ほうれん草に多い栄養は「鉄分」って思っていませんか?
確かに身近な野菜のなかで「1食分あたり」で比べると、第8位とやや上位(1位は枝豆)。
でも食品全体でみると、ほうれん草はなんと40位。鉄分がたっぷりというほどではないんです。
これからお伝えする内容を読むと、
- ほうれん草に多い栄養は?
- おひたしを一皿食べると1日分の栄養の何%が摂れる?
- ほうれん草の効果は?
- どんな人こそ食べるといいの?
といったことが手に取るようにわかります。ほうれん草の栄養を上手に摂って元気な毎日を過ごしましょう。
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ほうれん草のおひたし一皿の栄養価
ほうれん草に多い栄養は、ビタミンK、A、C、E、葉酸、不溶性食物繊維、カリウム、モリブデンなど。
ミネラルよりもビタミンが豊富。なかでもビタミンKがダントツで、ビタミンA、葉酸と続きます。
ほうれん草の効果としては、感染症の予防、アンチエイジング、動脈硬化の予防、血圧を下げる、貧血予防、肌や粘膜を整える、胎児の発育を守る、子供の成長促進などが期待できます。
そんなほうれん草。
どの栄養がどのくらい多くて、
その栄養にどんなはたらきがあるのか、
ご存じですか?
ここでは生のほうれん草100gあたりの栄養価ではなく、一度に食べる量として……
- ほうれん草のおひたしを一皿食べると、
1日分の栄養の何%が摂れる? - ほうれん草にはどの栄養が多い?
- どんな効果が期待できる?
といったかたちでお伝えします。
ほうれん草のおひたし一皿:33g
ほうれんそう1袋200gを茹でて株元を除くと133g。これを4人分として1人分のおひたしを33gとしました。
生ではなく茹でたほうれん草の栄養価をお伝えします
ほうれん草に多いビタミン
まずはビタミンから。
ほうれん草のおひたしを一皿食べると女性の1日分のビタミンの何%が摂れるのか、グラフにしてみました。
※参考サイト:
文部科学省「食品成分データベース」
ほうれん草に多く含まれているビタミンは次の4つ。女性にとって1日に必要な量の何%が摂れるのかというと……
ビタミンK | 70% |
ビタミンA | 21% |
葉酸 | 15% |
ビタミンE | 14% |
ビタミンKは骨を強くしてくれるビタミン。わずか33gのほうれん草に1日の必要量の70%ものビタミンKが含まれています。
抗酸化力の高いビタミンA・E、胎児の成長を守る葉酸が豊富。葉酸はほうれん草から見つかった栄養です。
次はほうれん草にはどんなミネラルが多いのかお伝えします。
ほうれん草に多いミネラル
ほうれん草のおひたし一皿(1/4袋分:33g)で、女性の1日分のミネラルの何%が摂れるでしょうか?
ビタミンほど飛びぬけて多い栄養はありませんが、こちらのミネラルが豊富。女性にとって1日に必要な量の何%を摂れるのかというと……
カリウム | 8% |
モリブデン | 7% |
銅 | 5% |
鉄分はサラダで食べる場合は1日の必要量の14%を摂れますが、おひたしになるとわずか5%しか摂れません。
ちなみに鉄分の多い野菜は、枝豆、大根の葉っぱ、サニーレタス、さといも、小松菜、水菜などです。
では、ほうれん草のおひたし一皿あたりの食物繊維をお伝えしてから、ほうれん草の8つの効果効能を紹介します。
ほうれん草に多い食物繊維
ほうれん草のおひたし一皿で1日分の食物繊維の何%が摂れるでしょうか?
不溶性食物繊維 | 8% |
水溶性食物繊維 | 3% |
特に私たちは水溶性食物繊維がかなりの不足。1日の必要量の半分程度しか摂れていません。
海藻や果物をあまり食べない人は、水溶性食物繊維の多い食べ物を意識して摂りましょう。
では、
ほうれん草に多い栄養には
どんな効果があるのでしょうか?
私たちはその栄養が
ちゃんと摂れているのでしょうか?
ほうれん草に多い栄養とその効果
ほうれん草のおひたし一皿(1/4袋分33g)の栄養価の中で、女性が1日に必要な量に対して多い順に、
ビタミンK | 70% |
ビタミンA | 21% |
葉酸 | 15% |
ビタミンE | 14% |
不溶性食物繊維 | 8% |
カリウム | 8% |
ではこの6つの栄養素は……
- 私たちはどのくらい摂れている?
- ほうれん草でどのくらい補える?
- どんなはたらきがある?
についてお伝えします。
ビタミンK
ほうれん草にもっとも多い栄養はビタミンK。強い骨をつくるなどのはたらきがあります。
ほうれん草のビタミンKの量は?
1日に必要なビタミンKは
女性も男性も150μg。
ほうれん草のおひたし一皿に106μg。
1日の必要量の70%です。
さて私たちは、普段からビタミンKをどのくらい摂れていて、ほうれん草を食べるとどう増えるのかというと……
女性が摂れている量は、157%
ほうれん草一皿に、70%
合計で、227%
男性が摂れている量は、164%
ほうれん草一皿に、70%
合計で、234%
※参考サイト:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」、国立健康・栄養研究所「栄養摂取状況調査」、「ビタミンK解説」
ビタミンKの効果は?
ビタミンKのおもなはたらきは次の2つ。
- 骨を丈夫にする
- 切り傷など出血した血を固める
食べ物に含まれるカルシウムを骨にペタッと貼りつけて強くするのがビタミンKのはたらき。
ちなみに、骨粗しょう症を防ぐはたらきが高いビタミンKは、ひきわり納豆にたっぷり含まれています。
ひきわり納豆には粒納豆をはるかに超えるビタミンK、そしてビタミンB群、鉄分、銅、食物繊維などが豊富。くわしくはこちら↓
ビタミンA
2番目の栄養はビタミンA。抗酸化作用が高く、粘膜を整えて感染症から守るはたらきを発揮します。
ほうれん草のビタミンAは?
1日に必要なビタミンAは、
女性が700μgRAE、男性が900μgRAE。
ほうれん草のおひたし一皿に149μgRAE。
では、普段からどのくらい摂れていて、ほうれん草でどう増えるかというと……
女性が摂れている量は、74%
ほうれん草に、21%
合計で、95%
男性が摂れている量は、61%
ほうれん草に、17%
合計で、78%
ビタミンAはかなりの不足で、特に男性はほうれん草を食べてもまだまだ足りません。
にんじん1/2本には576μgRAEのビタミンA。 ほうれん草一皿の約4倍も含まれています。
そのほか、春菊、かぼちゃ、大根の葉っぱなど、ビタミンAの多い野菜もしっかり摂るようにしましょう。
ビタミンAの効果は?
おもに5つのはたらきがあります。
- 風邪などの感染症から守る
- さまざまな病気や老化を防ぐ
- 美肌・美髪
- 夜盲症の予防
- 子供の成長を促進
葉酸
ほうれん草に3番目に多い栄養は葉酸。ビタミンB群の1つでお腹の赤ちゃんの正常な発育を守るはたらきがあります。
ほうれん草の葉酸は?
1日に必要な葉酸は
女性も男性も240μg。
ほうれん草のおひたし一皿に36μg。
ほうれん草を食べると……
女性が摂れている葉酸は、118%
ほうれん草に、15%
合計で、133%
男性が摂れている葉酸は、123%
ほうれん草に、15%
合計で、138%
※参考サイト:国立健康・栄養研究所「葉酸解説」
葉酸の効果は?
おもなはたらきは次の4つ。
- 妊娠中のお腹の赤ちゃんの先天性異常である「神経管閉鎖障害」のリスクを減らす
- ビタミンB12と一緒に血液(赤血球)を作る
- 細胞をつくるサポート
- 肌や粘膜を守って整える
葉酸不足は貧血、疲れ、肌荒れ、口内炎に。また「粘膜を守る」ということは「ウイルスをしっかりブロックする」ということにもつながります。
お酒をたくさん飲む人、アスピリンやピルを飲んでいる人は葉酸不足になりやすいので葉酸の多い食べ物を意識して食べるようにしましょう。
ビタミンE
4番目はビタミンE。血管の掃除役として流れをよくするはたらきの栄養です。
ほうれん草のビタミンEは?
1日に必要なビタミンEは
女性が6mg、男性が7mg。
ほうれん草のおひたしに0.86mg。
女性が摂れている量は、108%
ほうれん草に、14%
合計で、122%
男性が摂れている量は、100%
ほうれん草に、12%
合計で、112%
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「抗酸化ビタミン」、「LDLコレステロール」、国立健康・栄養研究所「ビタミンE解説」
ビタミンEの効果は?
ビタミンEのはたらきは次の7つ。
- 血管を健康にしなやかに維持して動脈硬化を予防する
- 悪玉コレステロールをおさえて、心筋梗塞や脳梗塞を防ぐ
- サラサラ効果で心疾患や貧血の予防
- 血行を良くしてコリや冷えを防ぐ
- 新陳代謝を高めて肌を美しくする
- 記憶力を高める
- 更年期障害の症状をやわらげる
血管をキレイに掃除してサラサラにしてくれる。このはたらきで血管のつまりをなくして血行が良くして、栄養も酸素も体温もいきわたらせる、というのがビタミンEです。
ほうれん草のほか、ビタミンEの多い食べ物はこちら。
ビタミンEが多い食べ物30選【1食分あたり】摂取量や効果も!
不溶性食物繊維
ほうれん草に5番目に豊富な不溶性食物繊維。野菜やきのこ類など繊維質の食べ物に多く含まれていて、便秘解消などのはたらきがあります。
ほうれん草の不溶性食物繊維は?
1日に必要な量は
女性が12g、男性が14g。
ほうれん草のおひたしに1.0g。
女性が摂れている量は、93%
ほうれん草に、8%
合計で、102%
男性が摂れている量は、84%
ほうれん草に、7%
合計で、91%
ちなみに、不溶性食物繊維の多い食べ物には、干し柿、柿、ラズベリー、りんご、グリーンキウイ、おから、おからパウダー、ブロッコリー、枝豆、大豆、里芋、玄米などがあります。
※食物繊維全体で1日に必要な量は女性18g、男性21g。「水溶性:不溶性=1:2」が推奨されているので、上記のとおり女性12g、男性14gとしています。
不溶性食物繊維の効果は?
おもに3つのはたらきがあります。
- 便秘を解消する(便のカサを増やして腸の運動を活発に)
- 有害物質を排出する(重金属、食品添加物、ダイオキシンなど)
- ダイエット(満腹感が得やすい)
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維」、農林水産省「ビタミンと食物繊維」
不溶性食物繊維は、便の量が少ない、便の回数が少ない、といったタイプの便秘解消に効果的。
腸のなかで水分を吸って数倍にも数十倍にもふくらんで、便のカサを増やします。これが腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にして、便秘を解消してくれます。
なお水溶性食物繊維は、便が固い、いきまないと出ない、といったタイプに効果的。便に水分をあたえて柔らかくしてお通じをスムーズにします。
カリウム
6番目の栄養はカリウム。体のなかの余分な塩分を排出して血圧をケアするはたらきがあります。
ほうれん草のカリウムは?
1日に必要なカリウムは
女性が2000mg、男性が2500mg。
ほうれん草のおひたしに162mg。
女性が摂れている量は、111%
ほうれん草に、8%
合計で、119%
男性が摂れている量は、96%
ほうれん草に、7%
合計で、103%
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「カリウム」
カリウムの効果は?
カリウムのはたらきはこちら。
- 余分なナトリウムの排出を促進する
- 血圧を下げる
- 心臓の正常にはたらかせる
- 筋肉をスムーズに動かす
- むくみを解消する
私たちは塩分を摂りすぎる傾向があります。「塩分はなるべくこのくらいに」という量の1.5倍ほど摂っています。
ほうれん草のほか、里芋、じゃがいも、さつまいも、トマト、枝豆、豚肉など、カリウムの多い食べ物で余分な塩分を出しましょう。
ちなみにカリウムと言えばバナナ、というイメージもありますが本当は……。バナナのカリウムの量とほかの食べ物との比較はこちらをご覧ください。
バナナ1本のカリウムの量は?ほかの食べ物と比べると?
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ほうれん草に多く含まれる栄養とそのはたらきを紹介しました。最後にこれらをまとめて、
- ほうれん草を食べると
どんな効果効能が得られる? - どんな人こそ食べると効果的?
についてお伝えします。
ほうれん草の8つの効果効能
ほうれん草はさまざまなビタミンやカリウム、不溶性食物繊維などの栄養が豊富。
これらの栄養のはたらきから、ほうれん草に期待される効果効能をまとめてみました。
- 感染症から守る
ビタミンAが粘膜を正常に保ってウイルスをブロックして免疫機能を高める - アンチエイジング、さまざまな病気を予防する
ビタミンAとEの高い抗酸化作用が老化や病気の原因となる活性酸素を取り除く - 動脈硬化を防ぐ
ビタミンEがコレステロールや脂肪の酸化を防いで血管を健康にしなやかにたもつ - 血圧を下げる
カリウムが体内の余分な塩分(ナトリウム)を出す - 貧血を予防する
葉酸がビタミンB12と一緒に血液(赤血球)を作る - 美肌・美髪・粘膜を整える
葉酸、ビタミンA、Eが新陳代謝を促進して美しい肌・髪・爪をつくる - 胎児の正常な発育を守る
お腹の赤ちゃんの先天性異常である神経管閉鎖障害のリスクを減らす - 子供の成長を促進する
葉酸やビタミンAが細胞の増殖を促進して体の成長を守る
ということで、ほうれん草をぜひ食べてもらいたい人は……
こんな人こそほうれん草を食べて!
ほうれん草をぜひ食べてほしい人はこちら。
- 風邪をひきやすい
- 体調がいまひとつ
- 血圧が高い
- 貧血気味
- 肌荒れ、髪のパサつき、口内炎が気になる
- 子供を授かりたい
- 骨粗しょう症を予防したい
- ストレスが多い
ストレスが多い、毎日忙しい、疲れやすい、といった人にパワーを与えて、体をよみがえらせてくれるのがほうれん草なのでしょう。
ほうれん草に多い栄養:まとめ
ほうれん草に多い栄養と効果効能をお伝えしました。
ほうれん草に多い栄養:1日に必要な量に対して多い順番に、ビタミンK、ビタミンA、葉酸、ビタミンE、不溶性食物繊維、カリウム、モリブデン、銅
ほうれん草の効果:感染症の予防、アンチエイジング、動脈硬化の予防、血圧を下げる、貧血予防、肌や粘膜を整える、胎児の発育を守る、子供の成長促進
こんな人に食べてほしい:風邪をひきやすい、体調がいまひとつ、血圧が高い貧血気味、肌荒れ、髪がパサつく、子供を授かりたい、ストレスが多い
あなたの体を守って、若々しく美しくしてくれるほうれん草。ぜひふだんの食生活に取り入れてみてください。