亜鉛は味覚を守るだけでなく、抗酸化作用や免疫力を高めるはたらきのある栄養素。
若々しくありたい、糖尿病などの生活習慣病やインフルエンザなどの感染症を予防したい、と思っていませんか?
肉や魚介類に豊富な亜鉛ですが、野菜なら何に多く含まれているでしょうか?
そこで身近な野菜の「1食分あたり」で比較して亜鉛の多い野菜をランキングで20位までお伝えします。
ビタミンも豊富な野菜で体を守って元気な毎日を過ごしましょう!
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亜鉛の多い野菜ランキング
亜鉛が多い野菜は、枝豆、里芋、じゃがいも、ほうれん草やブロッコリーなど緑の野菜、トマト、たけのこ、れんこん。
1食分あたりで亜鉛の多い順に20位までランキングにしたグラフにまとめてみました。
※参考サイト:
文部科学省「食品成分データベース」
ダントツに多いのは枝豆と里芋。自然解凍するだけで食べられるので手軽にたっぷりと亜鉛を摂ることができます。
亜鉛の効果には、感染症の予防、糖尿病など生活習慣病の予防、味覚を守る、美肌、生殖機能を高める、貧血予防があります。
ではこの20位までの野菜について詳しくお伝えする前に……
私たちは亜鉛をちゃんと摂れているのでしょうか?
1日に必要な亜鉛と私たちが実際に摂れている量を比べたグラフがこちら。
女性はほぼ必要量を摂れているものの男性は15%ほど足りていません。亜鉛の多い食べ物を意識して食べることが大切ですね。
ではこの20位までの野菜の「1食分に含まれる亜鉛」をくわしくお伝えします。
1~10位の野菜
まずは1~10位の野菜です。
亜鉛:18~74歳なら……
女性の必要量=8.0mg
平均の摂取量=7.7mg
男性の必要量=11.0mg
平均の摂取量=9.3mg
1~10位の野菜には0.28~0.91mg。女性に必要な亜鉛の4%~11%を摂ることができます。
女性は0.3mg不足、男性は1.7mg不足。女性は10位までの野菜なら不足分をほぼまるまる補えます。男性は1位の枝豆でも不足分の半分ほどしか補えません。
1位:枝豆(冷凍ものを解凍)
小皿に一盛りの枝豆(65g)に
0.91mg
冷凍枝豆の1/3袋(130g)のさやを除いた豆の部分(65gほど)の栄養価です。
女性が1日に必要な亜鉛の11%。女性の不足分は0.3mgなので十分に補うことができます。
枝豆はビタミンB群、C、鉄分、銅、カリウム、食物繊維ほかいろんな栄養がたっぷり!貧血予防、疲労回復、便秘解消、骨を強くする、デトックスの効果が期待できます。
枝豆の栄養がすごい!冷凍枝豆1皿分の栄養価と7つの効果とは?
※枝豆は豆の感覚で食べていますが分類上は「野菜」なのでこのランキングに入れました
2位:里芋(冷凍ものを使用)
里芋の煮っころがし一皿
(里芋5個:210g)に
0.84mg
女性に必要な亜鉛の10%を摂ることができます。
里芋はビタミンB群、E、カリウム、鉄分、食物繊維ほかありとあらゆる栄養がぎっしり詰まった超優秀や野菜!生活習慣病の予防、便秘解消、むくみの解消、骨を強くする、疲労回復と効果も満載です。
3位:じゃがいも
じゃがバター1個(140g)に
0.42mg
生のじゃがいもではなく、皮ごとレンジで調理してから皮をむいて食べた場合の栄養価を紹介しています。
3位のじゃがいもに含まれる亜鉛は2位の里芋の半分。亜鉛は野菜のなかでは枝豆と里芋にダントツに多く含まれています。
4位:白菜
白菜の炒め煮一皿
(1/8玉:188g)に
0.38mg
白菜1/8玉(約250g)を煮ると188gほどに。生ではなく「煮た白菜の栄養価」です。
白菜はビタミンKが抜群に多く、ビタミンC、葉酸、食物繊維、カリウム、カルシウムも豊富。血圧や中性脂肪をおさえる、胎児の発育を守る、貧血予防、便秘解消が期待できます。
白菜の栄養がすごい!多い栄養素と8つの効果とは?
5位:ほうれん草(サラダ)
ほうれん草のサラダ一皿
(1/4袋:45g)に
0.32mg
ほうれん草1袋は株元を除くと180gほど。これを4人分として1食分を45gとしました。
同じ量のほうれん草をおひたしにすると、亜鉛は0.23mgとやや少なめになります。
6位:ミニトマト
ミニトマト10個(150g)に
0.30mg
普通のトマト1個の重さ(約150g)に合わせるとミニトマトなら10個。この栄養価を紹介しています。
含まれているのは女性の1日分の亜鉛の3.8%。女性の不足分をちょうど補える量です。
ちなみに普通のトマト1個(150g)には0.15mg。ミニトマトの半分しか含まれていません。
7位:ブロッコリー
ブロッコリーの温野菜(1/3株)に
0.29mg
ブロッコリーの茎や葉を除いて1/3株を茹でると72gほどに。生ではなく「茹でたブロッコリーの栄養価」です。
8位:アスパラガス
アスパラガスの温野菜
(3本:48g)に
0.29mg
アスパラガスは葉酸が抜群に多く、ビタミンC、E、K、銅、カリウムも豊富。お腹の赤ちゃんの発育を守る、貧血の予防、免疫力アップ、動脈硬化や心筋梗塞の予防が期待できます。
アスパラガスの栄養がすごい!多い栄養素と7つの効果とは?
9位:ごぼう
きんぴらごぼう小鉢一皿
(1/4本:35g)に
0.28mg
1本のごぼうの皮や両端を除いた可食部は135g。ごぼう1本で4人分として1食分を約35gとしました。
10位:サニーレタス
サニーレタス1/4玉(70g)のサラダに
0.28mg
女性の1日分の亜鉛の3.5%。女性の不足分は0.3mgなのでほぼ補うことができます。
普通のレタスよりもサニーレタスのほうがあらゆる栄養がグンと豊富。亜鉛の場合も、普通のレタスには0.15mg。サニーレタスのほうが2倍も含まれています。
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亜鉛の多い野菜を1~10位までお伝えしました。次は11~20位の野菜です。
11~20位の野菜
亜鉛の多い野菜、11~20位です。
亜鉛の必要量
18~74歳なら、
女性:8mg
男性:11mg
女性は0.3mg不足、男性は1.7mg不足しています。
11~20位の野菜には0.20~0.27mgでほぼ横並び。女性の1日分の亜鉛の2.5%~3.4%と、かなり少なめになります。
11位:たけのこ
たけのこの土佐煮の
小鉢一皿(67g)に
0.27mg
女性に必要な亜鉛の3.4%、男性にとっては2.5%が含まれています。
たけのこ水煮1個は約200g。これを3人分として1食分は67gとしました。
たけのこはビタミンE、葉酸、マンガン、食物繊維が多い野菜。動脈硬化や心筋梗塞の予防、貧血予防、疲労回復、美肌・美髪におすすめです。
12位:オクラ
オクラのごま和え5本(43g)に
0.26mg
オクラは葉酸、ビタミンK、E、食物繊維が多く、高血圧や血糖値をおさえる、腸内環境を整える、心筋梗塞や動脈硬化の予防に効果的です。
オクラの栄養がすごい!5本あたりの栄養価と7つの効果とは?
13位:れんこん
れんこんのきんぴら
小鉢一皿(80g)に
0.24mg
一般的なサイズのれんこんは1節が200gほど。その半分弱の量ですね。
れんこんにはビタミンC、B群、カリウム、銅、不溶性食物繊維も豊富。感染症から守る、アンチエイジング、強い骨をつくる、疲労回復、ストレスへの抵抗力アップにおすすめです。
れんこんの栄養がすごい!1皿あたりの栄養価と7つの効果とは?
13位タイ:グリーンピース
豆ごはんお茶碗一杯分の
グリーンピース(25粒:20g)に
0.24mg
※グリーンピースは豆の感覚で食べていますが、分類上は「野菜」になります
15位:かぼちゃ
かぼちゃの煮物2切れ(77g)に
0.23mg
煮物サイズにカットしたかぼちゃ2切れの栄養価です。1/4玉のかぼちゃを4人分とした場合の量ですね。
16位:なす
なす2本の炒め物に
0.22mg
なすのヘタを取り除くと1本が72gほど。生ではなく油で炒めたなす2本分の栄養価です。
なすにはビタミンE、水溶性と不溶性の食物繊維、葉酸、カリウムがたっぷり!動脈硬化や心筋梗塞の予防、血圧・中性脂肪・血糖値の改善、便秘解消、貧血予防に効果的です。
なすの栄養がすごい!1食分あたりの栄養価と7つの効果とは?
16位タイ:水菜
水菜のサラダ(1/4袋:43g)に
0.22mg
水菜1袋は株元を取り除くと170gほど。この1/4を1人分としました。
水菜はビタミンK、C、E、葉酸、鉄分、カルシウム、カリウムが豊富。貧血予防、骨を強くする、感染症から守る、美肌、アンチエイジングのはたらきが高い野菜です。
水菜は栄養の宝庫!サラダ1皿の栄養価と7つの効果とは?
18位:切り干し大根
切り干し大根の煮物
小鉢一皿(33g)に
0.21mg
乾燥の切り干し大根10gを水で戻すと、3.3倍の重さの33gになります。
切り干し大根には、カルシウム、マグネシウム、カリウム、葉酸、食物繊維が凝縮!生活習慣病の予防、貧血予防、疲労回復、便秘解消に効果的です。
19位:大根
大根のサラダ1皿(100g)に
0.20mg
大根は自然の胃薬とも言われるほどお腹にやさしい野菜。ビタミンC、B群、カリウム、モリブデン、食物繊維が多く、胃腸を整える、お通じの促進、デトックス、貧血の予防、疲労回復が期待できます。
大根の栄養がすごい!大根サラダ1皿の栄養価と8つの効果とは?
19位タイ:トマト水煮缶詰
トマトの水煮200gに0.20mg
女性の1日分の亜鉛の2.5%が含まれています。
トマトの水煮缶は抗酸化作用の高いビタミンCやEをはじめ、B群、カリウム、食物繊維もたっぷり。動脈硬化や高血圧の予防、若々しい体を維持する、ストレスケア、疲労回復、口内炎予防のはたらきがあります。
トマト缶には栄養が凝縮!その栄養価と8つの効果とは?
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亜鉛の豊富な野菜をランキングで20位までお伝えしました。もう一度グラフを見てみましょう。
亜鉛は肉や魚、豆類や大豆加工品に多く含まれる栄養素。その量には及びませんが、いろんな野菜からも亜鉛を摂ることができます。
ところで、具体的に亜鉛にはどんな効果があるのか、足りないとどんな影響があるのか、ご存じですか?
そこで、
- 亜鉛の8つの効果
- 足りないとどうなる?
- 摂りすぎるとどうなる?
そしてあらためて、
- 1日に必要な亜鉛
- 私たちが実際に摂れている量
- 亜鉛が足りない人
についてお伝えします。
亜鉛の効果とは?
亜鉛の効果には何があるでしょうか?足りなくなったら、摂りすぎたら、どんな影響があるのでしょうか?
亜鉛の8つの効果
亜鉛の効果は、感染症の予防、生活習慣病の予防、味覚を守る、美肌・美髪などおもに次の8つです。
- 感染症の予防
ウイルスと戦う白血球や免疫細胞のはたらきを高めて風邪やインフルエンザを予防する - 生活習慣病の予防
ビタミンAの抗酸化作用を活性化することで過酸化脂質が作られるのを防いで、生活習慣病を予防する - 糖尿病の予防
血糖値を下げるインスリンの材料となるとともに、インスリンの分泌量を調整する - 味覚を正常に維持する
舌にある「味蕾(みらい)」で味をしっかりと感じ取れるように維持する - 美肌
コラーゲンを作ったりメラニンの代謝を促進することで、シミやシワを防いで弾力のある柔らかな肌をつくる - 抜け毛を減らす
髪の成長をうながして抜け毛を減らし、ハリとツヤを与えてしなやかな髪をつくる - 生殖機能を高める
精子を作ったり運動量を増やすとともに、女性に対しては排卵や着床に関わる女性ホルモンのはたらきを高める - 貧血予防
赤血球を正常に作って酸素を全身にはこぶ
亜鉛が足りないとどうなる?
亜鉛が足りないと感染症や生活習慣病のリスクが高まるなど、次のような影響があります。
- 風邪やインフルエンザにかかりやすい
免疫細胞やウイルスをブロックするビタミンAのはたらきが低下することで感染症にかかりやすくなる - 味覚障害
味がしない、味を感じにくい、口の中がいつも渋い、と感じる - シミ、シワ、乾燥
コラーゲンが不足したりメラニンの代謝が低下して、肌にうるおいがなくなったりシミやシワの原因となる - 髪が細くなる、抜け毛
ケラチンが十分に作られなくなって、髪にハリとツヤがなくなり抜け毛が増える - 爪が弱くなる
爪が割れやすくなり筋があらわれる - 男性不妊
精子の数が少ない、動きが弱くなる - 胎児や子供の成長が妨げられる
成長ホルモンが足りなくなるので成長が遅くなる - めまい、頭痛、動悸といった貧血症状
赤血球が足りなくなって全身の酸素が不足し、頭痛、倦怠感、めまい、息切れといった貧血が起こりやすくなる
亜鉛を摂りすぎるとどうなる?
通常の食生活なら悪影響が出るほどに摂りすぎることはまずありません。
ただサプリメントでの摂りすぎは注意が必要。鉄分や銅の吸収がさまたげられて、銅欠乏性貧血による頭痛やめまい、吐き気、胃腸の調子が悪い、神経障害を引き起こすこともあります。
※参考サイト:
国立健康・栄養研究所「亜鉛解説」
では亜鉛は1日にどのくらい摂るのがよいのでしょうか?私たちは十分に摂れているのでしょうか?
亜鉛の必要量と摂取量
あらためて、1日に必要な亜鉛と私たちが実際に摂れている量をお伝えします。
1日に必要な亜鉛
亜鉛の必要な量は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準-2020年版」で定められています。
亜鉛の1日の必要量
18~74歳なら、
女性:8mg
男性:11mg
そして私たちが実際に摂れている量(摂取量)はどのくらいかというと……
私たちの摂取量
私たちが実際に摂れている亜鉛はこちら。
亜鉛の実際の摂取量
18~74歳では……
女性の必要量:8.0mg
平均の摂取量:7.7mg
0.3mg(4%)足りません
男性の必要量:11.0mg
平均の摂取量:9.3mg
1.7mg(15%)足りません
※参考サイト:厚生労働省「日本人の食事摂取基準-2020年版」、国立健康・栄養研究所「主な健康指標の経年変化:栄養摂取状況調査」
女性はほぼ必要量を摂れているものの男性は15%ほど足りていません。なかでも足りない傾向にある人は……
亜鉛が足りない人
次のような方は亜鉛の摂取量が足りない傾向にあります。
- ハム・ソーセージ・かまぼこ・プロセスチーズなどの加工食品をよく食べる
- お酒をよく飲む
- ビーガンやベジタリアン
- 小食の人、ダイエット中の人
- 運動やサウナが好き
- 妊婦さん、授乳期のママ
加工食品やお酒は亜鉛の吸収をさまたげるだけでなく、体から排出してしまいます。
また亜鉛は肉や魚に多く含まれているので、ビーガンの方や小食な方は亜鉛の摂取量がそもそも少なくなります。
妊婦さんや授乳期のママは通常よりも亜鉛が多く必要になるので、より多く摂る必要があります。
あてはまるようでしたら、亜鉛の多い食べ物を意識して食べるようにしましょう。
亜鉛の多い野菜:まとめ
亜鉛の多い野菜、効果、1日に必要な量と私たちが実際に摂れている量についてお伝えしました。
亜鉛の多い野菜:枝豆、里芋、じゃがいも、ほうれん草やブロッコリーなど緑の野菜、トマト、たけのこ、れんこん
亜鉛の効果:感染症の予防、生活習慣病の予防、味覚を守る、美肌・美髪、生殖機能を高める、貧血の予防
足りないと?:感染症にかかりやすい、味覚障害、シミ・シワ・乾燥、抜け毛、爪が弱くなる、男性不妊、胎児や子供の成長の鈍化、めまい・頭痛といった貧血症状
摂りすぎると?:通常の食生活なら摂りすぎで悪影響が出ることはまずありません。サプリでの摂りすぎは貧血症状や胃腸の不調が起きることがあります。
1日の必要量:18~74歳の場合、女性は8mg(0.3mg不足)、男性は11mg(1.7mg不足)
不足しやすい人は?:ハム・ソーセージなどの加工食品をよく食べる、お酒をよく飲む、肉や魚をあまり食べない、小食、ダイエットしている、運動やサウナが好き、妊婦さん、授乳期の女性
感染症や生活習慣病に対してもうれしい効果を発揮する亜鉛。不足しがちな私たちは普段から意識して摂るように心がけましょう。