾向がある
食生活がかたよっている人、40代を過ぎた生活習慣病が気になる世代、便秘ぎみ、肌荒れが気になる、といった方にもぜひ食べてもらいたいのが梨なのです。
梨に多い栄養:まとめ
梨に多い栄養と効果効能を紹介しました。
梨に多い栄養:1日に必要な量に対して多い順に、銅、カリウム、不溶性と水溶性の食物繊維、ビタミンC、ビタミンB群
梨の効果:貧血の予防、骨粗鬆症や動脈硬化の予防、感染症の予防、血圧を下げる、血糖値の上昇をおさえる、中性脂肪やコレステロールを減らす、便秘を解消する、ストレスから守る
こんな人に食べてほしい:ストレスが多い、野菜・海藻・きのこ類をあまり食べない、白米、パン、麺類が好き、疲れやすい、立ちくらみをする、便秘がち、肌荒れが気になる
梨は水分だけでなくミネラルや食物繊維がたっぷり。ふだんの食生活にぜひ取り入れてみてください。